名古屋が中心! と愛知で叫ぶ
首都圏にいますと、報道量が少なくて状況がわかりにくいですが、愛・地球博の入場者数が伸び悩んでいるようです。そもそも何のための万博だったのか、コンパクトにまとめた裏ガイドブック(笑)がありますが、知っておくと愛・地球博を256倍楽しめます^_^;。一般書店では入手が難しいようですから、Booksアフィリエイトで注文してくださいましm(_ _)m。
ライバルはセントレアだそうで^_^;、高い入場料より見学だけはタダ、冷凍マンモスよりもお風呂、弁当持参でも取り上げられないなどなど(笑)、「花より団子」状態の愛知の春であります。
さて、何でこうなってしまったんでしょうか。セントレア開港時の記事でも書きましたが、セントレア自体の優位性は単なる後出しじゃんけんの強みであって、間違っても中部が日本の中心になるという話ではありません。名古屋空港の代替で国内線が充実しているのは当然として、国際線の誘致はこれからというところでして、万博開催には間に合ったものの、実際にセントレアを窓口として世界から愛知へ万博見学に人が来るというイメージとはほど遠い現実が横たわります。
セントレアの売りは、確かに充実した国内線ですし、国際線と国内線の乗り継ぎが便利なコンパクトさなんですが、それが成田や関空や、最拡張で国際化を睨む羽田に対して持つ優位性は限定的であることを自覚すべきでしょう。確かにトヨタにとっては使い勝手が良いかもしれませんが、人口も企業立地も群を抜いて多い首都圏からは利用しにくいですし、近畿圏からの距離感も微妙です。貨物分野も同様で、結局のところは立地面の優位性は相対評価であって、地域の経済活動の反映としての優位性に過ぎないんです。
翻って、確かに現在中部経済は好調です。特に毎期増益記録を更新するトヨタの強さは盤石に見えます。ですが、逆に言えばトヨタの好調がそのまま地域経済の好調へと反映されてしまう程度の規模というのが、中部経済の実像だともいえます。日産自動車の好調ぐらいでは持ち上げられない首都圏経済や松下の好調ぐらいでは浮揚しない関西経済とは比較のしようがないんです。逆に言えばトヨタ依存の強すぎる中部経済は脆弱であるともいえます。ただし電子化の進む自動車でトヨタ系列のアイシンやデンソーがキーデバイスを握って他社へも供給を拡げている状況ですから、万が一トヨタの販売不振が起きたとしても、それぐらいでは中部自体が沈む心配は薄いことは申し上げておきます。
それよりもトヨタを筆頭に輸出企業に偏った産業構成の方がリスク要因と考えられます。輸出企業の好調は、あくまでも現行の為替水準だからこそ実現しているのであって、特にアメリカの利上げでややドル高に振れている現状は、輸出企業にとっては増益要因となります。トヨタでも利益の7割は北米市場で得ている一方で、国内販売の不振は止まらず、競争の激しい欧州ではユーロ高に関わらず未だ利益を得るに至っていないんで、アメリカのくしゃみでどうにかなってしまう脆弱さ(中部に留まらず日本全体がそうですが-_-;)は自覚しておいた方が良いでしょう。
あと中部企業の無借金経営の伝統が強さの秘密とよく言われますが、トヨタグループほか大手企業では確かにその傾向は見られます。その結果大手都市銀行の存在感の弱さが伝統的にあって、故に中部を地盤とする旧東海銀行は地元で貸し出し実績を延ばせずに首都圏や近畿圏に無理スジで出ていって、バブルにまみれてしまいました。結果的に三和銀行と経営統合されてUFJ銀行となったんですが経営規模の拡大は一層の中部離れを引き起こし、その結果中部圏は大手メガバンクの手薄な地域として地方銀行が元気付くことになります。このことで金融危機で全国的に貸し渋りが起きた97~98年頃でも中小企業向け融資が機能した結果、他地域よりも良好なパフォーマンスを得ることができたわけです。巡り合わせが良かったわけです。
ただし将来にわたって良い巡り合わせが続くとは限りません。記事の冒頭の愛・地球博の収支次第では重荷を負うことになりますし、日本一の借金企業JR東海の存在が重石となると考えられます。実際に中京圏近郊輸送でのJR東海の攻勢が、名鉄を苦しめて岐阜地区600v線区を廃止に追いやったといえますし、JR名古屋高島屋の好調は名古屋中心部の商業的な地盤沈下のきっかけになりかねない危うさを秘めています。
というわけで、まだ結末はわかりませんが、宴の後に“せかちゅう”同様“なごちゅう”が泣ける話になりますかどうか^_^;、見守ってまいりましょう。
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