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Saturday, August 06, 2005

尼崎事故、ブレーキかけず高速でカーブ進入…調査委

リンク: @nifty:NEWS@nifty:尼崎事故、ブレーキかけず高速でカーブ進入…調査委(読売新聞).
同じくniftyのニュースサイトからです。
運転士、非常ブレーキ使用せず=通常ブレーキ作動も遅れ-ATS記録解析・事故調(時事通信)
日経関西版に詳しい記事がありました。
尼崎JR事故で脱線の快速、百十数キロでカーブ進入──直後に常用ブレーキ、事故調調べ
ニュースサイトのリンクは公開期限が短いですが、記事名から有償検索や縮刷版などで記事を辿ることはできますので、ご活用ください。
 大まかに言えば、ATSの記録装置の解析により、事故列車の運転士は伊丹駅発車後、事故地点のカーブまで減速せず、緩和曲線に入ってから常用制動で減速し、外に大きく傾いたものという見方が示されました。非常制動については運転士による操作の記録が残っていないところから、連結器の破損による編成分離で作動した可能性が高いようです。事故原因はオーバースピードですが、運転士のブレーキ操作に大きな遅れが見られたことから、なぜブレーキ操作が遅れたのかに、次の焦点が移ります。
 繰り返し報道された伊丹駅でのオーバーランや日勤教育の問題などで、運転士が正常な判断力を失っていたらしいことは推察されますが、この辺になりますとメディアの報道姿勢がとっ散らかってきてしまいますが、あくまでも再発防止が重要なんで、そのために何を改善すれば良いのか、冷静に見ていく必要があります。
 まずATSですが、度々指摘された速度照査ATSの設置については、国土交通省の通達によって危険個所への設置が決まり(脱線防止ATS新たに設置(共同通信))、従来設置基準がなかったATSを活用した事故防止策が各社で進捗することになります。福知山線に関しては営業再開前にATS-P設置工事を終えておりますので、要件は満たしておりますが、旧式のATS-Swでも速度照査機能を持たせることが可能なことは、既に指摘しておりますとおりです。
 車体の側面強度の問題については、まだ何も決まっていないんですが、尼崎事故に関して言えば、側面強度以上に先頭部の衝突安全への配慮不足を感じます。怖い話なんですが、1両目と2両目の損傷が激しかったことが、後続車両の損傷を軽減した現実を直視せざるを得ません。側面強度もさることながら、マンション地下駐車場の仕切壁に衝突した1両目が、衝突によって長さが2/3程度に縮まってしまったことを思い出して欲しいんですが、正面衝突に対して変形するクラッシャブルゾーンとそれに保護された変形しないコア部分を設定していなかった結果、全長が縮んだ1両目と横向きになってマンション側壁に叩きつけられた2両目が衝撃を吸収して後続車両を保護したという皮肉な結果となったと見るべきでしょう。先頭モーター車だったら回避できた問題ではありません。
 そして奇怪なのが運転再開時に見直されたダイヤなんですが、余裕時分の少なさが運転士の焦りをもたらし事故の誘因となっているという指摘に対して、駅停車時分の見直しは行われたのですが、運転速度を120km/hから95km/hへ下げた結果、駅停車時分を除けば余裕時分の少なさは相変わらずで、これで本当に事故対策になるのか疑問が残ります。ま、これは事故車の代替車と噂されるJR東日本武蔵野線から発生した103系8連の緊急トレードが絡むのかもしれませんが、足の遅い103系でも使えるダイヤにしたとしたら、相当レベル悪質な冗談としか言いようがありません。
 何か最近、安全に対する当事者の揺らぎを感じてしまいます。先日の地震でも、エレベーターが多数停止し、そのほとんどが耐震基準が強化されてから設置された新しいものだったことから、緊急停止を震度4以上から震度5弱以上に緩和が通達されたり、鉄道の運転再開が遅れたことを受けて、線路の目視確認の要件を緩和する動きもありますが、安全を守ることと利便性は、ある程度トレードオフの関係となるのは致し方ないところなんですけど、不満の声に押されて?揺らぎが生じているとすれば、それはむしろ安全を損なうものと言わざるを得ません。仮に安全に支障がないというならば、そのことをきちんと説明すれば済むことなんですが、例えばJR西日本は、福知山線のダイヤ見直しや321系の設計変更が安全に寄与するという説明には納得しがたいものがあります。
 最後になりますが、川島令三氏が近著で尼崎事故を取り上げております。本日8/5現在書店店頭で現物を確認しておりませんので、内容は未確認ですが、無知な報道記者なんかよりも視点の豊かさは確かですので、フライング気味ですが^_^;お薦めとさせていただきます。

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Comments

SWの照査機能、川島氏の著作でも同様の主張がされています。先頭車電動化、およびボルスタつき台車の見直し論、については一概には言えませんよね。京急ようなレイもありますが。

Primera

Posted by: Primera | Saturday, August 06, 2005 12:51 AM

始めまして。いつも興味深く拝見しております。さて、日経の関西版へのリンクですが、こちらの方がより適当かと存じます。

http://www.nikkei.co.jp/kansai/topics/28071.html

Posted by: kmaeda | Saturday, August 06, 2005 10:52 AM

コメントありがとうございます。
>Primeraさん
 川島氏の本を早速読まれたということで、当方は出遅れておりますが^_^;、さすがにお目が早いですね。
 まだまだ事故原因の特定などは難しいところで、さまざまな安全対策が散発的に行われている現状の奇妙さは、うまく表現できませんが変ですよね。

>kmaeda さん
 日経関西版への適切なリンク情報ありがとうございます。早速本文埋め込みのリンクを修正させていただきました。今後ともお気づきの点がございましたら、どんどんツッコミ入れてください^_^;;;。

Posted by: 走ルンです | Saturday, August 06, 2005 12:23 PM

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