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Friday, March 04, 2005

トヨタ専用列車でCO2削減

3/1の日本経済新聞朝刊のトップ記事ですが、遅ればせながら取り上げます^_^;。
 トヨタ自動車は4月からコンテナ輸送を試験的に始め、来年秋には‘トヨタ号’と称する専用貨物列車の運行につなげる予定だそうです。運転区間は浜松(タ)~盛岡間約800kmで、三河地区に集積するトヨタ系部品工場から日通のトラック網で集荷して盛岡からやはり日通のトラックで金ヶ崎町の関東自動車岩手工場へ運ぶもので、10トントラック40台分の輸送量で満載ならば17,000トンのCO2削減になるということです。実際は現在海運で輸送されているので、3,000トン程度の削減に留まるようですが、トップの地位にある自動車メーカーの取り組みだけに、企業の製造部門に広く波及する可能性があり見逃せません。
 京都議定書の発効により、日本全体で90年時点より6%削減の国際公約がされましたが、実際は8%増加していて、また製造部門を中心に省エネが先行している日本にとっては、一層の削減は乾いた雑巾を絞るようなものと形容されることが多く難しいといわれておりますが、実際は同じ企業の事務部門の排出量がOA化の進展で増えてしまっているという具合にチグハグさが見られます。
 ごく大まかには企業部門では製造で減少事務で増加のほか、家計部門の増加と運輸部門の増加で企業の省エネ努力を食い潰すだけで足りず増加したというのが、全体を概観した日本の現状といえます。あと近年では鉄鋼など一部の素材産業で排出量が増加に転じていて、昨今の中国特需の影響が見られます。実はここら辺に今回のトヨタの取り組みの意義が見えてきます。
 中国や東南アジア、インドなどアジア地域が世界の成長センターとして離陸し始めた中で、ひと足早く成長を果たした日本のポジションは微妙です。特需で共に成長できる大きなチャンスであるとともに、拡大する需要に盲目的に追随すれば、CO2排出量を増やしてしまう悩ましいジレンマに直面しているわけです。京都議定書の枠組みでは、排出権取引ができることになっていますが、アジア向けに生産を拡大したときに想定される排出量の拡大分は排出権の購入で補う必要があるわけで、企業としてはコストアップ要因になるわけです。
 それでも需要されれば生産を拡大しなければ機会損失(チャンスロス)が発生して企業収益を縮小させるわけですから、企業としては解決を模索する必要があるわけです。大まかな解決策としては、生産以外の部門で排出量を削減するか、生産そのものを海外へシフトするかしかないわけですが、社内ネットワークインフラの重要性は例えば生産の海外シフトを行う場合などは生命線ともいえるわけで、事務部門での削減は難しいので、運輸部門でという流れになります。そしてこれは、自動車メーカーとしては自己否定につながりかねない難しい決断だったといえます。
 もちろん今回のトヨタ自動車の専用列車への荷の移行は、それだけ見れば微々たるものですが、他の企業の追随の可能性を考えると、系列の大型トラックメーカーの日野のユーザーを切り崩すことにもなりかねない危うさが潜みます。それに留まらず、現在は不採算部門として旅客会社の線路使用料ディスカウントという事実上の補助によって維持されている鉄道貨物輸送を採算ラインに引き上げる可能性を秘めており、整備新幹線並行在来線問題で明らかになったように、実質的に地方では幹線ルートでさえローカル輸送で単独採算がとれない中で、貨物輸送があることが存続の命綱になった現実を見れば、鉄道貨物輸送の拡大は、現在の枠組みを逆転させた貨物によるローカル旅客輸送への内部補助の可能性を拓くという意味で、中長期的に乗用車の売れ行きに影響を与える可能性があります。この辺は国内市場の将来をある程度見切ってアジアシフトという思惑もありそうです。
 既に個別企業で松下やキヤノンなどでもモーダルシフトは行ってますし、自動車メーカーでも日産が九州工場向けに部品輸送を行ってます。またトラックユーザーである佐川急便では、東京~大阪間の“スーパーレールカーゴ”で宅配荷物の鉄道シフトをしているわけで、トヨタの決断は目新しいものではないかもしれませんが、他社への影響力という意味は大きいといえます。
 翻って同じ中部財界の一角にありながら、貨物を目の敵にする某社はどう見ているでしょうか。案外トヨタの方が鉄道の未来を的確に捉えているかもしれないですね。

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