西武王国激震、鉄道屋になれなかった堤義明
つーことで旬の話題です。
発表だけではあいまいな部分があって、今ひとつピンとこないニュースですが、株式公開企業としてのモラルを問われていることは間違いありません。
そもそも株式を公開する意味は、企業が事業を続ける上で、必要な資金を広く一般の投資家から募ることにあるわけですが、他人に資本を依存することでもありますから、投資家保護の観点からさまざまな上場のルールがあるわけです。少なくとも購入しようとする銘柄に対するプラスマイナス両面のさまざまな情報が開示されていて、投資家を騙してお金を集めるようなことがないようにしなければ、安心して株を買えないわけです。
今回は特定少数株主の持株比率上限の80%を実質的に上回っていた可能性があるというのが、堤会長の辞任の理由になっているわけですが、ややこしいのは、この基準はあくまでも新規上場企業に対するものであって、既に上場している企業の明示的な上場停止基準としては存在しません。もちろん、だからといって問題がないわけではないんですが。
で、東証が上場停止をにらんで西武鉄道株を管理ポスト送りにした理由というのが、有価証券報告書の虚偽記載というので、またまたややこしくなります。中味は「個人株で実質保有分がある」ということですが、わけわかりません^_^;。
どうも堤家の相続対策というのが答えのようです。つまり創業者の康次郎から義明に全ての財産を相続し、西武コクドグループの支配権を永久に確立するための工作として、中心企業を資本金1億円の非公開企業として個人の支配権を確立して、グループ企業を全てその傘下に収めることで対応したものです。そのときに東証の80%ルールに抵触しないように、社員の個人名義を借りて西武鉄道株など傘下企業株を実質保有し続けてきたということのようです。つまりは当初から有価証券報告書には虚偽の記載がされていたということになります。東証の対応も頷けます。
でもなぜ、今それが発覚したんでしょうか。思うに名義借りの場合のテクニカルな問題点として、株主配当の扱いがあるわけですが、仮に名義を貸した個人が受け取るとすれば、事実上の贈与となるわけで、その辺に関する情報が税務当局にもたらされ、内偵が始まったことを西武コクド首脳が察知したことで、配当はコクドが受け取っていて贈与の事実がないことを明らかにする必要に迫られた結果ではないかと考えられます。
それを裏付けるように、事態を察知したコクドは、件の個人名義株を急遽他社に転売しており、それが「上場基準抵触の可能性に関する説明がなかった」かどでインサイダー取引の可能性を指摘され、買い手企業の買い戻し訴訟に発展するという具合に、見事にドつぼにはまってます^_^;。
このあたり悪いことという認識のない事柄をこっそり処理しようとしたふしが見られます。結局二代目経営者というよりは世間知らずの究極のおぼっちゃま君という感じです。
経営者として見ても、収益性の高いプリンスホテルの事業には熱心だったんですが、規制業種で収益性の低い鉄道事業には関心がもてなかったようで、かつてのライバル東急が鉄道事業を核として沿線開発に積極的なのに対し、西武鉄道沿線の開発度は概して低いままで、現状は大差をつけられているといえます。
歴史にIFは禁物ですが、「もしも堤義明が鉄ちゃんだったら」^_^;という問いかけをしたい気持ちを抑えられません。少なくとも相続のためのマネーゲームに狂騒するよりは、マシな結果を期待できる気がするのですが^_^;;。
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Comments
西武鉄道の子会社の伊豆箱根鉄道でも、有価証券報告書の虚偽記載で東証管理ポストへというニュースが流れています。もう何も言う気力がありません-o-hoo。
Posted by: 走ルンです | Thursday, October 28, 2004 12:26 AM