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Sunday, March 20, 2005

やっぱ起こったリニモの荷重制限停止

タイトルの通りなんですが、愛・地球博の内覧会2日目の19日、東部丘陵線(リニモ)の3カ所ほどで発車できないトラブルが発生しました。
 原因は乗客が先頭車両に集中したために荷重10トンを越えると自動的に運転停止するシステムが作動したためということで、駅員が後部車両へ乗客を誘導して9分遅れで発車したそうですが、やっぱ新線は“かぶりつき”でというのが仇になったようです^_^;。
 東京のゆりかもめでも、乗客の集中で停止するトラブルがありましたが、特にイベント輸送などで乗客が集中することはあり得るわけで、ゴムタイヤ式や常電導リニアのような荷重に適応性の乏しいシステムを採用したことが、今さらながら悔やまれます。
 新しもん好きは結構ですが、期間限定のイベント輸送への対応であればこそ、実績のあるシステムの採用が望ましいわけです。たぶん正解は地下鉄東山線の延伸だったと思いますが、諸般の事情で実現が難しかったのもまた確かでしょう。また万博後のことを考えると、乗客の減少でランニングコストのかからないシステムが望ましいわけで、万博輸送という“神風”を利用してインフラなどイニシャルコストの負担を担い、事後の負担を軽減するという考え方は理解できますが、ゆりかもめの例を引くまでもなく、間違いが繰り返されてしまうのはどうしたことなんでしょうか。
 ま、そもそも万博をのようなイベントを利用してインフラ整備しようという発想は、古くは東京オリンピックの頃まで遡りますが、このあたりは途上国の発想なんで、先進国ではもっと日常的な住民の便益を最大化する努力が地道に行われている中で、日本だけは相変わらずというのは悲しい限りです。当然こういったコンテクストが岐阜の名鉄線を廃止に追いやったわけで、イベントを誘致しないとまちづくりができないというのがそもそもおかしいんです。
 愛・地球博にしても、構想段階で海上の森(かいしょのもり)という里山を潰して会場設営をしようとして反対運動に遭ってしまい、万博開催の意義を含めて見直された結果が、環境をテーマとした万博開催だというんですが、何かとってつけたような印象は拭えません。環境を言うならば無意味な開発行為を抑制することが先決です。
 リニモは確かに磁気浮上で非粘着駆動ですから、走行抵抗が小さく環境に優しい要素はあります。また非粘着駆動故に、鉄車輪と鉄レールの粘着力で駆動する普通鉄道より勾配に強いなどでルート選定の自由度は増すわけですから、自然の地形を改変する土木工事量を減らして環境負荷を低めることにもなるでしょう。その意味で地下鉄東山線の延伸とどちらが良かったかは確かに即断はできません。それ以前に臨時的な輸送需要を生み出してしまうイベント開催そのものの意義はどうだったのか、問われるところかと思います。
 リニモもそうですしデモ運行される水素駆動燃料電池バスもそうですが、要素技術としては一定の正義があるものを並べても、それをどう活かすかという視点が欠けていれば、むしろ不正義になるんです。
 例えば燃料電池も次世代の動力源として注目されてますが、燃料となる水素を取り出す課程で化石燃料を消費します。わかりやすく言えば、水の電気分解で水素を得てそれを使って燃料電池を駆動した場合、電気分解で投入された電力量と燃料電池で発生する電力量を比較すると、後者は前者の70%止まりなんです。ま、それでも半分は熱で逃げて50%を越えるエネルギー効率を実現できない内燃機関に比べれば効率は高いわけですが、逆に言えば内燃機関と燃料電池の差はたったそれだけなんです。しかも水素は気体ですから、運搬、保管にも特段の配慮は必要です。とりあえず圧縮してボンベに詰める形になってますが、圧縮の課程でエネルギー投入が必要ですし、ボンベ自体も強度を要求されますから、現状では重量を軽減するにも限度があり、ボンベを背負って走る車はそれだけ余分な荷重を負ってエネルギーを浪費するわけで、自動車としてのパッケージングはさほど簡単ではありません。
 まぁこの辺はいずれ技術のブレークスルーで改善の可能性はありますが、要素技術段階での正義は要注意であることに変わりはありません。今や自動車のガソリンエンジンで常識と化している直噴と可変バルブタイミングの技術で、自動車の燃費は向上しましたが、ミニバンブームなどで車体が大きく重くなった結果、ガソリンの絶対的な消費量は増えてしまった現実を反省する必要があります。初代プリウスでユーザーから寄せられた高速走行時のダルさを改善した結果“ハイブリッドシナジードライブ”ならぬ“ガソリンエンジンお節介ドライブ”^_^;となって燃費を悪化させた2代目プリウスなど、やはり失敗を重ねている現実をどう評価すべきなのか、私たちにつきつけられた課題は重いといえます。

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Comments

確かに、鉄道の大きなメリットは、鉄の車輪と軌条で、大きな荷重に耐えられる、ということでしょう。新交通システムには僕も疑問を感じます。

Primera

Posted by: Primera | Sunday, March 20, 2005 at 06:14 PM

コメントありがとうございます。それでもリニモは高速走行が可能なだけマシかもしれません。
 大曽根~小幡緑地間の“ゆとりーとライン”では軌道法準拠で高架軌道を30km/hで走るという信じられないことやってます。思いつきだけの必然性のないシステムは問題です。

Posted by: 走ルンです | Monday, March 21, 2005 at 02:09 PM

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