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Saturday, January 01, 2005

人口減少社会と公共事業その3、それでも豊かな明るい未来

正月早々不吉な話題を出すなとお叱りを受けそうですが^_^;、そうではないという話をいたしましょう。
 前の記事でも指摘いたしましたが、人口減少の直接の原因は高齢化にあり、特に団塊世代のリタイアを支える次の世代の人口が少ないことが、急速な人口減少の原因であると申し上げました。もう少し踏み込んで申し上げれば、戦後のベビーブームを産児制限で切り抜けたツケが出ているということです。その結果として2007年にも始まる団塊世代のリタイアを少数の後の世代の人たちが支える形になるわけです。その結果、世界に例を見ないスピードで高齢化が進むわけです。いかなる変化も前もってわかっていて対応できていれば、何も恐れる必要はありません。
 一般的な論調としては、生産年齢人口の減少すなわち労働力の減少が、日本の国際競争力を低下させるという認識だと思いますが、“その2”でも書きましたが、国際競争力が問われるのは貿易財に限られます。そして日本の貿易取引は対GDP比で10%程度でしかないんです。また輸出と輸入を相殺した純輸出の対GDP比は1.5%程度でしかありません。それでも7~8兆円、700億米ドル程度の規模になりますので小さくはないんですが、私たちの自意識とは裏腹に、私たちの依拠している国民経済は、圧倒的に内需に支えられているという点を力説したいんです。そして内需の規模で貿易取引の規模が決まってきます。つまり需要がなければ経済は動かないんです。
 さらに言えばその需要は企業が生み出す付加価値のうち、再投資に回すために内部留保される分を除いて労働者に還元される分(労働分配率という)によって基本的なサイズが決まります。
 ところが日本ではなぜか経済学者やエコノミストと呼ばれる人たちでさえも、日本はサプライサイド(供給側)に問題があって、それを直すことが“改革”であるとしか言いません。その結果、国内の消費者は忘れ去られてしまうわけです。そして消費者と労働者は集合としてほとんど重なり合う存在といえます。
 高齢化社会では、高齢者に対する扶助の問題が大きくなるわけです。これは年金制度のような社会的扶助制度に留まらず、仮に社会的扶助がなくても家族内扶助が代替すれば、やはり現役世代に負担となり、可処分所得を減らすわけです。その結果需要が縮んで経済が収縮する点はマクロ的には同じわけです。
 さて、そうやって将来の経済が縮む展望が見えてきたわけですが、回避する手段はあるんでしょうか。少なくとも高齢化による人口減少のカバーに現役世代を増やす手段は神の領域の話、すなわち不可能としか言いようがないわけです。仮に現役の外国人労働力を導入するとして、四半世紀後に彼らがリタイアするときに、同じ問題に直面するばかりか、彼らには家庭内扶助の可能性は皆無ですから、必然的に社会的扶助に頼らざるを得ませんから、より後の世代がむしろより厳しい現実に直面するだけで、ますます解決困難になるだけの話です。人類みな平等に毎年1歳ずつ歳をとる現実は変えられません。
 とすれば後は人口減少に伴う需要の減少、経済の収縮に合わせて設備のリストラすることで、現役世代の個人の収入を確保することこそが、解決をもたらすことになるということになります。で、実はそれは目の前の扶助を必要とする豊かな高齢者(本人の貯蓄高に関わらず年金など社会的扶助制度に助けられて消費できる階層という意味で)に必要なサービスを供給することで、少なくとも輸出企業で賃金を値切られるより確実に実現するわけです。さらにいえば身体能力の衰えた高齢者が必要以上に現役に留まることは、結局労働生産性を落としてしまいますし、若年世代の雇用を奪うことにもなりかねません。ジジイはとっとと楽隠居こそが正しい対応となります。
 そのためには既存ストックを有効活用して少ない投資で大きなリターンが得られるような投資に絞り込むjことこそが求められているといえます。例えば池袋駅構内の埼京線と山手貨物線の平面交差分岐を立体化することで湘南新宿ラインの大増発を実現するようなことがそれに当たります。同様に神奈川東部方面線(東横線大倉山~相鉄線二俣川間の新線計画)よりJR東と相鉄の横浜羽沢~西谷間連絡線計画が、川崎市営地下鉄計画よりも横須賀線武蔵小杉駅新設の方が、時代に適合した投資であると言えます。逆に公共と民間とを問わず、リターンの見込めない投資は単純に国民経済をいたずらに収縮させるだけの意味しか持ち得ません。
 間近に迫った人口減少社会に向かって、国の威信や輸出企業の競争力よりも個人の豊かさの追求こそが求められますし、そうすることで、実は豊かな未来が拓けてくるといえます。

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