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Saturday, March 26, 2005

地価下げ止まり? 実は投資資金流入

公示地価が発表されました。相変わらずの値下がりトレンドなんですが、一部に値上がりが見られ、かつ今回は東京以外の一部地方でも値上がりが見られたことから、またぞろ「地価下げ止まり」観測が見られます。希望的観測は結構なんですが、ミクロの現象でマクロを語る相変わらずの論調はお笑いです。
 面倒なんで先に申し上げておきますが、マクロで見た国土の地価合計は年間GDPの2.5倍程度の水準にあり、国際水準に照らせばまだ割高なんで、バブルの調整は今後も続くと考えられます。また人口減少が現実のものとなりつつありますが、典型的な希少資源である土地の配分を巡っては、人口増加局面では当然値上がりしますし減少局面では値下がりするのは当たり前の話であるということも押さえておきましょう。
 その上でなぜ値上がり地点が出現しているかですが、いくつか要因はありますが、ひとつは土地の非代替性に由来します。個々の土地は世界に一つですから、例えば丸の内や六本木の土地はそこにしかないわけで、代替不可能な少数の土地に希望が殺到すれば、当然値上がりするわけです。
 んで、その少数の希望が殺到する土地というものの実態ですが、最近の傾向はどういう上ものが乗っかっているかによって評価される傾向にあります。つまり土地は生産財であって、利用されて収益を生んで初めて評価されるという当たり前の評価軸が機能するようになってきたということです。もう少し具体的に言えば、最近値上がりした地点は、すべからく再開発された地域ということがいえます。丸の内然り汐留然り港南然りみなとみらい然りです。今回2地点で値上がりが観測された名古屋駅前は、たった2棟の高層ビル建設の結果ですし、仙台駅東口に至っては、東北楽天のフランチャイズ球場整備がきっかけということで、土地の非代替性がよく表れています。
 しかし良いことばかりではありませんで、とりわけ昨今の通信技術の進化スピードは、ちょっと古いビルを継年以上に陳腐化させてしまい、新しいビルが建って値上がりした地域の近隣の地価値下がりを増長します。かくして郊外型店舗の駅前や都心地域への進出や、容積率制限の緩い業務地域でマンションを事業化可能なレベルまで地価を押し下げる要因になっています。ま、その結果住居地域の地価も崩れて戸建ても買いやすくなるなど、これはこれで土地の再配分がうまくいっていると評価することはできますが。
 ただしこの現象の反対側には、過疎地の過疎化の進展がいよいよのっぴきならないレベルに達するという意味合いもあります。実際に居住放棄された集落が出現し始めています。そこまで極端な例はともかくとして、鉄道ファン的に重要なのは、ローカル鉄道の利用度の低下による淘汰圧力の増大です。名鉄のような大企業を以てしても岐阜地区の600v区間を維持できなかったように、地方ローカル線にとっては大逆風の時代ということになります。それは整備新幹線並行在来線転換第三セクターといえども例外ではなく、今後「新幹線はできたけど」という嘆き節が聞かれるようになると考えられます。
 かような状況下で従来の発想の延長線上には明るい未来はやってこないことだけは確実です。逆に言えば土地の非代替性故に、地方でも特長ある開発が行われれば、狭いエリアでの値上がりは可能ですし、その結果地域全体として土地の有効利用がはかられるならば、すなわち地域の活性化ということにjなります。良い例は平地が山に囲まれて利用可能地が限られるために人口の割に集積度が高く公共交通のシェアが高い長崎に見られます。同等の条件をメリハリの効いた公共投資で実現することは決して不可能ではありません。
 というわけで、鉄ちゃん的逸脱の後に本題ですが^_^;、値上がりの要因として、資金ファイナンス面での変化も見逃せません。低金利と株安で預貯金や投資資金がさまよう中で、確実なリターンが見込める不動産投信(REIT)の伸長によって、利回りの見込める一部の物件で取引が活発化した結果、選択的な地価上昇が起きているわけです。当然4月jからのペイオフ実施に伴う資金避難先という側面もあるでしょう。鉄道業界でも東急のように子会社(東急リアルエステート)を通じて沿線地域に投資物件を取得しREIT事業を行うという動きが出ています。東急は結果として投資家の資金を利用して自社沿線の再開発を促進し、土地の含み益を増大させているわけですから、本業の鉄道業とのシナジー効果を狙ったうまいやり方であるとともに、阪急が始めた沿線開発による開発利益還元の私鉄流ビジネスモデルに代わるものとしても注目されます。
 というわけで、当面不動産投信ブームは続きそうですので、投資資金の流れる先の特定物件の値上がりと近隣地区の値下がりの両面で進んでいくものと思われます。

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