渋谷再開発に賭ける東急、百貨店を完全子会社化
経営再建計画を実施中の東急ですが、2005年3月で計画が終わるのを期に、渋谷再開発で攻めに転じます。
9/28の日本経済新聞朝刊によれば、2012年度予定の東横線渋谷駅の地下移転後に予定される再開発事業へ向けて、機動的な意思決定をはかるために、百貨店を完全子会社化するものです。
大まかには現東横線渋谷駅跡地の一部をJR渋谷駅の拡張用地に差し出して、代わりにJR駅上空に建設予定の再開発ビルの権利を得るといったアウトラインになると思われます。丁度西口で営団、京王電鉄と共同で取り組んだ渋谷マークシティの開発手法を大掛かりにしたイメージでしょうか。当然百貨店(東横店)の増床計画を絡めることになるわけですから、意思決定の迅速化の意味は大きいと言えます。
そのために手元資金200億円で百貨店株の公開買い付けと不足分は電鉄株との株式交換で賄う予定です。そして次年度からの攻めの経営に移行するために、ハンズ株の売却を決定、あと福利厚生施設の売却益などを確定拠出年金移行に伴う特別損失に充当し、2000年度に多摩田園都市の未開発地売却に始まる一連のリストラを終えるということです。
バブル期に肥大化し、グループ各社で事業部門の重複が目立つなど、ケイレツの非効率が目立つようになった東急ですが、やっと整理がついて次のステップへと言いたいところなんですが、例えば百貨店では優良店の日本橋店を身売りしての再建計画が買い手がつかずに手こずったり、観光客の減少に苦しむ伊豆急行の救済のための完全子会社化など、チグハグな感は否めないところでして、今回のハンズ株売却も、業績好調で株式上場間近と言われるものを現時点で売却することについての疑問はあります。
渋谷の再開発事業そのものも、2012年の渋谷駅地下化以降に取り掛かるものですし、その成果が出るのはさらに後の話ですから、かなりきわどい賭けの要素があります。
とはいえ渋谷は東急にとっては事業の核となる場所でもあり、マークシティ開発で低年齢化に歯止めをかけようという意図はある程度成功とみてよいでしょう。そのあたりで自信を取り戻しているのかもしれません。結果が出るのは先の話ではありますが。
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