Sunday, May 11, 2008

設備投資を加速させる京王電鉄

京王電鉄の2008年度経営計画が発表されました。

オフィシャルサイトのプレスリリース(PDF)
冒頭の基本方針に
「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」を目指し、
「鉄道事業の安全性の向上」と「沿線価値向上への取組み」に
注力してまいります。
とあります。鉄道事業への投資額549億円(対前年20%増)、うち安全性向上には433億円(対前年14%増)ということで、これは2010年に予告されている調布市内連続立体化事業にあわせてATC導入と所属車両省エネ化(VVVF化)を加速させるものです。

具体的には相模原線のATC地上設備の設置を完了させ、車両改造を進めるほか、京王線60両井の頭線25両の車両代替と在来車改造を含めて117両のVVVFインバータ制御車を登場させることになります。そのほか地下駅の火災対策強化や駅のバリアフリー対応工事を進めるとしております。

車両面では85両の新造というのが目立ちます。京王線の60両は9000系30番台10連6本と考えられ、これで10連14本が揃いますので、都営線直通運用を9000系だけで賄える数がそろいます。当然6000系は代替廃車が進むことになります。5扉車や2連など、一部残る可能性はありますが、JR常磐緩行線203系と双璧の窓のバタつく電車の過去帳入りは近いですね。そういえばJR東日本も本年からE233系2000番台による置換えが始まりますね。

名車の誉れ高い5000系の後継車でありながら、京王新線の呪縛でコストダウンを余儀なくされた粗製乱造車の6000系ですが、それだけに時代を映す車だったといえます。この苦境があればこそ、バブルに踊らず線増ではなく長編成化で混雑緩和に取り組み、大手私鉄随一の財務体質を獲得したわけですから、感慨深いものがあります。かつて冷房化に抵抗し続けた^_^;2010系などの"グリーン車"と蔑称された旧型車の途をなぞるようですが、"アイボリー車"とでも呼べばよいでしょうか。

一方の井の頭線でも1000系の久々の増備となりますが、これでやはり昼間に関しては完全に1000系で統一でき、3000系はラッシュ専用となりそうです。ここでも"グリーン車"現象^_^;が進みます。同時に3000系でも増備の都度改良が重ねられてきた歴史に倣えば、どんな仕様で登場するかも注目です。京王線9000系が日車ブロック工法で小田急3000系京成新3000系と一派を築いていますが、1000系のすそ絞りスタイルは対応できない可能性があります。となると小田急の千代田線直通車に倣って東急車輛製のツーシート工法へのシフトも考えられ、"走ルンです京王"^_^;が登場するかもしれませんね。注目です。

あと関連事業では、京王電鉄の新たな沿線活性化策で取り上げましたが、移住・住みかえ支援機構(JTI)を活用した、沿線の高齢者を都心の賃貸マンションに誘導し、持ち家を子育て若年世代へ賃貸することで、沿線の若年人口増加への取組みを進めるほか、学生マンションや企業向け独身寮事業などで、一味違った沿線活性化策が謳われております。計画書にはありませんが、高幡不動駅前の子育て支援マンションの成果も興味深いですね。

人口減少で、鉄道事業を核として沿線開発で不動産部門で利益を得る従来型の私鉄経営のビジネスモデルが行き詰まりを見せる中、いち早く次の時代を睨んだ事業を展開しているわけで、その成果が注目されます。

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Sunday, May 04, 2008

走ルンdeおフランス、AGV

姥捨ての次はおフランスざんす^_^;。AGVがプレス発表されたのは、今年2月のことですが、日本では報道が少なくて、いったいいつ営業運転を始めるのか、どこの路線に投入されるのかなども知られておりません。実はAGVはアルストム社が開発主体となった次世代高速鉄道車両で、AGVのAはアルストムのイニシャルとまで説明されています。

フランス国鉄(SNCF)とアルストムとの関係は、日本の国鉄と鉄道車両メーカーの関係と似ていて、発注者であるSNCFが設計に関与してアルストムに製造を請け負わせるものでした。高速列車のTGVにしても同様で、あくまでも開発主体はSNCFだったわけですが、ここへきて事情が変わってきています。

仏アルストムは、今でこそ独シーメンス、加ボンバルディアと並ぶ鉄道車両メーカーのビッグ3の一角を占めますが、SNCF以外への売り込みは、必ずしも熱心だったわけではなく、近隣のベルギー、オランダ、ポルトガルなどには納入されていましたが、シーメンスやボンバルディア(元々は独アドトランツなどダイムラーベンツの鉄道部門をはじめ、複数の欧州系鉄道メーカーを買収)に比べれば、外国への売り込みは熱心ではありませんでした。というよりは、伊フィアットやスウェーデンABBにさえ後れを取っていたという方が正しいかもしれません。

一方で欧州の鉄道政策により、オープンアクセスで活性化が図られ、ペンドリーノやX2000が廉価な高速車両として売り込まれている状況に対して、SNCF絡みのユーロスターやTARIS、一括受注のスペインAVEや在来線バージョンのユーロメッドなどで受注に成功はしたものの、スペインはペンドリーノも買っているし、独自技術でTARGOの300km/hバージョンを開発するなどしていて、油断できません。

一方で重電部門でABBから譲り受けた発電用大型ガスタービンで欠陥が発生したり、鉄道部門でもイギリスでの取引で採算割れを起こし、果ては財政難で銀行融資を断られるなど追い込まれ、03年~05年の3年間赤字決算を余儀なくされました。そういえば仏TGVに日本製車両なんて話題もありましたが、アルストムが危機を脱した後のタイミングですから意味深です。アルストムの経営危機のときには、本当に日本から車両を買うことも考えられていた可能性はあります。またそのことがAGV開発のバネになったのかもしれませんね。

それを救ったのが当時財務大臣だったニコラ・サルコジでした。1民間企業であるアルストムへの資本支援や4年間の支払延期などの了解を欧州委員会から取り付け、文字通り獅子奮迅ぶりを見せた結果、アルストムは立ち直り、車両メーカーとして自前で高速車両を開発できるまでに実力を蓄えたのでした。特定民間企業への支援ですから、当然反対もあったでしょうし、政治家としてはリスキーな行動だったはずです。しかしサルコジはそれをやり遂げたわけですから、なかなか侮れないリーダーシップの持ち主といえます。ただの毛深い絶倫オヤジではなかったんですね^_^;。

政治家は結果責任を問われるわけで、彼の国ではそれなりに覚悟のいる職業なんでしょう。ガソリンが上がっても、老人が悲鳴を上げても、どこか他人事で、あまつさえ「苦渋の決断」を演出するあざとささえ見せるどこかの国の宰相とは大違いですね。

で、最高速360km/hというAGVのスペックは、くしくもJR東日本がFASTECH360で開発目標とした速度と同じですが、FASTECH360が東北新幹線延伸を睨んだ高速化という具体的な想定があるのに対して、AGVは投入線区を特に明示しておりません。日本の鉄道関係者には信じ難いところでしょうけど、アルストムはAGVを大真面目に世界中に売り込もうとしているのです。

とりあえず発表されたところでは、納入先は伊NGV社という会社です。2010年により深度化する欧州のオープンアクセス政策の下、大陸で初の高速鉄道運行事業者となる会社で、11連25編成(10編成の追加オプション付)を30年の保守契約込みで受注しており、とりあえずイタリアでまず走ります。当面最高速は300km/hということです。360km/hで走るためには、線路側の改良を待つ必要はあるのでしょう。

しかし伊ディレティッシマ線(高速新線)を皮切りに、仏TGV新線、独ICE新線などの高速輸送インフラを着実に整備している欧州のことですから、いずれ360km/hの営業運転が始まる可能性はあります。その最初の候補は、仏国内で整備が進んだTGV新線でしょう。高速車両は傷みが早いですから、TGVの車両更新は喫緊の課題となるはずです。SNCFから自立したとはいえ、アルストムもそこに照準を合わせてAGVを開発しているはずです。SNCFからの大口受注、さらにEU域内の鉄道から、中国などアジアまで睨んで、商機をうかがっていると考えられます。

何かこれJR東日本の新系列通勤車が旧国鉄型車両を淘汰する課程の再現に見えなくもないですね。JR東の新系列も同型車が私鉄に納入されるなどしている点にも共通性があります。

話はそこに留まらず、360km/hの性能を発揮できる線区では、表定速度300km/h超となるわけですから、ざっと1,000kmの距離を3時間程度で結べるわけで、パリ起点でアムステルダムやバルセロナが射程に入り、航空需要を侵食するはずです。となると在来技術の延長線上で燃費改善してもCO2削減が難しい航空から鉄道へのシフトが鮮明となり、温暖化防止を経済のテコにしようとする欧州の環境戦略にも合致します。

翻って日本に当てはめれば、360km/hは東京起点で博多、札幌が射程権に入る速度ということがいえますので、FASTECH360が開発目標としてこの速度を選んだ理由も明白です。後ろ向きの某社はどう見るか。

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Saturday, May 03, 2008

楢山節考―老いの矜持

楢山節考といえば深沢七郎の名作小説ですが、既に絶版となって手に入りにくくなってます。高齢化の進む現在、老いを正面から捉えた稀有な作品だけに、復刻を期待したいところです。

厳しい山村の口減らしの掟である楢山へ行くことを心待ちにするおりん婆さんという設定が秀逸です。にもかかわらず年老いてなお歯が丈夫なことを気に病んでいるおりんさん、自ら歯をへし折って、血を流しながら歓喜する場面が作品の基本モチーフです。老いは誰しも抗えないけれど、自然にそれを受け入れ、運命として楢山へ赴くというテーマは、泣かせるほど現代的です。もちろん掟の冷徹さは微塵もゆるぎなく、楢山への道行きで抵抗した隣のじさまが実の倅に谷底へ突き落とされるシーンが最後にくるなど、なかなか巧みな構成です。

今ならば老人虐待と捉えられるべきことですが、近代以前ならばありえたのではないかと思わせる自然さこそがこの小説の味わいです。ポストモダンの始祖にして構造主義の泰斗レヴィ=ストロースがパンセ・ソバージュ(野生の知性)で明らかにした禁忌(タブー)の構造が感じられます。若い人にこそ読んで欲しいですね。

それとともに、老いを生きて死に至る人生の終局をいかに生きるべきか考えさせられます。掟に従って楢山へ赴こうとするおりんさんの何といきいきとしたことか。老醜をさらさず、子や孫の幸せを願って別れを告げる潔さは、私のような若輩者でもかくありたいと思わせます。

察しの良い方ならおわかりでしょうけど、今回は政局を揺さぶる後期高齢者医療制度について考えます。医療の問題というのは、やや複雑なんですが、この制度のスジの悪さはひどいですね。あまりにつっこみどころ満載で、どこから手をつけてよいものやらわかりませんが、目的は高齢化による医療費の増大を抑制することのようですから、まさしく楢山節考の舞台の山村の掟と同じ口減らしが狙いです。ターゲットは団塊世代ということですね。日本は近代以前であったか-_-;。

日本の医療保険制度ですが、被用者向けの組合健保に政府管掌健保、自治体管掌の国民健保と3本立てで、特に組合健保は職域のさまざまな単位でそれぞれ独自に管掌されていて料率が異なるなど、年金同様つぎはぎだらけの制度ですが、結果的に医療への安定的な支出を支えることで、医療があまねく国民に共有され、医療費の対GDP比でも先進国中最も少ない良好なパフォーマンスを示しており、民間の医療保険中心で負担力のある高額所得者による医療サービスの独占で、医療費が高騰しているアメリカでも、日本の制度を参考に皆保険制度へ移行しようという試みが繰り返されております。ヒラリー・クリントンが大統領夫人時代に実現しようとして頓挫したことが知られております。彼女が大統領の地位に執念を燃やすのは、このときのリベンジだといわれております。

ただ問題もありまして、特に組合健保は、母体となる職域の事業体の事情によって料率が異なるのですが、団塊世代が若かった時代は、掛け金が多くて使う高齢者が少数でしたから、低い掛け金で済んでいたわけです。このあたり厚生年金と似てますが、厚生年金はあくまでも政府が保険者として管掌する制度ですから、職域基盤の弱い中小企業でも、基本的に同じ制度が適用されていたのに対し、健康保険では大企業等が自社の福利厚生の一環として有利な条件で運用してきたこともあり、中小企業中心の政府管掌健保は、料率面で不利でしたし、農業者や自営業者中心の国民健保では、自治体住民の年齢構成や財政力に左右されるため、地方ほど厳しい現実があります。逆に若年人口の厚い大都市圏では、独自に高額医療費の助成制度などを制定し、医療費の負担感は低かったのです。

こういった背景がありますから、診療報酬として保険金を受け取る医療サイドも大都市圏ほど厚みのあるサービス体制となり、近年の過疎化で地方の病院は、経営的にも苦境にあります。いわゆる医療崩壊が徐々に進行しているわけです。

本来ならば、命に直結する公的医療保険制度こそ、公平性を最大限担保すべきですし、また保険である以上、加入者数が多いほど、分母が大きいほど、料率面で有利になるわけですから、国が管掌して1本に統合することで無駄を省く余地はあるはずですが、実際に国が打ち出したのは、別建ての保険制度とするというもので、明らかに逆行しております。やはり上記の通り口減らしだったわけでしょう。

しかも悪質だと思うのは、対象となる高齢者の多くが加入していると思われる国民健保が市町村単位であるのに対して、新制度は都道府県単位の広域連合が保険者として管掌するという形になっている点です。市町村では負担が大きくなる場合があるからと説明されてますが、それならば都道府県にやらせても良いはずなのに、広域連合という新たな行政組織をこの制度のためだけに立ち上げたのですから、これでは国、県、市町村の三重行政どころか四重行政になって無駄を重ねることになります。当然保険者として独自に保険事務費を負担しなければならないわけですから、どう転んでも制度全体としては負担増にしかなりません

そしてやはりというか、一時7~8割の高齢者は負担が軽くなると複数の政府与党関係者が口にしていたのに、突っ込まれると「実は調査しておりません」ですから呆れます。何かこれ、失われた年金記録問題に通じますが「3月までに突き合わせを完全実施して全てを明らかにします」といって、その3月にいい加減な報告を上げて「まだ終わったわけではないので、引き続き努力します」といって、無為に時間と費用を浪費してますが、今回も「あらゆるケースを精査します」といって時間稼ぎに精出して、そのうち国民が諦めるか忘れるかしてくれるだろうという意図見え見えで、厚生労働省という役所はよくよく腐ったところです(怒)。

元々公的医療保険制度というのは、保険なんですから、「保険料払って使わないのは損」という考え方は成り立ちません。使わないに越したことはないけれど、万が一のときに医療サービスを受けられるためには、安定した医療支出が支えになるわけです。傷病リスクは誰しもあるわけですが、実際に病気や怪我をした者の自己責任ということにすると、金持ちしか医療サービスを受けられず、結果的に社会的ニーズが顕在化しないために、医療の希少化でアメリカのように医療費が高騰してしまうわけです。それを広く薄く国民全体で支えることで負担感が減り規模の経済も働きますから国民皆保険の意味はその辺にあるわけです。

また医療の特徴として、技術革新によってより高度な検査や医療が可能になるわけですが、それは同時に常に研究開発投資と設備投資が続くわけで、この部分が肥大化することは避けられないところです。医療費の高騰は高齢化のせいではなく、医療分野の技術革新の成せる業であるわけです。おかげで結核や癌なども不治の病ではなくなり、人々はより長く生きられるわけですから、高齢化はむしろその成果でもあるわけです。同時に医療従事者にとっても、以前より初期投資が増えて参入障壁が高くなっているし、一方で医療現場は複雑になる一方ですから、医療事故や訴訟リスクも負うことになりますので、それが結果的に医師をしてリスク回避のスタンスを取らせますので、需要に応じた医療サービスを受けることを難しくしております。

そういった意味で医療保険制度が曲がり角にきていることは間違いありませんが、制度の一本化や医療機関同士の連携や後発薬の活用による負担減など、まだまだほかにやるべきことは山のようにあります。ただしこの辺は利害を持つ既得権益者がいるところでもあり、改革するには相応に血を流さなければならないでしょうから、国は安易な道を選んだんだと思います。誤魔化されないようにしなければいけませんね。

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Wednesday, April 30, 2008

道路は続くよ何処までも

道路特定財源の暫定税率復活がが衆議院の再可決で決まりました。政府与党としては予定通りなんでしょうけど、直前の衆院山口補選での大敗北もなんのその、政権にしがみつく執念だけは凄まじいですね。この問題は度々取り上げてまいりましたし、国鉄改革との比較でも取り上げました。いわゆる道路公団改革の結果として、それまで料金収入と借入金だけしか財源のなかった高速道路の整備に道路特定財源が投入できるようになったいわゆる焼け太り問題も指摘させていただきました。ことほど左様に改革を標榜しながらその実内容はむしろ後退しているケースは、郵政民営化と軌を一にします。

ガソリン値下げはうたかたの夢に終わったわけですが、昨今の行動経済学の実証研究で、人は同額の利益と損失を蒙ったときに、損失の方が利益より2~2.5倍大きく感じるというのがあります。いわゆる損失回避バイアスと呼ばれるものですが、ガソリン税が元に戻ったことで2.6兆円の税収を取り戻したと政府が考えるならば、とんでもないことです。国内消費で5兆円超のマイナスインパクトを受けたのと同じということです。当然経済は停滞し、税収も不足します。ま、そもそも20兆円に及ぶ赤字国債の発行が決まっているなかで、2.6兆円の未来への付回しをするなというのは、どう見てもブラックジョークです。

ま、元々私はこれ以上道路は造るなと申し上げてきたわけです。実際洞爺湖サミットで地球温暖化問題をテーマとしたい意向があるようですが、道路を作って必要以上に生活空間を間延びさせることの弊害を真剣に考えるべきですね。昨今欧州から始まった鉄道復権の動きは、まさに温暖化防止に対する欧州の真剣さの表われなのですが、鉄道の通らない洞爺湖町でサミットという時点で、日本の本気度が疑われます。ちなみに、以前から鉄道ネタが多い週刊東洋経済の4/19号で鉄道革命が特集されてます。鉄道の今をコンパクトにまとめられており、おススメです。購入はこちらから。

実際には人口密度の低い欧州での鉄道復権は、平坦な途ではなく、公的助成なしには成り立たないのが鉄道事業の常識でした。しかし欧州の鉄道政策は、オープンアクセスを原則とする過激なもので、鉄道線路保有者に列車運行を希望する事業者の参入を妨げてはならないというもので、いわゆる上下分離原則なんですが、これによって各国鉄道が国境を越えた列車設定を行ったり、独カールスルーエのように都市交通事業者へ線路を開放するとか、ドイツ鉄道(DB)がとりわけ熱心な国際貨物列車などにより活性化されてます。そして人口密度の高いアジアへの売り込みも熱心ですが、国内事業の厳しさゆえに国外での事業機会を求め、規模の利益を追求しているわけです。台湾新幹線をフルターンキー(一括受注)ではないからやだ、と投げ出した某社の空気の読めてなさ加減が知れます。


翻って日本ですが、鉄道活性化は事業者ベースでの取り組みに留まり、整備新幹線のように将来展望の定かでない事業に拘泥するなど、欧州に後れを取っていることを認めざるを得ません。アジアが今後の鉄道プロジェクトの中心となりそうですが、事業規模からいってフルターンキーでの受注は難しく、本来台湾での欧州システムとのすり合わせの経験は貴重なものの筈ですが、あっさり捨ててしまいました。あれこれあった台湾高速鉄道ですが、ベトナムやインドなどアジア地域の先行事例としてコンサルタントとして台湾高鉄が名乗りをあげようという気運もあるようです。

あと税収不足で予算を執行できないと騒いだ自治体ですが、当ブログで地方独自課税にも言及しましたが、それと同等のことを発言したのは東京都の石原知事だけという体たらくです。地方の首長の本気度はこんなもんです。

後期高齢者医療問題もあって、当分解散もできない福田政権ですが、つまるところ政治の空白だけは今後とも続くわけで,JAPAiN(日本の苦痛)ならぬJAPAM(日本のジャンクメール)と言われかねない状況は続きます。

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Sunday, April 13, 2008

未来へ翔る新型スカイライナー

N'EXの車両更新を取り上げた以上、こちらも取り上げないとバランスが悪いですね。E259系がが2009年登場ですから、ある意味2010年の成田空港新アクセス完成によるニュースカイライナーを迎え撃つためということも言えます。両者は現状でも棲み分けられてはいるのですが、スカイライナーのてこ入れで、勢力図が変わる可能性は十分あります。

まずは現状ですが、JR東の253系は、3連及び6連合計111両で30分ヘッド、スカイライナーはAE100形8連7本でピーク時30分ヘッドですから、JRは新宿や横浜など広域に運行して集客しているのに対し、京成スカイライナーはひたすら上野、日暮里と成田空港を往復するだけですので、半分以下の車両数で対応できているわけです。編成定員も400名超でその意味で意外と生産性は高いかもしれません。ただしターミナル立地の劣勢は拭えず、JRやリムジンバスの後塵を拝する結果となっています。

一方で京成グループとしては、ちはら線を直営化した後、北総線が悩みの種でした。千葉ニュータウン計画自体、北総線のほか、千葉県営鉄道北千葉線(仮称)、成田新幹線を通し、それをテコに大規模開発を目論んでいたのですが、北千葉線については結局県営鉄道としては実現せず、北総と重複しない小室以東の区間が紆余曲折を経て京成の子会社である千葉ニュータウン鉄道を第三種事業者とする北総鉄道の第二種事業区間として現在に至ります。またオイルショックを契機とする政府の総需要抑制策によって、建設が内示されていた成田新幹線は凍結され、2度と復活することはありませんでした。

千葉ニュータウンについては、誇大と思われる開発計画から逆算されたのでしょうけど、北総鉄道は初期投資が過大となり、それが運賃へ跳ね返って首都圏通勤鉄道の常識を超える高運賃ゆえに、沿線開発は一向に進まず、累積赤字を垂れ流す結果となりました。昨今ようやく沿線に大規模商業施設がオープンするなど、開発が徐々に進み、単年度で黒字を出すには至ったものの、累損一掃には程遠い状況です。一方で成田新幹線ですが、構想線は土屋(信)~成田空港間が成田空港高速鉄道としてJR成田線と京成線が乗り入れる形で実現し、東京~西船橋間は京葉線都心ルートとして実現しているのですが、千葉ニュータウンを通過する区間は当然実現しておりません。ですが都心から遠い成田空港の鉄道アクセスに利用しようという構想は度々浮かんでは消えしました。中には京葉線都心ルートで実現した区間と、着工の目途が立たない有楽町分岐線(亀有ルート)とをつなぎ、押上から京成線、高砂から北総線を通り、印旛松虫(仮称、現印旛日本医大)から成田新幹線ルートを通って成田空港へ至るものなどもありました。当然、京葉線都心ルートと成田空港高速鉄道が実現して、構想は消えたわけですが。

その意味で成田新幹線ルートを用いた成田空港アクセス鉄道のアイデア自体には、それほど新しい要素はないのですが、今回の北総ルート活用では、山手線上のターミナル(日暮里)から30分台という具体的な目標を掲げて寝られた計画であるという点に新しさがあります。併せて北総線のてこ入れ策でもあるという点も見逃せません。
詳しくは新型スカイライナーwebサイトをご参照ください。またニュースリリース(PDF)もご参照ください。

現状と比べ、15分の時間短縮とピーク時20分ヘッド運行がアナウンスされてます。つまりは時間短縮と折り返し間合いの見直しで、現行の最大運用数で対応できるわけで、ここがキモです。つまり成田新幹線の落とし児である北総ルートを活用することで、生産性を劇的に高められるわけです。スピードアップによる集客増とともに、おそらく現行と同等の運賃料金でサービスレベルを高められるわけですね。加えて同じ北総ルートで一般車両によるアクセス列車を20分ヘッドで設定でき、既存の京成線ルートからも20分ヘッドで併せて1時間最大9本の列車設定が可能になるわけです。あと裏技ですが、第1.第2ターミナルの中間に位置する東成田駅を活用すれば、さらに上乗せが可能なわけですから、盆暮れ春秋連休などの需要期への対応力も高まるわけで、京成としては力が入りますね。実際新型スカイライナーは8連8本を投入予定ということで、おそらく高速運転で走行距離を稼いでしまうことから、検査予備を余分に見込んでいるものと思われます。

となると、あとの興味として一般車両によるアクセス列車がどういったものになるかですが、いわゆるエアポート快特が京成線内快速に格下げされ、佐倉止まりになるなど、成田―羽田連絡の実態を失っている状況ですが、北総ルートによる復活があるかどうか、興味は尽きません。ただし一般車両使用ですと、最高速160km/hというわけにはいかないでしょうから、成田―羽田間、直通1時間には程遠いといえます。それでもダイヤ上の制約は減ります。

いわゆるインフラ投資で、前の記事でも指摘しましたが、新線効果が長続きしない状況にあるわけですが、人口減少が始まっている以上、避けられない問題です。その一方で成田空港新アクセスのような事業では、既存ストックに付加価値をつけることができるわけで、今後のインフラ整備のあり方を示すものといえましょう。元々成田闘争という負の歴史を背負っている千葉県ですが、高度成長が去った今、改めて身近な資源を有効活用していく知恵が求められます。

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Saturday, April 05, 2008

つくばみらい市の憂鬱、新線効果の限界

東京圏の住宅地の下落率上位市区町村

(単位 : %)


1 2 3 4 5
市区町村 茨城県
利根町
茨城県
龍ヶ崎市
埼玉県
五霞町
茨城県
つくばみらい市
茨城県
境町
△5.9 △4.7 △3.8 △3.5 △3.2

国土交通省の公示地価に関する発表の中から、こんな表を発見いたしました。東京圏の住宅地の下落率上位市町村ワースト5中4つまでが茨城県という結果です。ま、外縁部から下落が始まるのは仕方ないところでしょうけど、その中で異彩を放つのが4位のつくばみらい市です。言うまでもなくつくばエクスプレス沿線です。

つくばエクスプレス沿線の他の自治体については、おおむね上昇しているようなので、つくばみらい市の数値は目立ちます。ま、前の記事でも指摘しましたが、そもそも公示地価そのものがフィクション性を含んでいるので、他の自治体でも下落が始まっている可能性は留保する必要があるかもしれませんが、断定は控えておきます。

しかし計測された標準地のワースト10ランキングを見ると、1~4,6,8位につくばみらい市の標準地がランクインしており、下落率の高さはそれ以前の地価水準が高かった可能性があります。つまり新線開業効果を織り込んで形成された相場が腰折れした可能性が高く、2005年8月の開業以来、順調に利用を延ばしているつくばエクスプレスですが、わずか2年半で足許ではこのような現象がおきているのですね。新線開業で住宅地の供給が増えた一方で、既に選別が始まっているわけです。

ここで気になるのが、先月末に開業した新線2路線です。日暮里・舎人ライナーと横浜市営地下鉄グリーンラインです。いずれも鉄道空白地を埋める形の新線で、しかも共に公営交通であるという点も共通です。前者はゆりかもめなどと同じニイガタトランシス製新交通システムであり、先日ハブ設計ミスが指摘されたばかりですが、その分メンテナンスコストを余分に見積もる必要はあります。横浜市営グリーンラインはリニアミニ地下鉄ですが、民営化検討委でも指摘された既存のブルーラインと異なった規格の新線としたことがどう出るか、悩ましいところです。

一応グリーンラインに関しては、リニアミニ地下鉄としたことで、事業費を200億円ほど圧縮されたようですが、元の計画が日吉で東急新東横線(仮称、現目黒線)との相互直通を構想していたわけですから、その元計画に対して200億円圧縮では、開業後の収支にほとんど影響しませんから、ブルーラインとの共通規格によるスケールメリットを考えると疑問が残ります。

とはいえ新線開業で人の流れが変われば、そこに商機は生まれるわけで、沿線への商業施設の進出などは活発化しており、港北ニュータウンにコーナンモールなど、地域活性化には寄与するにしても、それだけ競争激化するわけです。そうでなくても新横浜駅ビルオートモール・トレッサ横浜など近隣に商業施設の新設が相次ぎ、局地的にはオーバーストア気味なだけに、今後に課題は残ります。

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Thursday, March 27, 2008

東北縦貫線と公示地価の不況和音

東北縦貫線の工事日程が発表されました。

宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れ工事の着手について(PDF)
5月に着工し2013年度完成予定ということで、今年6月開業予定の東京メトロ副都心線共々、首都圏の鉄道ネットワークは充実します。それと密接に関連する再開発ブームも、新たな局面が見えてきました。そんな中で発表された公示地価ですが、見てみましょう。
08年の公示地価、2年連続上昇・全国伸び率、1.7%に拡大
違和感を持たれる方が多いと思うんですが、どう考えても、既に8月のサブプライムショックの影響で、明らかに地価は下落へとシフトして潮目が変わっているのですが、公示地価は2年連続上昇、かつ伸び率も高くなっているのです。いわゆる1物6価といわれる地価のフィクション性がかなり出た結果です。

国交省発表の公示地価と、都道府県発表の基準地価は、それぞれ毎年1/1(公示地価)と7/1(基準地価)時点の数値で、計測地点が異なるので、相互補完関係にあります。そしてこれらが、公共事業の用地買収費の基準となるわけです。それが実態を反映していないというのは、今に始まった話ではないんですが、特に都市部の公共事業における用地買収費の比率は高いわけですから、税で集めた資金が土地所有者へ配分される仕組みとして捉えると、実勢価格とのズレの意味は即富の配分を左右することになります。ぶっちゃけ富の東京一極集中が加速し、都内の土地の多くを所有する大企業を利することになります。

こんな観点から地価の推移を長期的に見ると、面白い傾向が見えます。

<図>地価はまだバブル前の水準
グラフは1974年の全国平均の地価水準を100とする指数ですが、商業地に関しては、バブル期はおろか1974年水準にも達していないという事実です。言うまでもなく東京都心などの地価水準は高止まりしているわけですから、それだけ地方の商業地の価格が下がっているということでもあります。シャッター通りの実態の反映ですね。

つまりは一部のブランド地域以外では、土地の収益性の低下に合わせて地価も下落しているわけです。そして大都市でもサブプライムショックで、主に不動産私募ファンドや上場REITに入っていた外資が売りに転じたもので、株と同じ構図です。同じ大企業でも、トヨタ効果が期待された名古屋駅前などは、むしろオフィス空室率が高くなって、早や地価下落傾向が見えております。名古屋浮揚にはリニヤだがや

冗談はさておきまして、土地の収益性が低下すれば地価が下がるのは株と同じで、つまるところ、一部を除いて日本の商業地の収益性がそれだけ下がってきたということでもあるわけです。今後人口減少とともに、この傾向は動かしがたいところです。

一方で住宅地は、商業地に比べれば基準年(1974年)の1.5倍強ですから、商業地ほどには下がっていないことになります。ま、それだけ大都市圏への人口集中が激しく、住宅地の地価を押し上げている側面はあろうかと思いますが、それ以上に、住宅地の場合は、特に日本のように持ち家が推奨される国では、国民の購買力を反映した水準になっているということはいえそうです。実はこの点に、日本経済の浮揚策が見えてきます。

日本の国民は、例えば20坪の土地いっぱいの建売で数千万円の省エネ住宅(ウサギ小屋とも言う^_^;)など相対的に高い住宅を購入しているのですが、その資金が住宅購入から開放されれば、他の分野の消費に回ることが期待できます。そして人口減少によって、将来需要される住宅は減りますから、既存の住宅ストックを活用することで、価格を押し下げることが可能になります。逆に購入する場合には、リセールバリューを意識せざるを得なくなるわけで、中古住宅に値段がついて、住宅ローンの担保割れなんてこともなくなります。住宅が実質資産となるわけで、この面でも消費マインドを高めます。その結果国内商業が活性化すれば、商業地の収益力が回復することになります。

結果的に日本のGDPが押し上げられます。先進国中最も個人消費が弱い日本ですが、ここを掘り起こすことができれば、年率数パーセントの経済成長も十分可能です。ま、そのためには年金や医療などの社会保障が充実して、安心して消費できる環境が必要なんですがね。

あと現状のサブプライムショックは、日本のバブル崩壊後の金融不安と同じように世界で信用収縮が起きているのですが、それによるアメリカの実体経済の減速は避けられないところです。そしてその影響は4月以降に来ると思われます。さらに欧州でもイギリスやスペインなどで土地バブルに崩壊の兆しが見えますので、欧州経済の変調も早ければ年内に始まるでしょう。それでも当面はBRICsなど新興国が牽引することで、急減速は避けられるでしょうが、影響は長期にわたると覚悟した方が良いですね。経済は時間差を以て波及するものです。いわば不況のカノン(輪唱)が始まるということか。

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Sunday, March 23, 2008

似て非なる道路と国鉄

まずはサイドバーでご紹介した国鉄最後のダイヤ改正―JRスタートへのドキュメントについてですが、特に貨物関連の記述が焦眉です。赤字の元凶として国鉄部内からの安楽死説が言われる中で、再建監理委でもまとめきれず、結局国鉄自身で民営化後の適切な事業規模から逆算して、貨物列車のトレインアワーを各地域へ割り振ることで、否応なくヤード系から直行系輸送システムへ移行させたことで、逆に貨物は存続できたわけです。

本州3社+3島会社+全国1社の貨物会社の7社体制という方針は決まっても、具体的な肉付けは国鉄再建監理委の手に余るものでしたので、当時の国鉄幹部による旅客会社の分割境界の設定や直通列車に関する取り決めその他、国鉄自身で決めざるを得なかったのです。また、実際に国鉄が回答を用意しなければ、役人に踏み込まれて現場が掻き回されるという危機感も共有されていたことが読み取れます。つまりは国鉄自身が変わらなければならないという思いを抱いていたわけで、国鉄改革が成果をあげ得たことはこの点に尽きるといえます。

それから20年、私たち国民の前に、道路公団と郵政の民営化の茶番を見せ付けられたのですが、いずれも国鉄改革とはかなり事情が違います。郵政に関しては、過去にも何度も取り上げておりますが、今回は道路問題について考えます。

改革続行の試金石は道路財源で指摘したとおり、道路財源問題は、元々小泉政権、安倍政権時代からの積み残しで、流れとしては、いわゆる道路公団民営化関連で、大赤字の本四公団の債務償還に道路特定財源を充てた結果、2007年度から道路特定財源に約7,000億円の余剰が出るので、それを一般財源化しようという話だったんですが、安倍政権時代に道路計画を積み増して、余剰金額を圧縮した上での形ばかりのものになりました。

その上、そもそも道路公団民営化の仕組みそのものにも、道路特定財源の使途拡大の仕組みが組み込まれております。元々道路公団が手がける高速道路は、料金収入と借入金で整備し、道路特定財源は一般道の整備に使われるものとして、全く別立てだったのですが、道路公団改革で、いわゆる新直轄方式と呼ばれる仕組みが導入されて、高速道路建設に道路特定財源を投入できる制度の道すじができたものです。

簡単に申し上げますと、道路公団改革では、高速道路の資産と負債は、(独法)日本高速道路保有・債務返済機構が管理し、各高速道路会社は、営業権を付与されて高速道路の料金収受やSA・PAのテナント料収入などのフローを得、機構にリース料を支払う存在となっております。つまり資産も負債も持たず、キャッシュフローの管理だけを行う機関を株式会社化したわけで、トップは旧公団や国交省の天下り役人ですから、何のことはありません、実態は高速道路利権の山分け機関に過ぎないのです。また上記の新直轄方式によって、従来は高規格自動車専用国道など、例外的な扱いだった直轄方式とは異なり、機構に道路特定財源を入れることで、高速道路整備を継続できる仕組みとなったわけです。

国鉄改革を見てきた私たちとしては、何か悪い夢を見ているような感じですが、JR発足当初に新幹線を新幹線保有機構が保有し、本州会社各社がリース料を支払って、それを機構が債務返済に充てるという上下分離の仕組みを取り入れたのですが、これは後にJR各社の発議によって、重要な事業用資産として直接管理すべきということで売却され、現在はJRの資産となり、対応する負債もJRへ移されました。その際に資産価格の査定を細工して、非償却部分への上乗せで2兆円ほどの鉄道整備基金の財源を確保し、整備新幹線その他の鉄道整備に国の支出分として拠出し、リース料で償還する仕組みが作られ、国鉄改革で宙に浮いていた整備新幹線の財源が確保されたわけですが、道路公団改革でとられた手法というのは、いわば新幹線の上下分離に別財源で整備新幹線の整備財源を投入できる仕組みとしたことになります。この仕組みを用いれば、道路特定財源を、抑制するはずだった高速道路整備にいくらでも回せるわけで、つまりは道路特定財源に余剰が出ればいくらでも箇所付けできてしまうわけです。

元々道路会社は資産も負債も持たず、料金収入などのフローの管理だけを担当するわけですから、公的な財源投入で作られる新路線はむしろ増収効果があるわけで、反対する理由もないし、また法令上も反対できない仕組みです。ほんとアントキノ猪瀬直樹のインチキぶりに腹が立ちます。かくして全国の知事から暫定税率廃止反対の大合唱となるわけです。

自前の資産で利益をあげて税などで社会へ還元するからこそ、民営化は意味があるわけですし、採算性を度外視した投資は、利益に貢献しない不良資産を抱え込み利益を食い潰すことになるからこそ、無駄な投資の抑制効果があるわけですが、道路公団改革にはそれがないどころか、従来なかった道路財源の投入を可能とすることによって、破滅的に無駄遣いにまい進することになるわけです。というわけで、JRが新幹線の資産買い取りをしたことは、民間企業として健全経営を維持する意味で重要だったこともまた再確認できます。

というわけで、多少の混乱は予想されますが、暫定税率の時間切れ廃止は、民主政治のコストと割り切ることで、国民的には容認できることといえるのではないでしょうか。

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Saturday, March 08, 2008

日銀総裁人事の国民的意味とは?

今回は鉄ネタ抜きでまいります。まずはこのニュースです。

日銀人事で民主、政府案反対の構え――空白回避へ駆け引き
今月19日に任期を終える福井総裁ですが、結局金利正常化道半ばでの退任となるわけですが、後任人事を巡る与野党のせめぎ合いが続きます。メディアの論調は、ほぼ「任期満了までに後任人事が決まらず空白になる、えらいこっちゃ」という感じですが、ちょっと待って欲しいです。国民の視点を忘れるなと言いたいです。

そもそも日銀総裁などの国会同意人事ですが、従来は政権与党の数の論理で粛々と決められていて、国民の関心を引くこともまずなかったことですが、与野党ねじれ国会ゆえに、国会の同意をめぐる攻防によって国民的関心が喚起され、国民注視のもとでの候補者選びや衆参両院での所信聴取などの手続きが決まり、民主化プロセスに乗っかってきたことこそが、国民的には意義のあることではないでしょうか。少なくともこのような決定プロセスを踏むことで、誰がなるにせよ、今までのように政府与党関係者の利上げけん制などの圧力発言はできにくくなるという意味で、やっと日本でも中央銀行の独立性が担保される可能性が出てきたわけです。

にも拘らず「決まらなかったら大変だ」という政権を代弁するような報道しか見られないのが残念ですね。仮に決まらずに空位になったとしても、半年1年ならともかく、1週間や10日程度なら実務への影響もないし、それならば国民レベルで納得できる人選をする方が優先されるべきではないでしょうか。その辺は経済専門紙であるはずの日経からして駄目です。確かに中銀総裁を決められないというのは、政権にとってはかなりみっともない話ではありますが、そんな政権のメンツと国民合意のどちらが大切なのかということですね。そういった意味から、この問題に関しては、民主党には簡単に妥協してほしくないですね。

ま、どちらにしても利上げにも利下げにも動けない日銀の現状は動かしがたく、コイズミジレンマで身動きが取れない政府共々、身動きが取れないのですから、ミニ掲示板のヨタじゃないですが、あの白い犬にでも代役をさせるか(笑)。就任会見で「ボーイズ・ビー・アンビシャス^・A・^」というか「ありえないっす^・A・^」というか。「メール受信タダじゃないぞ!」だったりして^_^;;;。

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Saturday, March 01, 2008

ゆりかもめのハブ損傷は設計ミス

2006年4月に起きました新交通ゆりかもめのハブ損傷事故で事故調の報告書が出ました。

新交通ゆりかもめ事故、金属疲労でハブが破断・事故調
報告書の要旨はこちらです。なお、48pに及ぶ調査報告書(PDF)に詳細が記されてますが、容量が大きいので直接リンクはいたしません。また、当ブログの記事は以下になります。
ゆりかもめ、手痛い週末全面運休
10年で経年劣化?ゆりかもめの苦悩
過去記事でも触れておりますが、10年で経年劣化というのは、そもそも公共交通システムとして問題ありですが、経年劣化による応力金属疲労を設計で考慮されていなかったということですから、設計ミスという評価になったわけですね。

ちょっと気になるのが、ゆりかもめのシステムは新潟鉄工の手になる点です。ご存じのとおり新潟鉄工は破綻し、輸送用機器事業を富士重工の鉄道車両製造事業と統合の上、新潟トランシスとして再生されたわけですが、これによって旧新潟鉄工と富士重工という、旧国鉄時代の気動車メーカー2社が合流した点に因果を感じます。

JR東日本顧問の山之内秀一郎氏の回顧録の中で、アルカディア号の火炎事故問題を取り上げておりまして、そもそもエンジンの設計が戦前の古いものだったことから、この事故をきっかけにエンジン換装が行われ、入札によってカミンズが採用されたのでした。寿命半分、値段半分、重さ半分の電車(いわゆる"走ルンです"シリーズ)の開発が、談合との決別を意図したものであったことを明らかにしてますが、気動車では前記2社の寡占状態だったことを考えると、破綻した新潟鉄工には、談合体質が染み付いていたといえるかもしれません。

新交通システムにしても、モノレール等のインフラ補助は、補助金事業として今話題の^_^;道路特定財源が充当されるという意味で、談合が日常化していると考えられますし、そういった中で、安全性が置き去りにされたのだとすると、何ともやりきれないものを感じます。今月30日には、同じシステムを採用した都営新交通日暮里舎人ライナーの開業が控えておりますが、ゆりかもめの事故を教訓として、安全運行を願ってやみません。

2/24には湘南モノレール西鎌倉駅のオーバーラン事故がありました。こちらは三菱電機製のシステムで、今まで大きなトラブルもなく運行しておりましたが、突然の不可解な事故で、間引き運転が続いております。こちらはブレーキトラブルということで、駅手前の下り急勾配が影響したのでしょうが、ゴムタイヤで粘着性能が高いことから急勾配を採用したことが仇になった可能性があります。

ま、湘南モノレールは純民間事業ですから直接関係はないんですが、湘南モノレールと同じシステムが千葉都市モノレールに採用されたことは知られております。純民間事業である湘南モノレールは収支好調ですが、千葉都市モノレールはいわゆる赤字三セクです。湘南モノレールはいわばショールームで、コストの一部を千葉につけ回すこともできてしまう状況というのもあるわけです。ま、この辺は憶測の域を出ませんが、補助金があるから自治体がモノレールや新交通システムの導入を考え、談合でシステムが決定するとすると、時間の長短はあるかもしれませんが、モノレールや新交通システムで不具合が発生する可能性は指摘しておきます。

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