地域活性化の新潮流、年金富裕者を囲い込め
日本経済新聞9/20の月曜特集で取り上げられてましたが、北海道伊達市と島根県西ノ島町(隠岐諸島)の取り組みです。
過疎化に悩む地方にとっては、定住者を増やすことが喫緊の課題ですが、団塊世代の年金受給開始をにらんで、定年退職者を定住者として呼び込もうという取り組みが始まりました。
伊達市では北海道としては温暖な気候を生かして、乗合タクシーや高齢者向け住宅など、高齢者が住みやすいまちづくりを目指すもので、民間主体で取り組んで採算事業にするという意欲的なもの。既に人口が5年で700人増加し、昨年住宅地の基準地価上昇率が全国トップになるなど、効果が現れています。
一方の西ノ島町では、現役世代のUターンIターンを狙っても魅力のある雇用の場を提供できずうまくいかないところを、年金生活者ならば働かなくても生活に困らないという逆転の発想から、都市生活経験のあるスキルを持った退職者を招いて産業基盤を育成しようというものです。離島のハンデで現役世代定住者の取り合いは難しいけど地域の弱点を見据えた上での、身の丈に合ったやり方といえます。
地域活性化というのは、つまるところ地域にお金を落とし、落ちたお金を地域で循環させることです。工場誘致、企業誘致だけが手段ではありません。むしろ工場誘致で地域活性化を狙った多くの地域が、中国の台頭など製造業の空洞化で廃墟を抱える羽目に陥りつつある現在、従来の常識では福祉負担の元凶のようにマイナスイメージで語られることが多い高齢者を敢えて迎え入れることで、活性化を達成しようというのは、見逃せない変化といえます。
少子高齢化、人口減少社会というと、国の将来が危うい、手を打たないと大変なことになるという論調で語られることが多いんですが、このような変化を捉えて対応していくことで、実は肥沃な大地が広がっているということを見過ごしてはいないでしょうか。
特に団塊世代は高度経済成長下で青春を過ごし、元々消費性向の高い世代といえます。加えて破綻寸前と言われる公的年金制度の中では「勝ち逃げ」を果たす世代でもあり、彼らが生産を離れたときに、かねてから言われていた内需主導の経済成長が本当に始まるのだろうと思います。ただし変化に対応するためには、古い殻を脱ぎ捨てる必要があります。伊達市のケースでは民間主体が事業を行いやすいように規制緩和で側面支援することが公的部門の役割という認識があって、初めて可能な話です。こういったことが本当の意味での「構造改革」なんですけどね。今後他地域へ広がることを期待したいと思います。
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