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Saturday, May 14, 2005

郵政民営化で新幹線ができる?

何か、総務省の上級公務員の更迭騒ぎなんかがあって、他のニュースに隠れてしまった感のある郵政民営化問題ですが、いきなり脂っぽいニュースが流れました。ま、当人たちは官邸の意向に逆らって郵政族のご用聞きみたいな真似をしてたらしいんで、更迭されても仕方ないところです。そもそも公務員の政治活動は禁止されていたはずですが。
 何か1月に流れたニュースが共同通信で配信されて地方紙中心に記事になっているらしいんですが、これがなぜ郵政民営化と関連するかというと、整備新幹線着工や関空二期工事などの大型公共事業を“抵抗勢力”懐柔のために認めるという密約説に由来します。この論点についてはこちらもご覧ください。
 その結果、既に関空二期工事は埋立と造成に予算が付いて既成事実化しつつありますが、整備新幹線については、国の負担分の大半を占める鉄道整備基金の枯渇という問題ががあって、根元受益と称する奇妙な理屈で直接事業に関与しないJR東日本に負担を求めるという流れになっておりますが、法令による根拠がない状態ですから、すんなりとことが運ぶわけではありません。
 その一方で北陸や北海道新幹線ができたときにせっかくできた新幹線で便利な列車が設定できるように大宮から新宿まで地下方式で新幹線をつくって、現在線の騒音対策による徐行をなくすとともに列車本数を増やせるようにしようということのようです。問題はやはり財源ですが、事業費として6,000億円程度が見込まれています。ただし大深度地下を通して私権が及ばない前提での試算ですから、やはり法令上の問題をクリアすることと共に、技術面での検証はこれからということに留意しておく必要があります。
 というわけで、現時点では法令面でも予算面でも裏付けがある話ではないんですが、選挙区向けのリップサービスにはなるということですね。前の記事でも書きましたが、対JR東日本という視点で一方で根元受益を理由に負担を求めながら、他方で輸送力増強を公共工事で行うという矛盾に気付かないという奇妙なことになるわけです。抵抗勢力のホンネは郵政民営化も目一杯骨抜きにした上で、あからさまに要求しにくい大型公共事業の実施を条件闘争で勝ち取っていくということなんでしょう。予算はポスト小泉政権下で誤魔化してひねり出せばよいわけです。ついでに郵政民営化も民営化各社の株式持ち合いで実質国有企業に留めることができれば万々歳というわけですね。竹中大臣の“イコールフッティング”論はどこへやら、実質国有巨大企業と監督官庁の関係も、NTT分割問題の迷走やJR西日本尼崎事故を踏まえると危うさを禁じ得ません。
 財政規律の回復を目的としたはずの郵政民営化ですが、ここまで来ると本当に悪い冗談では済まされないほどに変質してしまっています。いっそ解散して国民に信を問うてくれれば良いんですが、分裂選挙で勝ち目のないものをやるはずもないですし、困ったモンです。

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Comments

これはいくらなんでもめちゃくちゃです。
確かに、社会資本としての鉄道を活用していくには必要な投資というものがありますし、鉄道事業を民間の能力だけでやっていくのも限界が見えています。だから、「上下分離」だとか「公設民営」という考え方が理解されつつあるのですが、この記事からは、どうも「上下分離」「公設民営」のデメリットが見えているようでなりません。
鉄道整備にここまで極端な政治の介入を容認すると、規制官庁と非規制企業の関係が腐敗したり、無駄な鉄道インフラの整備が行われかねない。
国鉄の失敗から何を学んだのか、と政策当局関係者に、某巨大掲示板風にいえば
「小一時間問い詰めたい」
というのがホントの気持ちです。

Posted by: 下村仁士 | Tuesday, May 17, 2005 at 12:44 AM

コメントありがとうございます。
 最近思うのですが、いわゆる“公共性”を再定義する必要があるんじゃないかと考えております。
 明治以来の鉄道関連法規についても、時代の変化に対応させるだけでは、結果的に木に竹を接ぐような不自然さを残し、制度疲労を起こしているように感じます。
 本当に必要な社会資本としての鉄道整備には反対するつもりはありませんが、団塊世代の大量リタイア時代を目前に、過大なインフラ整備は資源配分の無駄を生む心配もあります。そのあたりが適切に評価できる制度が望ましいですね。

Posted by: 走ルンです | Tuesday, May 17, 2005 at 09:29 AM

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