郵便ポストが赤いのは、国民欺くウソのせい?
当ブログにおける郵政民営化関連の過去記事です。
郵政改革、日の丸民営化は錦の御旗?
旅行貯金者の聖地はクマと出会う素敵なところ
郵政民営化の陰の悪だくみ、北海道新幹線着工
うーむ、見事に支離滅裂だ(爆)。
連日郵政国会をめくる報道合戦が続いておりますが、ものの見事に政局報道ばかりで、国民が最も知りたい民営化したらどーなるの?という話は埋没してしまっております。こういう状況は裏で別の事態が進んでいてもそれをカモフラージュしてしまうおそれがあります。さりとてここまで何だかわからない対立が先鋭化してみると、今さらナイーブな政策論も陳腐だし、んで、某超有名キャスター氏が「政府は説明責任を果たせ」とはいかに。国民の疑問に答えられないのは政府のせいかい。仮にも報道機関たるメディアのあり方を考えていれば、こんな他人事のような言い方はできないはずです。
郵政民営化で新幹線ができるというのは、いささか誇張した表現ですが、政治は表面をなぞるだけでは本当のところは見えてきません。国会での対立劇の陰で進行するなにかに目配りが欠かせません。少なくとも大規模な利権である郵政の改革には、きれい事では計れないさまざまな思惑が交錯するのは当然過ぎるほど当然のことです。
というわけで、こんな記事見つけちゃいました。これが郵政民営化とどのように関連するのかは、少し解説が必要です。
背景として、商船三井側には中国特需で追い風を受ける海運業界の中で、港から先の需要地への足を確保し国際物流体制の中で存在感を増す意味で、国際航空貨物を担うフォワーダーと称する運送会社とのコラボレーションを模索していました。そして相手として最大手の日本通運は大き過ぎるし、まさか郵船航空サービスと組むわけにもいかず、中堅フォワーダーとして近鉄エクスプレスは最適な相手といえます。
一方の近鉄エクスプレスですが、バッファローズ球団の合併問題でも明らかなように、親会社の近畿日本鉄道の事業リストラの一環として、5%相当の保有株式の売却が検討されておりました。そしてライブドアのニッポン放送買収劇に背中を押され、近鉄保有株式の売却先として商船三井が浮上したというわけで、一応相思相愛の提携といえるものではあります。
キーワードは中国でして、中国の工業化は、国際分業の大規模な組み替えとして現在進行中の大変化なわけですが、その結果既にUPS,DHL,Fedexなど少数のメガキャリアの寡占といわれる国際貨物分野での合従連衡の始まりというコンテクストがあるわけです。
えーと、勘のいい方ならここまででピンとくると思うんですが、メガキャリアの一角のDHLが、民営化されたドイツポストに買収されて各国の運送事業者を次々に買収して地位を築いたことが思い起こされます。そういえば郵政公社の生田総裁は商船三井出身でしたっけ。
そう、なぜに郵政民営化を急ぐのかというと、今このタイミングでないと、中国発の物流合従連衡に乗り遅れるわけで、郵政公社を民営化して官業の縛りを解いて新分野参入をしない限り、電子メールの普及などで毎年2%減の続く親書便輸送でじり貧の郵政事業は永遠に赤字を垂れ流し、事業縮小を余儀なくされることは明白です。そのためには反対派に大盤振る舞いの妥協をしてでも民営化を実現しなければならないわけです。結果的に整備新幹線の新規着工も実現してしまうんですね。
というわけで、国民の利便性なんぞハナから眼中にない改革だからこそ、過疎地の郵便局の設置基準のような、民営化の意義すら疑わせる妥協が平気でできてしまうわけです。また国民に民営化の意義を堂々と主張できないで、コンビニ化などの夢物語しか語れないわけです。コンビニ業界が既に既存店売上高の前年割れが続き、スクラップアンドビルドで新店効果で売上を稼いでいる現実をご存じないんですね。民営化の果実は事業会社の自由な事業展開というオチです。だから民営化後の株式持ち合いも容認してNTTのように独占企業として政治利権化すれば、政治家はおいしい思いができるわけです。
とすると、以前から郵政事業のリストラ=事業縮小の必要性は言われていたわけですから、今回の政府案は廃案にした方が事業縮小に寄与するのでしょうか。まぁ、郵政民営化で事業の自由を獲得しても、それだけで事業の成功が保証されるわけではないんで、結局郵政事業は遠からず縮小の道を辿ると考えられます。
加えてこんなニュースもありますが、財政改革は小泉改革の金看板ぢゃなかったんかい。まぁ一律3%のマイナスシーリングというのは、不要部門は簡単に越えられるけど、安全や社会保障など財政需要の旺盛な部門ほど痛みを伴うことも忘れてはなりません。
というわけで、私は個人的には民営化賛成にも反対にも与しないでおきます。
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