三菱ふそうの型式認証問題前進
相変わらず迷走を続ける三菱自動車の再建ですが、一方の三菱ふそうで新車の型式認証がストップしていた問題で、同社が提出した再発防止策が「評価できる」として国土交通省は28日に認証を与えました。ディーゼル排ガス規制で年度内に買い換えを迫られるユーザーへの対応をぎりぎりのところで可能にしたというタイミングです。
一応再発防止策は「評価できる内容」ということで「機能しているかどうか四半期ごとにチェックする」としておりますが、メーカーの自己申告に支えられていて、国土交通省はメーカーのウソを見抜けないというリコール制度そのものの問題はそのままなわけで、これで再発防止になるかどうかは予断を許しません。
リコール隠し問題が空前の拡がりを見せた2004年春以降、メーカー各社から届出られたリコール件数が増えているあたり、他社にしてみれば三菱の轍を踏みたくないでしょうから、当然の対応といえますが、問題が発覚しなければ異なった対応もあり得たとすれば、現行のリコール制度自体、何のためなのかわからなくなります。
まして事前規制である型式認証の意味はずいぶんあいまいです。国土交通省の“お墨付き”をもらったところで、事後に問題点が発覚すればリコールを届け出て無償修理することに変わりはないんですから、事前の型式認証は形式的な手続きにすぎないわけです。にもかかわらず、今回の三菱ふそうの型式認証厳格化のような恣意的な運用がされてしまうと、ディーゼル排ガス規制絡みで買い換えを迫られるユーザーの選択肢を実質的に制限してしまうことになるわけで、政府による不当な市場介入と言わざるを得ません。
結果的に三菱ふそうは新車の発売すらできなくなり、その間に日野が売り上げを伸ばし、いすずと日産ディーゼルは横這いということになりました。東京都交通局のような大口ユーザーの入札差し止め処分などの影響もあって、三菱ふそうは新車登録台数を減らし、資本も含めて純国産の日野が勝ち組になるというのは、意図された結果かどうかは定かではありませんが、アンフェアといわざるをえません。
ま、この論点については証明のしようがないのでこれぐらいにしておきますが、事前の型式認証を厳格化することで、間違いなく海外メーカーの参入を制限する狙いは読みとれます。その結果、路線バスのバリアフリー対策として低床バスの導入を事業者に義務づける一方で、経験豊富な海外メーカーのバリアフリー対策車の導入を難しくしているわけですから、ユーザーであるバス事業者は、メーカーの言い値でノーマルより500万円アップといわれるノンステップ車を渋々買わされるわけです。このツケは運賃を負担する利用者にしわ寄せされるわけです。
例えば国内大型4メーカーのうち、いすゞは中国に合弁で進出してますが、国内生産も続けてます。仮に国内向けバスも中国で生産して国内へ持ち込むことができれば、国内生産する他社より安く供給することは可能でしょう。しかし現実にはそういうことは行われず、国内向けは国内生産されているわけです。国内メーカーといえども海外工場で生産された車の国内での型式認証取得のハードルは超え難いようです。そのために縮む国内市場を4社でパイの奪い合いとなるわけで、かえってメーカーの手足を縛っているわけです。 そもそもリコール隠しの背景として自動車業界の競争激化でコスト削減を競い合った結果であることを考え合わせると、国土交通省のあり方の問題は重大な意味があります。
そういう意味では1社ぐらい減らした方がメーカーの業績は安定するのかもしれませんが^_^;、国土交通省が意図的にそれをやって良い道理はありません。
ま、それでも三菱ふそうを選ぶ大手ユーザーが私の地元神奈川県では網を張ってます。国が何を意図しようがしまいが、経済主体としての企業や個人が何を選択するかまでは口出しはできません。
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