JR東海313系増備、車両更新で減車とは?
JR東海のニュースリリースによりますと、5年ぶりに在来線車両の置き換えを行うということで、在来線在籍車両の81%がJR化後の新製車となるものですので、輸送改善の効果が期待できます。
投入線区は東海道線全線、中央線、身延線、御殿場線などとなっていて、平たく言えばJR東海の直流電化路線のうち飯田線を除くほぼ全線に配置されることになりそうです。5年ぶりの登場となることもあって、車椅子対応トイレなどバリアフリーの深度化がうたわれておりますが、必然的にトイレスペースが拡大され、短編成を前提とする限り、収容力を確保するために車内レイアウトが見直されるのかどうか、つまり有り体に言えば転換クロスシートを諦めて、座席数の確保が容易なボックスシートやロングシートなどの選択肢を採用するかどうかあたりが注目点でしょうか。特に今回は名古屋都市圏以外の地域に配置されると考えられますので、並行私鉄との競争がないなど、マーケット特性の違いもありますし、乗客サイドの嗜好も異なると考えられますので、その辺をJR東海がどう考えているかが明らかになります。
あとメーカーは日車主体となるんでしょうけど、小田急3000系や京王9000系、京成3000系や名鉄のステンレス新車群に見られるブロック工法の車体が採用されるかどうかなど、5年の空白による技術革新要素の現車への反映がどのようになるかも興味深いところです。
で、本題なんですが、旧型車234両の置き換えに204両の新製ということで、差引30両の減車となるわけですが、これをどう評価するかという点です。素直に考えて、現車が登場する今年秋の時点では、愛知万博も終わってますから、ポスト万博輸送という観点からは、減車は妥当な判断となるわけです。おそらくJR東日本との乗り入れを減らして捻出した113系T編成の分が該当するんだと思います。JR東日本で113系置き換えが加速している現状を考えると、これも妥当なところかとは思います。
問題はその先でして、ここまではあくまでも現状で需要に見合った輸送サービスが実現していることを前提とする限りは、問題ないと思いますが、例えば御殿場線の国府津口で313系ワンマン列車の乗車率を見ていると、どうも疑わしいところです。E231系5連の山北ローカルがほぼ完全着座で利用されている現状を見ると、短編成化やワンマン化などで合理化の果実を得るのに乗客サービスにしわ寄せがされているように感じざるを得ません。折角新車が入るというのに、なぜか素直に喜べないところです。
設備投資額250億円としており、1両あたり1.25億円になりますが、JR東日本の新系列車で0.9億円/両を実現していて、それを当てはめると同じ予算で280両増備可能ですし、一般的な1億円/両で計算しても250両の増備が可能なんですが、それだけ車両単価の高い新車を入れることと、同じ予算で車両単価を抑制して新車を多数入れることと、どちらが正しい判断なのか、にわかには判断がつきません。
このあたりの論点はJR西日本の321系についても述べましたが、車両更新は鉄道会社として重要な問題であり、またコストダウンは私企業としての鉄道会社として避けて通れないテーマであるわけです。会社としての考え方が最も端的に出る部分ということで、注目すべきものといえます。
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