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December 2004

Friday, December 31, 2004

人口減少社会と公共事業その2、関西3空港の命運

紅白も飽きたし、ブログに記事でも書きます。
 人口減少という経験は、先進工業国ではあまり例がないんですが、国によって事情が異なりますので、基本的に海外にお手本がない状況といえます。原因に少子化をあげる人が多いんですが、実は高齢化の必然的な帰結としての人口減少に日本は直面しています。高齢者世代はほどなく死亡するという冷徹な事実の必然的帰結なんです。そして高齢化世代入り目前の団塊世代の後の世代の人口が少ないので、出生率の如何に関わらず人口減少は起きてしまうわけです。今、出生率が上向いても、新生児が生産年齢に達するには20年以上の時を必要としますし、教育費の負担が増えて短期的には経済を圧迫する要因にしかなりません。
 という事実関係を踏まえて言えることは、日本はこれから深刻な労働力不足に直面するということです。そしてそれは主に外需に支えられた製造業、特に鉄鋼、セメント、石油化学、電機など重厚長大系の素材産業を直撃します。これらの産業は貿易財として国際競争力を問われますから、人件費を削るしか道はないわけです。一方で流通、金融。福祉など内需関連のサービス産業の場合、基本的に非貿易財で特に対人関係能力を問われる関係で言語のバリアが高い上に、需要者である国内消費者は豊かですから、前記の産業よりも高い報酬を得られる可能性が将来的に高まります。むしろ高齢化は追い風ですらあるわけで、少なくなった労働力の取り合いでどちらの産業が有利かは言うまでもありません。
 となると前記の重厚長大型産業が主に立地する三大都市圏への人口集中の契機が一つ失われるわけで、中長期的には経済的停滞へ向かう可能性が高いわけです。
 加えて“三位一体改革”が本物かどうかはともかく、地方分権の流れは今後とも加速すると考えられますから、経済的に弱くなった近畿圏で3空港を維持する負担を現実のものとして受け入れるかという点で、果たして合意形成できるのだろうかという疑念が拭えません。
 あと高齢化は必然的に生産に携わる人口より消費しかしない人口が増えるわけですから、過剰と言われる国内貯蓄の取り崩しが起こります。これは国債発行の上限を確実に引き下げます。上限を無視して起債すれば、民間の投資資金を大幅に減らすことになり、経済を収縮させます。
 ま、工業化社会での人口減少という未曾有の事態に直面する以上、選択肢はさほど多くないんで、この現実に早く気づくべきだろうと思います。

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Sunday, December 26, 2004

人口減少社会と公共事業

寝正月が確定していて旅行などの予定がありませんので、正月向けネタにしようと思っておりましたが、簡単に論点だけ明らかにいたします。

その昔、米国のルーズベルト大統領は、未曾有の不況を目のあたりにし、公共事業を増やして雇用を確保する政策を採りました。日本でも最近まで公共事業で景気を良くしようという政策は普通に行われてきましたし、今でもその有効性を語る人は多くいます
 いわゆるケインズ政策の目的は、財政出動を通じて余剰資源(失業が多い状況では労働力、財政資金が余剰ならば減税)を活用して有効需要を創出し、完全雇用の状態にしようという狙いです。その意味で日本では未だかつて正統なケインズ政策は採られたことがないと理解しております。日本の労働市場は農業セクターと自営業を緩衝剤としているので、公共事業が素直に雇用創出につながらず、終身雇用に護られた大手企業の労働者の雇用の安定の裏側で、身分保障のない農家や自営業者を公共事業で取り込み、景気が上向けば離すという形で流動化させることで調整されていたものです。ですから大企業のリストラで放出された人たちの取り込みにはならず、有効需要創出効果がないわけです。  また折角整備されたインフラが有効利用されていない状況というのは、維持費だけかかって稼ぎのない状況ということですから、当然そのようなインフラの整備に経済効果はないわけです。むしろ造った無駄なものを壊す方がまだしもです。  で、一応厚生労働省の中位推計による人口推移では、日本の人口は2006年にピークアウトして減少へ向かうことになっておりまして、実際は2003年の合計特殊出生率が予想を下回る1.29の実績値に留まったわけですから、実績が出ればわかりますが、前倒しで2005年または既に2004年でピークアウトしている可能性もあります。  で、いよいよ人口減少社会へと突入するわけですが、この意味するところは、様々な社会資本インフラをより少人数でシェアするということになります。これは一面では同じインフラを少人数で利用できてゆとりが生まれるということであるわけですが、反面維持費の負担も重くなるということにほかなりません。今考えなければならないのは、私たち国民が、どこまでゆとりを享受し、どこまで負担を受け入れるかについて、合意形成できるかどうかということなんです。  また人口減少は大都市と農村の関係についても再定義を要求します。既に物理的開発限界近くまで集積の進んだ大都市圏については、実は人口減少はゆとりの創造で市民レベルの経済厚生を向上させますし、また人口減少に伴って新たな開発余地さえ生まれます。一方の農村部などの過疎地域は、いよいよ働き手の確保が難しくなり、放っておけば離農によって耕地面積が減少することすら考えざるを得なくなります。減反なんかやってる場合ではないんですが^_^;。  逆に言えば小規模かつ労働集約的で国際競争力の乏しい日本の農業の大規模化、省力化のチャンスでもあるんですが、あいにく政府の保護下でそのような動きはにぶいので、文字通り櫛の歯が抜けるように衰退の道を進むことになります。つまりは過密過疎の問題は先鋭化するわけです。  この状況で公共事業のバラマキを続ければ、特に過疎地に立地するインフラほど利用率が低く生産性が低いということになります。少なくとも現時点での利用予測は下方へ外れる公算が高く、国全体でみればますます非効率でハイコスト、つまり国際競争力のない国に堕するということになります。人口減少で国全体としては生産性を高めなければならない局面での話ですから、問題は深刻なんです。  ま、あまり話題を拡散させても何ですから、とりあえず論点を出すに留めます。

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Saturday, December 18, 2004

国鉄改革の置き土産? 運輸官僚は鉄道省事務方か

たった今届けられた日本経済新聞夕刊のトップ記事が「港湾再編」で、地方港湾の統廃合と重要港選別で追加投資する港湾60と既存施設活用の40に分類するというものです。
 早い話が公共港湾のリストラをやるということで、公共港湾投資の無駄は以前から指摘されていたところですが、実際は公共事業費3%削減の方針に対して整備新幹線や関空二期工事など削れない?投資を優先した結果、港湾事業にしわ寄せがきた形です。ま、選択と集中といえば聞こえは良いですが、周回遅れの感は否めません。
 既に整備新幹線新規着工、三位一体もなんのその結局やるの?関空二期工事などで指摘しました通り、前者は政治家の票集め、後者は事態の複雑さから結論先送りの結果としての支出であって、けっして前向きな投資ではないんで、それを活かすために別のところを削るという話です。何でこんな事になってしまうのでしょうか。
 旧運輸省という官庁は、元を辿れば戦前の鉄道省に行き着きます。鉄道省は言うまでもなく国有鉄道の建設と運営を担当する現業組織を持っていたのですが、同時に私鉄やバス、船舶や航空機などの輸送事業全般を監督する監督官庁の機能も有しておりました。基本的な考え方としては、明治期には鉄道は国有国営が原則とされ、殖産興業の基本となる公共インフラとして鉄道は重視されていました。鉄道建設は国の権限であって、国が建設運営する鉄道に関しては、国が自らの権限を行使するだけの話なので、事業免許の取得手続きは省略されていました。仮に国以外の主体(地方自治体や民間企業)が鉄道事業を行おうとするときには、国の権限を代行する意味で事業免許の取得を義務づけられましたし、国による買収を拒否できない制度になっておりました。工業化初期の日本においては、鉄道経営は国家経営と同義の重みがあったわけです。
 時代は下り戦後GHQの命令で官庁の再編がされたときに、現業機関としての国鉄は公社として国の支配から切り離されたわけですが、鉄道事業の国家独占の考え方は堅持され、国鉄による新線の建設は事業免許不要のまま可能だったわけで、実はこの点に政治家のタカリを許す制度的な瑕疵があったわけです。
 一方で現業部門が公社として独立した結果、旧鉄道省の事務方は、戦時体制で運輸逓信省を経て運輸省となって監督官庁の道を進みます。地方や民間に対しては監督官庁として振る舞うも、免許制度の埒外にある国鉄への支配権は、国鉄予算の国会承認を助けるなど間接的なものに留まり、監督官庁ながら他省庁に比べれば支配力が弱いといえます。おそらくこのことは歴代運輸官僚の間で認識されていたと思います。
 このあたりが端的に現れたのが成田空港問題です。東京国際空港の発着枠の制限から国際線専用空港を作ることが構想されたものの、候補地選びで二転三転し、一時は羽田空港の拡張で対応する方針が出されながら、下総御料牧場と小岩井農場が立地し、用地買収が容易との判断から唐突に決定された成田空港建設が、その後どのような推移を経たかは多言を要しないところです。なぜ新空港建設が強行されたかといえば、運輸省の権益拡大の意図があったからということになります。
 で、この失敗に懲りた運輸省は、大阪国際空港騒音訴訟では騒音対策費の名目で反対派を切り崩し、同時に関西国際空港の建設で権益拡大を目指します。その結果関空は開港したものの、伊丹の騒音対策費の負担も続き、財務省に見直しを迫られることになります。過去の失敗が失敗を呼び込む負の連鎖にはまり込んだわけです。
 新幹線に関しても、東海道新幹線は、誤解されてますが国鉄の単独事業であって、世界銀行から融資を受けるなどして実現したもので、運輸省が事業推進に関与した公共事業ではありません。結果は高い採算性によって融資の返済も順調に進み、一方で政治家に押しつけられた赤字ローカル線の赤字を経営的に支える優等生にすらなりました。そこで全国新幹線網整備特別措置法という法律を作って、当時の列島改造の気運に乗って事業計画や整備計画の策定や事業の実施命令などで権益を確保しようとしましたが、オイルショックによる公共事業凍結と国鉄財政の破綻による事業凍結で出口を失い、国鉄民営化で文字通り画餅に帰すところを並行在来線廃止や整備スキーム策定で生き返らせるなど、悪あがきは枚挙に暇がありません。
 ま、罪状はこれぐらいにしておきますが(笑)、明治大正期には国家経営の要だった鉄道省の事務方の子孫は、かくも国民そっちのけで来てしまったわけです。港湾整備の見直しも、京浜、伊勢湾、阪神の3拠点を重要港湾に位置づけて集中投資して国際競争力を発揮させようという発想は、予算削減に遭いながらも国家中枢という幻想に囚われたとしか言いようがありません。国内港湾の国際競争力はコスト高と夜間の機能停止など、主にソフト面の欠陥からくるもので、投資を集中させたからといって競争力が回復できるものではありません。こんな連中に財政資金を垂れ流す権限を与えてしまったことは、日本国民にとっては不幸なことです。
 私たちは鉄道をはじめ運輸事業が免許制度の下にあることに何の疑問も抱きませんが、そのルーツは明治期の鉄道事業の国家独占が根拠であり、これは国鉄改革を経た現在でも、制度上は明確な否定はされておりません。このことが運輸官僚をして自意識を肥大化させる原因なんだろうと思います。

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湘南町屋に駅舎建設

10月頃から工事が始まっておりますが、タイトルの通り湘南モノレールの湘南町屋駅に駅舎ができます。
 現在は片面ホームで地上と結ぶ階段を昇るといきなりホームとなり、券売機がホーム上に2台置いてあるというあっさりとした造りですが、鉄骨造2階建ての駅舎を脇に建設します。
 元々三菱電機鎌倉製作所の最寄り駅で通勤や商用利用が多い同駅ですが、地上と結ぶ階段が道路の狭い歩道を塞ぐように設置されていて、通行人にも不便な上に階段も狭く不便な状況にあります。
 加えてバリアフリー対応としてエスカレーターやエレベーターを設置しようにもスペースがないということで、駅舎設置が決まったのだと思います。幸いホーム北側は斜面になっていて、そこに基礎を打って鉄筋コンクリート造の人工地盤を設置し、その上に鉄骨造の駅舎を組み立てるもので、既に骨格は明らかになってきています(画像でもあればわかりやすいんですが^_^;)。他の駅へ波及するかどうかは現時点では不明です。
 地域交通として定着した感のある湘南モノレールですが、懸垂式モノレールの弱点として車両間の貫通路の挙動が不安点で常時施錠状態にあるために、保安上ワンマン化が難しいんですが、たとえばCCDカメラとセンサーを組み合わせて乗務員が監視するなどしてクリアすることは考えられます。その場合、中間駅が無人であるために、現在車掌が駅毎に前後に移動して行っている集札が問題になります。これをクリアするには駅に自動改札機を設置するのが一番確実ですが、現状は湘南町屋を筆頭にとてもスペースがとれないわけです。そこへ交通バリアフリー法で一定の補助金のもと、交通事業者にバリアフリー対策を義務づけることになったわけで、そのためにエスカレーターやエレベーターを設置するには、現在のように地上から直接階段でホームへ昇る駅のスタイルでは無理なんで、これを機に中間駅に駅舎を整備すると考えたとしても不思議ではありません。無人駅の自動改札機を遠隔監視することは、既に多く行われております。
 上記の推論が正しいとすれば、数年かけて各駅に駅舎を整備することが考えられます。とりあえず来年3月に終了予定の湘南町屋駅舎建設の後、ほかの駅に波及するかどうか、注目したいと思います。

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Saturday, December 11, 2004

結局やるの?関空二期工事

予算折衝の時期ですので、整備新幹線ネタとともに空港整備ネタも新聞紙上をにぎわせます。関空二期工事についても、財務省は結局来年度施設整備費300億円(国費200億円)の計上を認めました。
 関空二期工事については、来年開港の神戸空港を含む3空港の役割分担など、不透明な部分が多いということで、財務省は難色を示しておりました。特に大阪国際空港(伊丹空港)の騒音対策費を78億円も計上している中で、国内線のみの二種空港への格下げを求めていたのですが、国土交通省も2007年度から検討する姿勢に転じたことで、計上が認められることになったようです。
 しかし何だか禅問答みたいな報道ですが、つまりは国内線しか就航していないけれど「国際空港」を冠する伊丹を実態に合わせて二種空港へ格下げすることについて、地元の反発を恐れて結論を先送りしたという風に翻訳できます^_^;。
 この辺はそもそも関空が計画された経緯が、伊丹の騒音問題の解消を目的とした代替空港であったことに由来します。詳しい経緯は省きますが、関空開港が迫る90年代初頭、開港と引き替えに閉鎖されるはずの伊丹空港の跡地再開発計画について、地元市町は当時の運輸省に再三申し入れを行ったにもかかわらずなしのつぶてで、複数市町にまたがる広大な国有地を払い下げられても、自治体単独で事業を行うには財政力が伴わず単なる空き地になりかねないために、当時既にばらまかれていた「騒音対策費」の効果?で地元でも一部で空港存続の声が出てきたことをよりどころとして、存続の苦渋の選択をさせられたというのが、巷間いわれた「エゴ丸出しの心変わり」の真相です。当時の運輸省は端から伊丹空港の閉鎖などはするつもりはなかったということです。
 しかし因果は巡ります。関西国際空港の計画段階で真っ先に候補として名前の挙がった神戸港沖は、当時の神戸市の「国際港湾であり大型船舶の航行に支障する」空港計画に反対し、第二の候補地であった泉州沖に現在の関空が作られることになりました。
 それが今になってなぜに神戸市は空港整備を言い出したかといえば、高コストで荷益、保税、通関の手続きに時間がかかる上に夜間は機能停止する神戸港では競争力を維持できず、釜山などに国際港湾の地位を奪われてしまった結果、「大型船舶の航行に支障する」心配がなくなったわけです^_^;。というか港湾に代わる新たな「米びつ」として空港誘致を言い出したわけで、時期的に開港後の関空の不振を見て勝機を見出したと考えられます。こっちの方がまさに「エゴ丸出しの心変わり」に見えますが-_-;。
 その結果関西には3空港が併存し、関空は最も遠くて着陸料が高い空港というポジションにあります。当然航空会社としてはあまり乗り入れたくないわけです。そいった中での二期工事ですから、3空港の関係を整理せよという財務省の言い分は当然といえます。少なくとも当初計画通りに伊丹が閉鎖されていれば、騒音対策費はいらなかったわけですから、二期工事をやるならこの辺をクリアにすべきではあります。しかし今となっては便利だから閉鎖するなの声が大きくなってしまって手がつけられなくなりました。そして神戸空港開港を迎えるわけですが、代わりに伊丹を閉鎖しようという声は聞こえません。伊丹空港を抱える地元市町にとっては、神戸市の自分勝手に振り回されたという思いがありますから「明日から神戸空港を利用してください」と言われてすんなり受け入れるわけにはいきません。かくして結論を得ることかなわず、先送りとなった次第です。
 一方年明け早々には中部国際空港の開港が控え、航空会社の目はそちらに向かっています。現在好調の中部経済へのアクセスを考えれば関空より魅力的な上に、コストダウンが利いて着陸料も関空より安いということで、関空の地盤沈下は避けられません。それでも需要が1.4倍になるといって関空二期工事を必要と言っているんですから、もうワケワカンナイ状態です。いったいどうすれば解決するんでしょうか。

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Thursday, December 09, 2004

JR横須賀線に武蔵小杉駅を設置

12/9日本経済新聞朝刊39面によると、横須賀線に武蔵小杉駅を設置し、南武線、東急東横線、目黒線との乗り換えを可能とする構想が動き始めました。
 川崎市が費用負担しJR東日本に設置を求める請願駅となるもので、JR側も前向きということです。横須賀線(通称:もちろん正式には東海道本線の別線区間で「品鶴線」などとも呼ばれる。以下「横須賀線」で表記を統一)と東海道新幹線が並行して南武線と交差する付近に有効長300m超の島式ホーム1面を設置し、南武線など既存駅との間300mを連絡通路で結ぶ計画です。
 2004年度中に結論を出し、JR東日本に調査を依頼、できれば2007年には着工したいというのが市の意向です。横須賀線はもちろん湘南新宿ラインや成田エクスプレスや踊り子の停車にも期待を寄せ、実現すれば一大交通結節点となり47階建て高層マンション建設を予定する再開発計画にも好材料ということで、市の期待は膨らみます。
 で、川崎市といえば市営地下鉄計画で二転三転の末、迷走を続けておりますが、やっと現実的な開発計画を打ち出したということで、評価できます。ただ武蔵小杉地区を川崎駅周辺、新百合ヶ丘地区に続く第三の都心と位置づけているそうで、あくまでも開発優先の考え方なんで頭痛いです。ま、構想として持つこと自体は良いでしょうけど、既存の鉄道の接続の改善だけでも、市民のモビリティは向上しますから、川崎市民にとっては朗報でしょう。
 南武線沿線は戦前軍需工場が多数立地したことがあって、多くのメーカーの工場が立地していて、今後メーカーの合理化や生産拠点の見直しで、かなりの規模の再開発用地が発生するものと思われます。しかし東京都心からのアクセスが悪く、また私鉄買収線であるためにインフラが弱く長編成化もままならず、主要道路との平面交差も多いなど、都市型路線として多くの課題を抱えています。
 横須賀線と並行する尻手と武蔵小杉の間で、道路は横須賀線と東海道貨物線を陸橋で越えるクランクカーブに続いて南武線の踏切で遮断され、日常的な交通渋滞を引き起こしています。かつて国鉄時代に川崎~登戸間に地元の要望で快速を走らせたところ、踏切遮断時間が伸びて地元が悲鳴をあげ、結局快速運転を中止しました。市内の連続立体化も武蔵小杉~武蔵溝ノ口間で行われたものの、そのほかの区間は手つかずですが、逆に言えばこれらの問題を改善すれば、南武線沿線は開発に適した好立地になるということです。これはとりもなおさず地下鉄計画の見直しの可能性も秘めているわけで、川崎市の本心はよくわかりませんが、結果として良い方向へ進むことを期待しておきます。

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Sunday, December 05, 2004

整備新幹線新規着工、三位一体もなんのその

政治関連の話題はあんまり書きたくはないんですが、やっぱ見過ごせません-_-;。
 族議員と呼ばれる議員の集団はいろいろあって、郵政族や厚生族の話題が最近は多いんですが、運輸族と呼ばれる一団がいまして、かつて国鉄にたかって赤字ローカル線を作っては票集めに精出してた人たちです。今や保守王国と言われる群馬県ですが、革新気質の強かった妻恋村の開拓農家の切り崩しを狙って吾妻線が電化路線で開業したのは記憶に留めておきましょう。
 そんな彼らにとっては国鉄改革は悪い冗談だったに違いありません。特に整備新幹線の沿線地域にとっては、積年の夢がオイルショック対策の公共事業凍結でストップし、国鉄の経営悪化で復活のきっかけを掴めないまま、国鉄民営化となれば建設凍結が恒久化しかねないということで、国鉄改革法に整備新幹線の扱いを滑り込ませた経緯があります。並行在来線のJRからの切り離しを前提に、フル規格、ミニ新幹線、スーパー特急の3方式を併用という形で事業費を圧縮しながら整備を進めるというものです。新幹線は票になる、その一念が蟻の一穴ともいうべき抜け穴を作ることになりました。
 前置きが長くなりましたが、細かい経緯は別の機会に譲るとして、現在建設中の区間は東北新幹線八戸~新青森間、北陸新幹線長野~富山間と石動~金沢間(スーパー特急方式)、九州新幹線博多~新八代間の3線4区間ですが、与党の新規着工要求が強く、財務省は防戦しているものの、何か押し切られそうな気配です。
 新規着工区間として北海道新幹線新青森~新函館間、富山~金沢間(石動~金沢間はスーパー特急からフル規格へ計画変更)、九州新幹線長崎ルート武雄温泉~諫早間の3区間です。
 それぞれ問題点を抱えてまして、北海道新幹線は新幹線規格で建設された青函トンネルの活用ができるものの、整備主体がJR北海道となるので、本州側の並行在来線である津軽線がJR東日本の保有であるために、切り離しの受益を受けられないことと、青函トンネル区間が貨物との共用となる関係で、ダイヤ編成などが制約される問題があります。新函館(仮称)も渡島大野の位置ということで、既存の函館市街と遠く、札幌延長の都合を除けば集客には不利といえます。
 北陸新幹線については、元々富山まで開業しても車両基地がなく、あまり列車を設定できないと言われておりました。整備計画では金沢市西部の松任に車両基地を整備する予定でしたので、金沢延長はそれなりに合理性はありますが、あくまでも富山延長が合理的であることが前提です。並行在来線の北陸本線をJR西日本から切り離した場合、大糸線(南小谷~糸魚川)、高山本線(猪谷~富山)、城端線、氷見線、七尾線の各線が孤立し運命を共にせざるを得ないですが、下手をすれば地域交通を壊滅状態に追いやるおそれがあります。
 九州新幹線長崎ルートは、スーパー特急方式で整備される予定ですが、おそらく完成時にはフリーゲージトレインが実用化されているという皮算用でフル規格に化ける可能性はあります。とりあえず今回の新規着工区間だけを見ても、肥前山口~諫早間の切り離しで切り捨てられる鹿島市から反対の声があがっています。フル規格に化けた日には、将来鳥栖からバッサリの可能性もあります。
 ま、これらは有権者の皆さんが政治家の甘言に惑わされなければ良いわけですけど、問題はJR東日本など、延長区間から発生する乗客による増収分を既存新幹線の事業者が受け取るので、それを税で吸い上げて財源に充てようということが議論されているそうで、だとすれば日本は資本主義の看板を降ろして統制経済の国と言わねばなりますまい。JR東日本は増収分は法人税の納付などで社会的責任を果たすとして反論してますが、当然のことです。
 そうでなくても受益分をリース料として召し上げられてしまう整備新幹線事業です。増収のためには既存区間のスピードアップで対航空の競争力をつける必要があるわけで、座して儲かるほど甘くありません。そういった努力のインセンティブを奪うことで、JRの協力が得られなくなる可能性は考えないんですね。JRは国鉄ではなく民間企業だってことをいい加減学習してほしいですね。
 ま、それでもなにが何でも新幹線が欲しいという地域のために、せめて国の公共事業予算を財源ごと地方へ渡して、空港整備や高速道路を諦める代わりに新幹線を作るなど、地方が自らの意志で自己決定できるようにはしてほしいですね。それこそ三位一体改革ですぜ。

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