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Sunday, August 07, 2005

つくばエクスプレスで地価下げ止まり?

タイトルのような特集を日本経済新聞地域版で発見いたしました。
(8/2)茨城県内路線価7.5%下落――TX沿線、下げ止まり感、13年連続下げ
というわけで、相続税などの評価基準となる路線価が発表され、茨城県もご多分に漏れず下げたわけですが、下げ幅が縮小し、栃木や長野を下回り、その原因としてつくばエクスプレス沿線地域の一部で下げ止まりが見られるということです。結構なことなんですが、路線価の評価法は確か92年から収益還元法を取り入れた方式にに変わっているわけで、法令の後押しもあって開業前から沿線地域では区画整理事業が活発化しているわけですから、造成されて土地の利用度が高まった結果なわけで、ある意味当然のことなんですけど^_^;。
 実際茨城県の平均路線価は47都道府県中44位で現評価法となった92年の47%の水準に留まるなど、厳しい状況にあります。なお、たまたま路線価の発表される8月の開業ということで、タイムリーな話題にリンクして記事が書かれたものと思いますが、本来実勢価格がわかれば良いはずなのに、さまざまな理由で土地の価格が4種類も存在するバーチャルな状況は、土地に対する特に行政サイドの特別なスタンスが影響しています。だから路線価が関連話題となったこと自体には大した意味はないんですが。
 重要なのは茨城県がリソースをTX沿線に集中させていることなんですけど、以前にも指摘したとおり特定地域への開発リソースの集中は、結果的にそれ以外の近隣の地域の地価を押し下げる効果があるという点に注意が必要なことは、大都市圏で再開発地域とその近隣の関係にも見られる現象です。茨城県でいえばTX沿線から外れた水海道や石下、下妻など常総線沿線や江戸崎や玉造など霞ヶ浦沿岸地域などが特に影響を受けることになると思います。
 ということになると、このエリアをフランチャイズとする関東鉄道の経営への打撃はかなり大きいといえます。もちろん影響は単純ではなく、守谷付近で宅地開発が進めば、商業集積のある取手への買い物客が増えることで常総線の利用客は増やせるでしょうし、逆に通勤通学客が減少すれば、保守費が嵩むディーゼルカーをピーク時に合わせて多数保有する必要がなくなる分、コストダウンが可能になるなど、プラス要素もありますが、水海道以北のローカル化が更に進むなど、状況は厳しいといえます。さらに自衛隊百里基地のジェット燃料輸送を失った系列の鹿島鉄道を支えられなくなることは考えておく必要があります。必要ならば茨城県は第三セクターによる経営引き受けなどの対応を迫られます。
 JR常磐線への影響も単純ではありません。
(7/23)JR東、TXに対抗――常磐線、土浦以南6駅美化
JR東日本の7月改正でE531系新車による特快新設やフレッシュひたちの増発など、TXを意識した改正と言われておりますが、単純な競争関係と考えるのは早計です。元々TX自体が常磐新線として常磐線の混雑緩和を目的とした路線であったわけで、関鉄常総線と同様にピーク時の混雑緩和に寄与するならば歓迎すべきことのはずです。しかしTX沿線で開発が進むことで、常磐線沿線市街の空洞化が進むようであれば、それをくい止める必要があるわけで、新車投入やスピードアップに留まらず駅の美化までして旅客を誘致することは重要なことといえます。
 一方のTXも新しい鉄道として旅客誘致には意欲を見せます。
(7/15)TX車内で無線LAN、動画配信・TV電話可能に
つくば市など学園都市であり官庁や企業の研究施設が立地する地域ということもあり、また今後も研究開発型の施設誘致に特化されると予想されるだけに、TX利用者のビジネス利用を重視して、さまざまなアイデアで旅客を引きつけようとしています。当初は予定されていなかったTX2000形のボックス席手すりにテーブルを仕込んだりして、無線LANでノートPC利用を想定しています。果たしてこの辺のユーザーの評価はどう出るでしょうか。
 ただしTXにも弱点はあります。全駅ホーム柵と車両ドア連動のホームドアを設置しておりますが、この方式は安全面では優れていても、混雑対応に弱点があり、開業後の試し乗りでダイヤが乱れることが予想されます。一時的な開業景気だけならば良いのですが、開業後のピークタイム対応やイベント輸送など、混雑に対する対応如何では使えないとの厳しい評価もあり得ます。
 また守谷以北のデッドセクションと交流電化によって、ある意味バブルの頃の混雑緩和に苦しんでいた常磐線の悩みを引きずることになります。つまり茨城県内で開発事業が成功し、TXに旅客が集中したときに、機動的に高価な交直両用車が増備されるかどうかという問題です。一応TXを運営する首都圏新都市鉄道(株)は資本余力がありますので問題はないとは思いますが、JR東日本が資本参加しなかった同社経営陣に、的確な経営判断が可能かどうかは未知数です。あるいは自治体主導三セクの悪弊で、例えば茨城県のために高価な車を追加するなら茨城県と関連自治体で増資を引き受けよなどともめて、意思決定がうまくいかない可能性はあります。
 あくまでも推測の域を出ない話なんですが、このあたりの事情は、JR東日本が出資を断って経営参画しなかったことにも通ずるものがあるかもしれません。元々開業年度を2000年度と設定して事業に着手され、流山市以南では区画整理も順調で、都区内は主に地下を通ることもあって、全くの新線には珍しく都心側で工事が進んでいたのですが、柏市内とつくば市内で区画整理事業が大幅に遅れ、開業年度を2005年度に変更し、都心側の工事をスローダウンさせた経緯があります。前後関係は精査しておりませんが、JR東日本が出資を断った次期と符合します。
 状況から言えば、2000年頃に流山市以南で部分開業の目はあり得たと思うんですが、そうならなかったのはなぜなのかということなんです。車両はJRで廃車が進む103系を一時借用し、三郷市の旧武蔵野操車場跡地の再開発地域など仮の車庫を確保して、とりあえず開業して利用者を引きつけることができれば、投下資本の回収が早まるばかりでなく、全線開業後の旅客誘致にも有利なわけで、総事業費を抑制して利益を生み出せるわけですが、あくまでも推測であるとお断りしておきますが、この辺の意思決定を巡ってJR東日本と茨城県及び関連自治体との間に、抜き差しならない対立が発生したのではないかと睨んでおります。
 そう考えると、時期的にniftyの鉄道フォーラムで常磐新線は標準軌で新幹線サイズというガセネタが、会社関係者の意向として流れたことなどが思い出されます。免許上はあくまで常磐新線は狭軌で守谷以南DC1,500v、守谷の北のデッドセクション以北AC20kv電化で変更はされておらず、いかにも素人っぽい夢物語が関係者の証言として出てきたあたりに、自治体主導三セクの性を見てしまうのですが。ただしくどいようですが、これらはあくまでも推測の域を出ませんので、そのようにお読みください。

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