プロ野球スト突入、団結と分断
旬の話題にシフトします。プロ野球のあり方云々は置いといて、労働組合としてのプロ野球選手会のことについてつらつらと。
先週末のスト延期が12球団維持のための新規参入規制の緩和などの条件闘争への切り替えであったであろうことは、外野からもわかりますが、結果的に経営側の約束が空手形に終わりそうな気配から、スト突入となったんですね。
この展開は正直読めませんでした。ただ選手会長の古田ががんばっていることだけはわかります。そもそも選手会も一枚岩ではないわけで、合併が決まっている近鉄とオリックスの選手は、直接的に自らの雇用が危機に直面しているわけですから、強硬な態度を取るでしょうし、中日などリーグ優勝が見えている球団の選手は、ストなどでペナントレースにケチをつけたくないでしょうから、選手会内部の温度差は大きいといえます。
あと球団側による選手の切り崩し工作もあって、「プロテクト枠から外す」とか「引退後どうする?」みたいな恫喝まがいのことも行われているようです。巨人首脳の「スト決行ならばペナントレースは無効」発言も、「違法ストで霜害賠償」発言を受けたもの、つまりパリーグのプレーオフも日本シリーズも無くなって損害額が大きくなるという意味の圧力発言といえます。
プロ野球選手のストについては「高学年俸を取る選手がストなんておかしい」という声があることは承知しておりますが、事が選手の雇用に関わる話ですから、スト自体には一定の正当性があると言えるでしょう。そもそもFA制度によって年俸が高騰したのは、制度の問題であって選手が悪いと言えるのかどうか。
一般サラリーマンでも円高で結果的に世界一の水準となった日本の人件費が、競争上劣位となってリストラの口実となったことを忘れないようにしましょう。プロ野球選手でもFA制度が始まってから高学年俸を理由に自由契約になったベテラン選手は多いんで、何か年功賃金制ゆえに高騰した中高年サラリーマンの話に似ています。
確かに球団の合併とか新規参入規制の緩和などは、経営の専管事項であって、それ自体は労組が口を挟む問題じゃないといえますが、それを言うのはまともな経営ができている前提での話です。経営者がアホで会社が無くなるというときに「経営の問題だから口出ししません」なんて労組だったら救われませんね。
やや散漫になってしまいましたが^_^;、言いたかったのは、この難局に挑むリーダーとしての古田のアッパレぶりでして、一説によれば「これでヤクルト次期監督の目が消えた」そうで、かくもリスクを犯しながら、選手会をまとめているのは大したものです。どこぞのフォ-ラムマネージャー氏とは大違いです。
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