プロ野球ストについてさらに考えてみた
阿由多さんからトラックバックをいただきました。いかなる決着が待っているのかはわかりませんが、選手会がスト突入したことで、選手会側はむしろ一線を越えて退路を断った形になり、結束を固める結果となりました。
むしろ球団側のほうが、何故新規参入が2006年度からでないと無理なのか(少なくとも野球協約上は11月30日までに加盟申請することが条件付けられており、文字通り解釈すれば来期からの新球団参加は可能なはずです)、さらに遡れば近鉄の買収に手を上げた企業が現れた時点で、赤字を理由とした合併の意味そのものも揺さぶられているわけです。何か今は明らかにできない「模範解答」があることを予想させます。
でもそれは言えない。そりゃオーナー同士の阿吽の呼吸で決め事が進んでいるのであれば、球団社長・代表クラスでは何も言えないのも無理からぬところです。何しろ球団オーナーは日本に12しかない「名門」ですから、何か決めるのにいちいち他人にお伺いをたてるいわれなどないのでしょう。
とすれば交渉に当たった球団代表は、いかに選手会の目先を誤魔化してスト回避させるか、スト回避が不可能ならばいかに選手会を悪者にするかという「使命」をもって交渉に臨んだわけで、誤魔化されず突っぱねた選手会は結果的に正しい判断をしたことになります。
さらに冒頭に書いたように、一線を越えることで、選手会としても後戻りできなくなったわけで、スト突入前は温度差のあった選手同士の結束は、むしろ深まったと考えられます。ここまで読んでいたとすれば、古田は並外れた優秀なリーダーといえます。
むしろ球団側は動きすぎた。10球団1リーグという絵を誰が描いたかはわかりませんが、経営側の方が少人数ですから、情報の共有も秘密保持もやりやすいはずですし、以前ならば実際そのように推移したであろうことが、あの手この手を使ってなお進まず、むしろ手詰まり感すら漂っているというのは、確実に時代が変わったことを実感できます。根来コミッショナーの辞意表明も、江川の「空白の1日」問題で巨人の身勝手の追認機関でしかなかった現実が壊れていることを実感させます。
というわけで、まだまだ波乱を予感させますが、何年後かに今回のストを「やってよかった」と振り返る日が来ることを予想させる展開になりそうです。
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Comments
トラックバックありがとうございます。
今回のストで、選手会側の結束は否応なしに固まったのかな、と思います。まさに背水の陣ですしね。
経営者側でも、阪神の野崎社長などは早くから1リーグ制に疑問を呈していらっしゃいましたし、新規参入審査も30日でやろうと思えばできるといってます(済みません、トラキチだもんで)。
一部頑迷な経営者が、殊更に混乱を招いた気がしてなりません。
大体、選手会の行為を規約違反と言っておきながら、11月30日までに新規参入の申し入れを受け入れて審査するって規約を自分たちで守らないのは何故?
この時期に、古田という希有な選手会長を持てたのは、球界にとって良かったことなんだろう、と私も思います。
Posted by: 阿由多 | Sunday, September 19, 2004 10:06 PM