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Thursday, March 10, 2005

N700系とFASTECH360(E954系)の間

既にJR東日本からリリースされてますが、営業世界最高速の360km/hを目指す試作車を制作、6月から東北新幹線仙台~北上間で試験走行を行うと発表されました。
 リリースでは新在直通タイプのE955系を2006年春に制作すると発表されてますので、素直に考えれば、現行の“はやて・こまち”タイプ列車の将来のスピードアップを目指していることになります。また、試験走行の結果を営業運転に反映させる時期は、かなり先と考えられますから、営業運転が実現する頃には、東北新幹線の青森延伸、場合によっては青函トンネルを越えて北海道までの開業ということも考えられますので、スピードアップの意味は大きいといえます。
 360km/hという速度がどこから出てきたものかといえば、おそらく札幌まで新幹線がつながったときに、航空との競争条件として東京~札幌4時間程度を実現できるスピードとして考えられたものと思います。東海道山陽新幹線でいえば、現行のぞみのスピードで広島あたりの時間距離に相当するもので、そう考えると、かなり意欲的な目標設定ということができます。
 もちろん実現可能性については、現時点では何ともいえないわけですが、量産前提とはいえN700系で提案された東海道山陽新幹線との将来像の落差に驚かされます。
 ま、こんなこと書くと、即座に「試作車としての位置づけが違う」とか「東海道新幹線が低規格で輸送密度が高いからスピードアップは無理」などの反論が寄せられると思います。ま、実際N700系は次世代車として量産化計画を前提としているわけですから、達成の可否もわからないFASTECH360とは、そもそも比較のしようがないわけですが、しからば東海道山陽新幹線でFASTECH360に相当する技術開発って何があるかと考えると、FASTECH360以上に実現可能性に疑問符がつく中央リニアエクスプレスぐらいしか思い当たりません。しかも中央リニアは基本的に従来型の新幹線とは直通運転できませんから、山陽区間へ向かうには乗り換えを強いられるわけで、東京~博多間で航空との競争などは意識されていないわけで、FASTECH360の方が志しが高いと思うのは私だけでしょうか。
 あと東海道新幹線の「低規格の線路で高密度輸送」の部分ですが、東北新幹線で東海道新幹線以上に低規格で高密度輸送を強いられている区間があるといえば意外でしょうか。種明かしすれば東京~大宮間のことですが、110km/hの速度制限を受けつつ1時間片道最大15本の列車を捌いています。東海道新幹線の東京発着では1時間最大で12本ですし、東京駅の着発線が東北4本に対して東海道6本ですから、東北新幹線の方が折り返し間合い時間を切り詰めて生産性を高めているわけです。短区間の話じゃないかと言われるかもしれませんが、ボトルネックとしての過酷さは相当なものです。
 東海道新幹線の場合は、とりあえず三島あたりまでは限界的な高密度輸送が続きますし、手前の熱海が棒線駅で待避不能で東京側の折り返し可能駅が東京と品川の2駅ですから、東京、上野に加えて大宮でも折り返し可能な東北新幹線よりも条件がシビアだとはいえます。また熱海の待避線設置や新横浜の折り返し設備設置は難しいでしょうから、仮に270km/hから最高速を高めようとすれば、よりボトルネックがきつくなるとはいえます。その点は認めましょう。それでも三島以西限定でのスピードアップの可能性は追求可能でしょうし、また改善が見込めるところへの集中投資は、結果的に投資効率を高めることにもなります。
 そうはいっても建設時期が古く、最高速210km/hの想定で作られた東海道新幹線と260km/hの東北新幹線では、確かに規格の差があることは確かです。ただし先に述べた大宮以南のほか、盛岡以北の整備新幹線区間でも、建設費圧縮のために曲線や勾配を規格外で作ったところがあります。つまり最高速360km/hを実現できたとしても、速度制限を受けながら加減速を繰り返すノコギリ運転を強いられることになります。そしてこういった環境下でスピードアップしようとすれば、必然的に力行性能のパワーアップは避けられないところといえます。また速度制限の影響を減らす意味での簡易振り子機構も採用されますが、現行の速度制限を回避する目的のN700系とは、その志しにおいて似て非なるものと言わなければなりません。そもそもJR西日本が500系を作ったときに「力行性能がオーバースペックで変電所が保たない」といってストップをかけたあたり、スピードアップの意思なしと見られても仕方ありますまい。
 というわけで「次世代新幹線」とひとくくりにはできませんが、N700系とFASTECH360との間には、埋めがたい志の差が存在するわけです。
 加えて北海道新幹線の新規着工を巡って与党から出された「根元受益」すなわち北海道へ新幹線が伸びれば根本を抑えるJR東日本にも受益が発生するから、建設費を負担すべしとする議論に対して、JR東日本は東京駅改良など「根元負担」もあると反論してますが、整備新幹線を機能させるためのスピードアップのための技術開発投資なども「根元負担」の一部といえます。JR東日本に建設費負担を求めるならば、このような自主的な取り組みを阻害することは肝に命じておくべきでよう。

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Comments

ご意見、全く賛成です。東海は、今のドル箱路線の維持に汲々としていますが、志は、東日本の方が高いですね。

最高速度試験は、405キロまでやるとありました。一昔前には、レールの粘着に頼る場合、300キロが限度といわれていただけに、隔世の感があります。

Primera

Posted by: Primera | Thursday, March 10, 2005 at 10:09 PM

コメントありがとうございます。試験車ですし、将来はまだ流動的ですが、チャレンジに意味があります。
 翻って日本の最重要幹線を後ろ向きな会社が保有し管理する現状は、国民経済的には損失ですね。困ったもんです。

Posted by: 走ルンです | Saturday, March 12, 2005 at 01:03 AM

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