経済制裁?その前に、北へ行くコメはどこ産?
忘れないうちに書いておきます。
日本経済新聞11/15朝刊に「眠る輸入米の行方」という記事があります。新米の季節、最大の産地は新潟?北海道?いいえ外国、特に米国産ということです。3月末時点での輸入米の在庫量161万トン、うち米国産95万トン、タイ産23万トン、オーストラリア産19万トン、中国産16万トンなどなどとなります。
んで、これらの米がどこから来てどこへ向かうのかってことなんですが、そもそもの始まりは、93年のガットウルグアイラウンド合意に基づいて95年から始まった最低輸入義務いわゆるミニマムアクセスによって輸入されたコメが、年度を重ね輸入枠が拡大する一方で消費に回らずにたい積し、在庫量を増やしているものです。ざっくりいって3月末までの9年間で累計578万トンの輸入があったのに対し、消費に回った分は主食用58万トン加工用199万トンと半分に満たないのです。
とすると消費に回らなかった300万トンあまりに対して、実際の在庫が161万トンというのがミステリアスです。国産米と偽装されたのでしょうか^_^;;;。
はい、実は援助米に回っているんですね。つまりは日本政府は、輸入米に500%もの高率な関税をかけてコメの価格をつり上げるだけでは足りず、消費に回さずに退蔵し、最後は食料援助の名目で海外へ出ていくわけです。当然そのツケは国民の税金で補填されるわけで、何とも許し難い話です。
仮にコメ農家への所得保障の補助金を交付するとしても、500%関税に見合う補助金額は1兆円程度と試算されてます。その結果国民は安いコメを買えてコメ農家は所得保障下で競争力を蓄え、退蔵されるコメの調達がなくなれば、ひょっとすればコメの国際価格はさらに下がって食料支援を受ける途上国にも買えるようになるかもしれません。それを「食糧安保論」などというバーチャルなフィクションに依拠してかえって農家の競争力を削ぎ食糧自給率を下げている現状ってのは、お笑いとしか思えません。
ついでにいえば「経済制裁すべし」の声が日増しに高まるあの国へ送るコメも、出所を考えると何かばかばかしくなります。退蔵された輸入米の処分を一部見合わせるだけで溜飲を下げられるとすれば、何とも安っぽい正義です。政治的な問題は常に裏表があるものなんで、惑わされずに実質を見極めることが大事ではないかと思うのですが。
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