能登空港、地域公共交通ニーズへの公的対応のケーススタディとして
やや長いタイトルですが^_^;、中身は薄いです^_^;;。
えーと、例えば武蔵野市のムーバスの成功などに見られるように、交通問題は地域社会に固有の問題を抱えている場合が往々にしてあるんですが、従来のサプライサイドの対応ではニーズをつかみ切れないケースはままある話です。それに対して公共部門がどのような対応をとることができるかという観点からみれば、木村氏が言うように能登空港は貴重なケーススタディとなり得るものです。ただしムーバスを嚆矢とする地域コミュニティバスが他地域では必ずしも成功していないように、能登空港のケースが過疎地全般にとってのモデルとなり得るかどうかはまた別の話です。あくまでも地域のニーズに合致するかどうかで判断するしかありません。
能登空港の搭乗率保証制度ですが、確かに日本では先例はないんですが、ミッテラン政権時代のフランスで行われた地方改革が示唆に富んでいます。大雑把にいえば憲法で保障された基本的人権の1つとしての移動の自由を
「交通権」という概念を法的に定義し、行政府にその実現のための具体的責任を負わせるものです。フランス国内の移動に関しては、株式会社形態の政府出資特殊会社であるフランス国鉄(SNCF)と自治体とが個別に契約を結んで、地域の交通サービスを自治体の補助金によって維持しようという考え方です。原理主義的自由経済論者は「社会主義的」と嫌うかもしれませんが、過疎化の進行の中で地域のコミュニティを守り生活を維持していく上で、財政支出が結果的に社会的コストを最小化するならば、住民の経済厚生は向上し結果的に地域の活性化にもなるという考え方ですね。例えば人口5000人の自治体で公立の総合病院を持つかその地方の中心都市の総合病院への通院手段を確保するかで、どちらが住民ニーズに合致し、結果の負担を減らせるかという判断になるわけですね。
その意味では能登空港は、皆さんが指摘されるように、日本の空港整備特別会計で大都市空港の着陸料を政治力で引っ張ってきて整備されたもので、その部分への不満は当然あると思いますし、私もこの部分は同感なんですが、「悪法も法」、現行制度を利用してとりあえず作ったハードを、地元住民の負担で有効利用することに対してまで噛み付くのはどうかなと思います。むしろ公的資金の資本効率を高めることになるわけで、国民的には喜ばしいところではないでしょうか。かつての国鉄赤字ローカル線問題などで「作っても利用しない」ことに国民は怒ったのではないでしょうか。ローカル線も「廃止反対」ばかり言わずに村の公金で住民全員に定期券を買って支給するような知恵が何故に働かないのか不思議でしたが、大半のケースでは住民自身にとって他人事だったのでしょう。もちろんこのような地方財政による補助は、民主的な選挙で選ばれた首長や議員により住民ガバナンスが働く環境にあることが前提です。ま、この部分は日本の多くの地方の弱い部分ではありますが^_^;。
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