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Wednesday, October 27, 2004

新幹線脱線、直下型地震に打つ手なし

ショッキングな事件ではあります。でも冷静に見ていきましょう。
 新幹線の地震対策は、伝播速度の速い初期微動を検知して本震が来る前に送電を停止し列車を非常停止させるというもので、地震国だけに反応速度は2~3秒という世界トップレベルのものです。それでも震源の浅い直下型では、初期微動とのタイムラグがほとんどありませんので、従来の地震対策は無効ということになります。
 しからば予知をと考えるのが人情ですが、プレート型地震と違って、いつどこで起こるかわからない直下型地震の予知は現状では不可能です。つまりは打つ手なしということです。
 でも悲観することはありません。200km/hで1.6kmも走って転覆しなかったことで、結果的に死傷者を出さずに済んだことは幸いでした。直線路で高架橋上のスラブ軌道という強固な下部構造が幸いしたようです。また車間ダンパーが利いていて助かった面もあるようです。
 でも裏を返せば下部構造の弱い在来線やバラスト軌道の東海道新幹線だったらどうなっていたかと考えると、背筋が寒くなります。また200km/hという速度も悩ましいところで、より高速域で地震に遭っていたらどうなのかなど、未知の問題も多数あります。
 ま、ただこのことで「安全神話が崩れた」などと思う必要はありません。この規模の直下型地震では、地上に居ても安全が保証されているわけではありません。道路も陥没したり路肩が崩れたりして、例えば高速道路を100km/hで走行中に揺れに遭った場合、ハンドルを取られないで安全に停止させるのはかなり難しいですし、火でも出れば大惨事にもなりかねません。所詮人間の力は大自然の前には無力です。
 でも被害を最小にすることは、努力次第で可能ではあります。新幹線でいえば、とりあえず線路の下部構造の強化、高架橋の耐震強化やスラブ軌道の採用など、やるべきことは多数あります。高速運転時の挙動は不明ですが、曲線部で在来線のような脱線防止レールを使用するなどの方法も研究の余地があります。今やるべきことは、いたずらに不安をあおることではなく、ダメージを最小にするための取り組みを続けることだと思います。いわんや政治新幹線だから廃止などの雑音に耳を貸すべきではありません。既に存在する社会資本は有効活用されてこそ、国民経済に資するものなんです。

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Comments

確かに、今回は、スラブ軌道の思わぬメリットが明らかになりましたね。あと、NHKニュースの解説では、200系のボディマウント方式により床下が平滑なので、うまくスラブ軌道の上を滑っていったと解説していました。

東海道新幹線は、バラストで、列車頻度が高い上、カーブも多いなど悪条件を備えていますね。地上施設の補強が急がれるべきだと思います。

Posted by: Primera | Thursday, October 28, 2004 at 12:58 AM

Primeraさん、コメントありがとうございます。
 その後の報道で、脱線車両をレールに戻そうとして余震に遭い、作業が中止された由。年内の復旧は絶望的ということで、稼ぎ時の年末年始を逃すことになれば、JR東日本の業績にも影響は必至という深刻な事態です。
 またトンネルのコンクリート崩落も問題で、岩盤の隆起が原因であれば山陽新幹線のように単純に補強すればよしとはいかず、現況を確認したくても余震でできないとか。運休の長期化は免れない感じです。
 というわけで、心配な状況は続きますが、続報に注目いたしましょう。

Posted by: 走ルンです | Friday, October 29, 2004 at 09:19 PM

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