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武田 元秀: ダムと鉄道―一大事業の裏側にいつも列車が走っていた (交通新聞社新書)
ダム好きで鉄道好きという筆者の初の著書です。ダムに魅せられてゼネコンに入社、後に新聞記者に転身した筆者が各地のダムと鉄道の関係を紹介し、話題の八ッ場ダムも取り上げられています。筆者は決して脱ダム派ではなく、むしろ肯定的な立場ですが、各地のダムをレポートして、黒部川や只見川などを例外として、ダム事業の説得材料とされた「周辺地域の発展」が虚構だあったことを素直に認めています。一読の価値ありです。 (★★★★)原 武史: 震災と鉄道 (朝日新書)
読んでいて眩暈を覚えたしょーもない本です。JR東日本が東北新幹線の復旧を優先してローカル線を見殺しにしているといったネガティブキャンペーンテンコ盛りです。しかも随所に事実誤認があり、いまどき2ちゃんねらーでも通用しないお粗末極まりない内容です。一応鉄道と市民社会を重ね合わせて専門の政治思想史の味付けをしてますが、社会性や共同体の原理などの考察が抜けており、結局鉄道の公共性を無批判に押し付ける鉄ちゃん的独善に陥っています。買う価値なしです。梅原 淳: 鉄道の未来学 (角川oneテーマ21)
執筆中に東日本大震災と中国高速鉄道事故があり、特に後者関連でメディア取材を受け、日本の鉄道技術の優位を語らせようとする姿勢に疑問を呈しております。そんな筆者が日本の鉄道の現状図書る愛を語ったわけですから、バラ色の未来を描いてはおりません。2011年現在の等身大の日本の鉄道の現状から敷衍して未来を語っており、辛口の部分もあります。特にリニアに関する考察は一読の価値ありです。 (★★★★★)ポール・ケネディ: 世界の運命 - 激動の現代を読む (中公新書 2114)
英国生まれの著名な米大学教授が綴る少々エキセントリックで皮肉の効いたエッセイ集です。ここで取り上げたいのは、筆者は実は鉄ちゃんで、日欧の充実した鉄道サービスに感心しつつ、アメリカのお寒い現状を憂います。北東回廊の鈍足高速列車「アセラ」でさえも、9.11以後厳しくなった空港のセキュリティチェックのおかげで利用者が増えているとかで、ブッシュ政権からオバマ政権へと続く騒がしいアメリカの姿を的確に表現しています。 (★★★★)週刊 ダイヤモンド 2011年 7/30号 [雑誌]
人口減少で将来が見えない新幹線を輸出する動きを中心とした特集です。日本の新幹線の競争力に関する評価は、大手メディアはほぼ「日本が一番」で思考停止状態だけに、正味のところは必ずしも明らかではありません。中国高速鉄道の問題もあり、タイムリーな特集です。 (★★★★)石井 彰: エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)
3,11福島の事故を経て、脱原発、再生エネルギー利用促進が叫ばれますが、そもそもエネルギーとは何かについて、物理学の熱力学の第1法則、第2法則を踏まえて根源的な議論から説いている良書です。それに留まらず加熱調理で食糧の栄養密度を増したことの人類学的意義や、エネルギー利用を特定の資源に過度に依存する事の危険性をナチスドイツの敗因や原子力の問題点などにまで敷衍した議論は、メディアに登場する浅薄な議論の不毛を明らかにします。太陽光は原子力の代替にならないという当たり前のことさえ認識できない日本のメディアのダメさ加減がわかります。 (★★★★)猪口 信: 国鉄列車ダイヤ千一夜―語り継ぎたい鉄道輸送の史実 (交通新聞社新書)
国鉄首都圏エリアと本社で指令業務、ダイヤ改正を担当した著者の列車ダイヤ作成秘話です。今や条件を入力すればコンピュータが自動生成するダイヤグラムで、運転整理もマウスでドラッグ&ドロップですが、用紙にカラス口でスジを引き、丸ペンで列車番号を記入するアナログ時代の列車指令の運転整理など、語り継ぎたい話として鉄道ダイヤ情報誌に連載された中から抜粋し編集した1冊です。ダイヤ改正の裏話も多彩で面白く読めます。 (★★★★★)週刊 東洋経済 2011年 4/16号 [雑誌]
週刊東洋経済が興味深い特集を組みました。東日本大震災で被災した鉄道、地震と停電で止まった首都圏の鉄道、被災地域メーカーに依存した直流モーターのカーボンブラシ不足によるJR西日本の一部運休など、最近のトピックスを網羅し、更に高千穂鉄道、JR東海名松線など災害復旧と廃止の狭間の問題や、災害ではないですが一旦廃止後復活が決まったJR西日本可部線の可部―河北間など、災害と鉄道の関係をまとめたものです。この手の話題は趣味誌ではなかなか取り上げにくいだけに、経済誌の出番ですね。 (★★★★★)川辺 謙一: 図解・地下鉄の科学 (ブルーバックス)
地下鉄のトンネルの立体構造や技術的解説に加え、車両の特徴や地下鉄ならではの技術など多岐に亘ります。著者は理工系ライターで、鉄道マンでもOBでもないため、客観的な評価ができている感じです。例えば営団地下鉄が車両冷房に不熱心だったことや、ゴムタイヤやリニア地下鉄などの技術評価にも公平性を感じます。お奨めです。 (★★★★)週刊 東洋経済 2011年 3/5号 [雑誌]
年に1度の鉄道特集ですが、表紙の紙質も良く、明らかに鉄ちゃん需要を見込んでます。通常号より高価な特大号ですが、確実に売れると踏んでいるんですね。九州新幹線全通直前ということで、話題豊富な時期ですが、特集の冒頭は車両メーカーや信号メーカーその他鉄道を支えるものづくり企業を幅広く取り上げておりますが、一方世界を見渡せば、1社で全てを賄うトータルメーカーが主体で、海外に販路を広げるときに、日本の弱点も見えます。フロリダの高速鉄道事業が中止となるなど、海外展開は波高しといえそうです。 (★★★★★)
鉄路的部落のビジュアルな別館
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