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Thursday, April 21, 2005

“走ルンです”は日本を救う

常磐線にE531系が登場し、7月にはダイヤ改正も予定されるなどの動きがありますが、一連の新系列車による旧型車置き換えも、ついに交直両用車が必用な常磐線中電区間にまで波及するに至り、新しい段階に入ったといえましょう。
 JR東日本の新系列車、いわゆる“走ルンです”の開発コンセプトついては、生みの親である山之内秀一郎氏の著書にもありますが、なかなか意欲的であり、かつ将来を見据えたものなんですが、鉄道ファン的には理解が浸透しているとは言い難いところです。昨夏文庫化されて買いやすくなったことですし、鉄道ファンの必修科目として是非買って読んでください。試験に出ます(嘘)。
 「日本を救う」と言うからには、まずはマクロ経済から説き起こします^_^;。「失われた90年代」を引きずり、当局の「景気回復」の言説が全く実感のない現在の日本ですが、マクロ的には「貯蓄過剰」状態にあるといえます。例の「国民貯蓄1,400兆円」云々ってやつですが、これ国民1人当たり1千万円の貯蓄があるという意味ではありません。貯蓄の正体は公的年金であったり企業の内部留保であったりというのが含まれます。早い話がバブル期の企業の投資行動の過熱の反動で投資が抑制された結果、企業の手元資金が膨らんだということです。企業の投資行動が冷えた結果、経済が停滞したわけです。
 その結果の影響がもろに出たのが銀行で、企業が投資を控えれば融資先がなくなる一方、口座の預金残高は積み上がりますから、有り余る資金を運用する先がないということになり、預金に金利をつけられないという事態になるわけです。
 また手元資金が潤沢な上場企業というのは、それだけでM&Aの標的にされます。手持ちの資金を有効活用して利益を生むことができないわけですから無理もありません。敵対的買収対抗策を云々する前に、企業の経営姿勢を見直すべきなんですけどね。
 企業が投資に慎重になるのは、悪いことではありません。問題は、その結果生まれる余剰資金の活用法に問題があるということです。3通りの道があります。1つはリスクを取ってあえて投資を行うこと、2つ目は労働賃金アップを通じた消費の督励、3つ目は株式配当による投資家への還元のいずれかです。しかし実際の企業行動は、当期利益確保のための人員整理や賃金カット、はたまた成果主義の美名のもとオーバーワーク前提の目標を掲げたサービス残業などの労働強化で強引に利益を出す媚縫策などで、ますます経済を冷やしてしまったわけです。
 しかし1つだけ低リスクで確実に成果の期待できる投資があります。高齢化に伴う人口減少社会に向かう日本にあっては、省力化投資の必要性が高まっており、しかも予算制約下でも計画的な投資によって累積的に成果を積み上げていくことが可能な投資分野であるという点で、特に鉄道のような成熟産業ほど、効果が期待できます。また間違いなく企業の利益を高めますから、無理な人員整理や賃金カットを行う必用もなく、消費を冷やしてブーメランのごとく企業業績に跳ね返る心配もありません。それでいて確実に将来の企業の競争力を底上げします。
 209系以来のJR東日本の一連の新系列車ですが、「寿命半分、値段半分、重さ半分」というフレーズが一人歩きした結果、「使い捨ての安物」というイメージで受け取られてしまいましたが、本当の狙いは「13年間分解修繕不要」ということになります。電車の法定耐用年数が13年で、通常は4年ごとの重要部検査と8年ごとの全般検査を受けるわけで、その間に全検1回重検2回を受けて、2回目の全検時に更新工事などの延命工事を行って30年程度使うというのが、通常の鉄道車両の使い方なんですが、法定の検査自体は受けるにしても、減価償却期間である法定耐用年数の間に、修繕その他余分な出費を抑えられれば、減価償却費を次の新たな投資に使い回せるわけですし、検査要員なども少数で済みますから、効率的な省力化投資と言えるかと思います。この辺は国鉄末期の201系の苦い経験が生きているのかもしれません。
 だからといって、決して鉄道車両としての基本的な部分は手抜きをしていないんで、E231系でもちょっと本気を出せば東海道線で特急踊り子より速い特快として走る実力は備えているわけで、低価格はあくまでも量産効果で実現するというあたりが、利益が出るということで車両メーカーの協力を引き出すと共に、専用製造レーンを休ませないために私鉄向けにも受注するなどしているわけです。量産車ゆえのハイクオリティというVWゴルフ的な車というと誉めすぎでしょうか。
 私もぼちぼち老後の生活設計を具体的に考えるような歳になってきました。生活費は年金で回して、余剰資金でJR株でも買って株主優待券で旅行三昧なんて夢見ております^_^;。しかしそれも鉄道を動かしてくれる現役世代の人たちがいてくれるからこそ可能なんで、より多くの鉄道が鉄道として生き残っていてほしいと思います。そのためには省力化投資というのは重要で、例えば2度の事故で廃業に追い込まれた京福電気鉄道福井支社のように、省力化に伴う保安装置の導入すらままならないでは将来はありません。
 というわけで、鉄道の将来を拓くという意味では、省力化投資こそ重要です。超伝導リニアのような需要創出形投資は、人口減少社会ではむしろ人的資源の浪費につながるおそれがあります。成熟した鉄道技術に立脚した上で、可能な限りの省力化投資を続けることこそが、鉄道の未来を拓き、ジジイの夢を実現させるものといえましょう^_^;。

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Comments

寿命半分とか、モーターの「定格」出力が意図的にたったの95KWに押さえられていることなど、スペックにとらわれない、実用性を重視した設計となっているので、誤解がはびこるようですね。

Primera

Posted by: Primera | Thursday, April 21, 2005 at 11:51 PM

コメントありがとうございます。
 30年使う通常の鉄道車両でも、更新修繕やればその費用分ライフサイクルコストが上昇しますので、使いっ切りでいくという意味での「寿命半分」なんですが、思いっきり誤解されてます。

Posted by: 走ルンです | Saturday, April 23, 2005 at 09:41 AM

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