西武鉄道株主総会でも再建策決まらず
株主総会の集中日の6/29に、あちこちでヤジと怒号の株主総会がありましたが^_^;、そんな中のひとつが西武鉄道です。当ブログでは以下の記事を過去にアップいたしております。
西武王国激震、鉄道屋になれなかった堤義明
脱堤、西武鉄道は自立できるか?
コクド球団売却に動く!? 西武ライオンズの蹉跌
西武鉄道上場廃止の危機に会社再編
西武鉄道再生策のゆらぎ
まずは日本経済新聞の株主総会特集の記事から見てまいりましょう。結局西武鉄道とコクド・プリンスホテルの一体再生という経営改革委員会案を決定できなかったわけで、西武グループの再生は一筋縄ではいきません。株主の立場からいえば、こんなニュースが流れていればちょっと待てと言いたいところです。
あと厄介なのは、堤家の兄弟連名による名義株の所有権の確認に関する提訴で、東京高裁が堤家の訴えを認める決定を下したことで、下手をすれば堤家の持ち分だけで過半数という状況で混迷の度合いを深めております。
この辺はもうどうにもならないほどにややこしい話になってまして、スッキリした解決を難しくしております。コクドやプリンスホテルの事業が西武鉄道の鉄道会社としての信用力に依存しているのは間違いないでしょうけど、特に最近のリゾート開発では、鉄道沿線から離れた地域でシナジー効果が期待できないばかりか、単体での収益性にも疑問が残るものばかりで、地方自治体のタニマチの如きものだったわけです。一方で赤坂、芝、高輪、品川など都区内のプリンスホテルは西武鉄道が家主でホテルがテナントという関係で、それゆえに西武鉄道は莫大な含み益を抱えているわけですが、逆にシナジー効果が高いだけに単体で売却して益出しすることははばかられます。
一方のリゾート開発ですが、地方自治体に請われるままにタニマチぶりを発揮した堤義昭前会長の個人保証を裏付けに貸し込んだ銀行にしてみれば、切り離せば不良債権となるわけですから、一体再生で損益通算してしまいたいわけです。それと堤義昭前会長の個人保証で融資する姿勢というのは、日本の銀行の長年の融資慣習ではあったのですが、本来の事業の収益性に基づく信用創造とはかけ離れたものといえます。そもそもそんなおざなりな融資姿勢が解決を難しくしているといえます。
また西武の前近代的なワンマン経営を銀行も追認していたとも言えるわけで、ある種の共犯関係が存在したともいえます。というよりも西武コクドグループの不透明な経営は以前からあったわけで、考えてみれば昨年5月の総会屋への利益供与が明るみに出て経営幹部が逮捕されたところから、一連の西武コクド問題が始まっていることは見逃せません。
つまるところわかっていながら訴追できず、誰も猫の首に鈴をつけられなかった問題として、私たち自身が他人事にしないことを決意するしかありますまい。思えば後藤新社長は第一勧銀時代に総会屋利益供与を内部告発した人物でもあり、何たる運命の皮肉ですが、ある意味西武鉄道再生を請け負うには適任といえるかもしれません。しかし鉄道の利益を鉄道に還元して競争力を維持するビジネスモデルへの移行がかくも難しいとは、西武の闇は深いと言わざるを得ません。
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