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September 2005

Tuesday, September 27, 2005

リタの次は? 名前尽きてもハリケーンはできる

ネットサーフィン(懐かしい響きだ^_^;)してて、こんな記事見つけちゃいました

(9/25)ハリケーン多発で命名リスト尽きる恐れ(日本経済新聞)
そもそも命名リストが存在することも知りませんでしたが、リストアップされている人名が21個というのも、おそらく経験的にそれで足りるということだったんでしょう。かくして名無しのハリケーンが続々登場で2ちゃんねる状態に^_^;。

元々印欧語圏では何でも固有名詞をつけたがる傾向が強く、日本の台風X号式の数字を重ねる流儀とは対照的ですが、日本式の優位性と評価するのは早計です。台風やハリケーンは数が少ない方がありがたいわけですから。でもそうは言っていられない現実に直面しているわけですね。これでアメリカが地球温暖化を実感して京都議定書の批准に動き出すようならば、アメリカ式は実は優れていたという話になるかもしれませんが、そう甘くはないか。

カトリーナのときもそうでしたが、リタで130万人という人の避難が大変でした。なにしろ鉄道がないので車でということで、ハイウエーは大渋滞、ガス欠で路側帯で停止する車が続出、ガソリンスタンドでは給油待ちの車列が長く伸びて渋滞を助長という状況は、何か末期症状をうかがわせます。

こうなると貧困層ではない中産階級といえども、無事に避難できるのか、避難先に受け入れ施設があるわけでもなく、車中泊を余儀なくされる人々も多数という状況ですから、本当に命の保証があるのはヘリで高地の別荘へ避難できる富裕層だけという状況です。何かアメリカ社会を象徴するものがあります。

石油精製施設の被災もあって、ガソリン価格も高騰しているようですが、これが日本円換算で80円/l程度の水準だそうで、少なくとも旅客輸送に限っては、鉄道が競争力を持つのは至難の業といえます。でもこういった事態に直面すると、鉄道の輸送力がもたらす公共性の高さを思い知らされます。

あと世界的に石油の需給が逼迫して、オイルショックの再来を憂う声もありますが、現在のボトルネックが主に産油国の原油生産量ではなく、消費国の石油精製施設の能力不足(特にアメリカ)にあるわけで、この辺も石油資本による利潤最大化動機から、設備更新を先送りしての操業が続いたことで、設備自体の疲弊があったようです。そういえばハリケーンが来る前から事故が多発してました-_-;。自由放任経済のなれの果てと言えましょう。

鉄道の話題では、日本でも台風14号で高千穂鉄道が鉄橋流出を含む大きな被害を受けました。元々利用客減少で経営安定基金の取り崩しまで始まって、存続が危ぶまれていた矢先の被災ということで、万事休すの可能性大です。アメリカとの比較で日本の特長は、過疎化と高齢化が極限まで進んだ山間部に災害が集中することでしょうか。富裕と貧困とを問わず、高齢者には避難そのものが体力的に大きなハードルとなって生存可能性を狭める上に、鉄道と道路が寸断されて物理的に孤立し、デジタルデバイドでメールなど通信手段すら使えないという現状をどう考えたら良いのか、悩みは尽きません。アメリカと日本では弱者の実状もかなり違いますが、カトリーナの記事で書いたとおり、小泉自公政権の圧勝で対岸の火事とはいえないところです。

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Sunday, September 18, 2005

デフレに翻弄されるつくばエクスプレスの正念場

開業景気が一段落して、早速空気輸送となりつつあるようですが^_^;、つくばエクスプレスに関しては、まだまだ語り尽くせていないことが多くあります。しかし輸送の実数を見るには半年なり1年なりの期間を見る必要があり、まだ話題にするには早いと思いますので、周辺の話題を取り上げます。

人口の都心回帰による地価下落を払拭して、地価下げ止まりから開発促進へと期待を膨らませる茨城県と関連自治体ですが、東京延長を主張する守谷市とまずは沿線開発とするつくば市という具合に、早速意見が分かれているようです。ま、当ブログで再三指摘してきた自治体主導三セクのイニシアチブ不在が顕在化したようです。

その前にデフレに関して世間に流布する俗説を修正しておきます。失われた90年代に進行した物価の連続的な下落ですが、主に以下の3つの力が働いて起きたものといえます。

1.バブル崩壊に伴う地価や株価などの資本ストックの価格調整
2.国際競争の激化と日本の構造調整の進捗による内外価格差の解消
3.IT関連を中心とした技術革新による生産性向上がもたらした相対価格の変更
これらがほぼ同時進行で同じベクトルで重なり合った結果、世上デフレといわれる現象が起きたわけですが、いずれも相対価格の変動であって、経済的には普通の現象であり、貨幣的現象ではありませんので、いくら日銀が貨幣供給量を増やしても、防ぐことはできません。

元々バブル期に常磐新線として計画され整備に着手されたつくばエクスプレスは、この流れに翻弄されることになります。東急田園都市線をモデルとして事業主体の首都圏新都市鉄道(株)によって鉄道用地と再開発用地の先買いが大幅に認められたわけですが、結果的にこのことがバブルの余韻が残るうちは用地取得を遅らせることとなり、97年の事業見直しで開業年度を2000年度から2005年度へと変更を余儀なくされました。

ただしこれは結果的に地価の下落で事業費の圧縮に寄与することとなり、工事の遅れが事業費を拡大させる従来の鉄道建設工事との違いが際立ちます。と同時に沿線開発を遅らせることとなり、開業後の乗客見込みを38万人→27万人へ下方修正されることとなり、単年度黒字まで10-20年、累積赤字解消に40年という厳しい見通しとせざるを得ず、事業の行く末を不透明なものにしています。

一方でトンネルのシールドマシンが従来1.2mごとに内壁を構築していたのを1.5mごとに見直したり、マクラギの形状変更で寸法を詰めたりなど、技術革新によって建設費も圧縮されました。結果的に97年当時で1兆500億円といわれた総事業費は、開業前の段階で9,400億円、更に最終的には8,300億円まで圧縮される見通しとなり、元々資本金1,850億円と潤沢な上に、国や自治体の無利子融資で有利子負債がほとんどない財務体質の良さもあって、経営上の重荷は少ないスタートではあります。

ただしこのことが上記の東京延伸へ余剰資金を投入すべしという一部の自治体の声となっているわけですが、呉越同舟の経営で足並みは揃わず、沿線開発の遅れを問題視する声の他にも、資金調達に協力した自治体へ返還すべきとの声もあり、結局何も決められないようです。当然有利子負債の一括返済でとりあえず利子負担をなくすという選択肢もあり得ます。

今後ですが、原油価格の高騰でデフレ終息期待が一部であるようですが、おそらくは石油製品の値上がりが消費の冷え込みとなって、一般物価の上昇は一部に留まると考えられます。またつくばエクスプレスで地価下げ止まり?でも指摘しました通り、下げ止まりは一部地域の一時的現象であって、また周辺地域の空洞化、地価下落を伴うものであることを申し上げておきます。

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Monday, September 12, 2005

郵政台風去って「こんなはずでは」

やっと嵐のような選挙戦が終わりました。ひとこと書いといた方が良いと判断しました。

ルイ・ナポレオンと小泉純一郎。いずれも希代の詐欺師として歴史に名を留めることになりそうです。いやほんと、フランス2月革命後の第二共和制下で台頭した革命児ルイ・ナポレオンを彷彿とさせる小泉自民党の大勝ぶりは、おそらく歴史に残ります。不名誉な形で-_-;。

郵政民営化のインチキさは当ブログでもたびたび指摘してまいりました。特に郵便・貯金・保険・窓口の4つの事業会社を統括する政府出資の特殊会社の持株会社という組織形態そのものに、重大な瑕疵があるという点は、改めて指摘しておきます。

政府出資の特殊会社の場合、基本的には通常の商法で定める株式会社と同様の組織形態になるんですが、特別法で定め、全株式を政府保有として、毎年度の事業計画と予算を政府に提出し、国会の承認を受け、事業執行を終えた年度の決算も同様に政府に提出し国会の承認を得ることになります。言ってみれば株主は国民で、議決権を直接行使する代わりに国民の代表として選任された国会の承認を得ることが株主総会と同じ意味を持つことになります。

対して傘下の各事業会社、特に上場を予定する貯金会社と保険会社は、商法の定める一般の株式会社としてスタートさせるのですが、これを竹中大臣などはいきなり一般法人としてスタートさせるのは従来の民営化にはないより踏み込んだ形であると自画自賛してますが、これ大ウソです。

日本の商法の規定では、ある企業の子会社に対して、親会社の株主が直接議決権を行使することも、株主代表訴訟を仕掛けることもできません。郵政民営化の政府案でいえば、特殊会社の持ち株会社に対しては、国民は間接民主制下ではありますが、議決権を行使できる形にはなっていますが、事業会社に対しては、上場するまでは行使できません。つまり外部のチェックが働かない状況で、莫大な資金を運用できるという、いささか怖い存在になるということです。

当然一般の民間企業への融資のための審査能力はありませんから、主に国債、地方債、財投債などの政府保証債の購入に資金が使われることになります。あるいは融資実績を積むだけのために民間銀行に断られた危ない会社に融資することも考えられますし、おそらく民間銀行には相手にされない民営化された高速道路会社なども融資先として浮上するでしょう。あと住宅ローンなど個人向け融資で地域金融機関との競争が始まれば、低金利合戦で地域金融機関を窮地に追い込みます。ま、あと裏技として政府への直接融資という手が使えます。国債発行残高を少なく見せるために使ったり、景気回復を印象づけるために株価PKOの資金を提供したり、退職OBを融資先の元特殊法人や関連会社へ押し込んで、民から民だから天下りではないと強弁したり、まさに役人天国パラダイスとなります-_-;。そういったあれやこれやをやりたい放題やっても、それを外部からチェックできないわけです。

こんな茶番につき合わされた国民はいい面の皮です。アーアホクサ。

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Sunday, September 11, 2005

鎌倉総合車両センター(旧大船工場)最後の公開

前の記事で速報しましたJR東日本鎌倉総合車両センター深沢事業所(旧大船工場)の公開へ出かけました。印象的だったのは1941年の工場開設以来の歴史を写真を中心に展示していた点で、来年3月で閉鎖が決まっているだけに、最後の工場一般公開という点を思い知らされます。

大きな方向性としては、大井工場に新系列専用の検修庫ができたときからの既定路線ということなんですが、首都圏の車両工場の統廃合がいよいよ本格化するわけで、万世橋の交通博物館の大宮移転を含めて、新体制への移行がカウントダウン状態になってきたわけです。JR東日本が901系プロジェクトからスタートさせた改革が、実を結ぶ段階に来たという意味で、感慨深いものがあります。おそらく大井工場の公開の時に発表された209系500番台の京浜東北線への転出で試作3編成もお役ごめんとなるのではないかと考えられます。

既に当ブログでは過去にも言及しておりますが、JR東日本の新系列車を軸とする一連の投資行動は、労働力人口の減少を睨んだ省力化投資であったわけで、実際昨今の雇用情勢の変化、特に若年層の雇用活発化を見るまでもなく、予想された事態への対応として、JR東日本は他社をリードしたわけです。

基本的にはオーダーメイドに近かった鉄道車両を量産化によって劇的にコストダウンをはかると共に、集中投入によって運転や保守面でも標準化がはかられ、一方で技術革新のスピードが高まるなかで車両の社会的寿命が短くなる傾向を逆手に取って、プロの熟練で使いこなす道具から、ヒューマンファクターに頼らない最適システムへのシフトという点で、あえて車両寿命を短く設定した逆転の発想も見事です。

結果的に事故でわかった現場の混乱を抱えるJR西日本との比較でより鮮明となりますが、輸送システム全体としての最適化に成功を収めつつあるという評価が可能かと思います。これだけ技術革新が激しいと、車両発注のたびに繰り返されるメーカー提案の中から、いいとこ取りのつまみ食いをすれば、ハイスペックでローコストな車両の調達は可能かもしれませんが、結果的に乗務員の操作系や車両保守の現場で作業の標準化を阻むとすれば、むしろ高くつくことを知るべきでしょう。労働力人口の減少というのは、つきつめればそういうことになるわけです。

大井の新系列専用検修庫は見事なまでに各種作業が自動化されておりまして、特にジャッキアップせずに台車を抜き取り、また履かせるシステムは見事です。台車自体は横のストックヤードで別行程で検修され保管されますから、入庫編成は予備台車に履き替えて流れ作業で出場するわけで、検査入場も短期間で済み、結果的に工場の稼働率が高まり、首都圏の直流電車の検査入場を大井に集約することが可能になるわけです。当然地価の高い大宮や鎌倉の土地は別の用途に転用し、さらに会社全体として生産性向上に寄与するわけですから、JR東日本の大方針は正しかったわけです。これこそ全体のパイが拡大しない人口減少時代の企業価値向上のモデルケースといえましょう。

株価ではJR東日本を上回るJR東海ですが、東海道新幹線の高生産性への依存度が高い点が逆にリスク要因になっていると考えられます。走らせれば乗って貰える市場環境の中で、輸送サービスが硬直化している点が気がかりです。しかも生命線といえる東海道新幹線への追加投資が、品川駅開業ぐらいでは心許ないです。逆に品川駅ができたぐらいで増収となるということは、いかに取りこぼしているかを知るべきです。

JR東海の本音は中央リニアができるまでのつなぎ以外に東海道新幹線への追加投資は控えたいということなんでしょう。その結果がN700系の登場なんですが、JR東日本のFASTECH360との志の差を生んでいます。今ある強みを強化しないで、明日があると考えるノー天気ぶり、整備計画すら策定されていない基本計画路線にすぎない中央新幹線に国費の補助が得られると信じて疑わない姿勢は、企業経営の観点からは大いに疑問です。

かくしてJR東日本の独り勝ちの感が強いですが、私鉄も含めて他社の奮起を期待したいところです。

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Saturday, September 10, 2005

JR鎌倉総合車両センター展示車両メモ速報

クモハ11248 旧モハ31 何故か後ろ向き(笑) 自重41.8tは走ルンですの2倍(爆笑)
ナハネフ221 何故か寝台セット状態
クモハ204+205−1003 ご存じ南武支線用ワンマン車
クモハ100(No.不明)+クモハ101−130 南武支線の先代のワンマン車 行先幕は「稲城長沼」と「試運転」
101の屋根布一部はがれている
検査棟内
E217系F−68編成(付属4連)
113系(千マリ80編成、6連) 「 旭 」黄幕
113系(S104編成) 「通勤快速」幕
E231系(S27編成)
その他
211系
183系国鉄色

モブログはメンドい。

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Friday, September 09, 2005

JR福知山線事故調中間報告の疑問

先日の記事でも触れましたが、9/6に事故調の中間報告が出ましたが、直ぐにチェックできずに出遅れましたが^_^;、結局原因につながる新事実は見られませんでした。

その中で1両目のアナログ速度計の車輪経を原因とする誤差(2,3km/h低く表示されたと推定)と採用データとしてその補正を行ったことについての記述と、伊丹駅のオーバーラン70mがATSの作動記録から明らかになったこと、車掌乗務位置の防護無線は発報されていたが停電時通常から緊急へスイッチを切り替える仕様だったために無効だったことあたりが、強いていえば新事実というぐらいで、いずれも事故に直結するわけではありません。これじゃ報告書にあるとおり、1年やそこらで原因に辿り着くのは無理でしょう。

一応(9/6)時速110キロ超、減速なく脱線・尼崎事故で中間報告(日本経済新聞)をご参照いただくとして、カーブを110km/hで進入しブレーキ操作は進入後だったことが新たに判明したとはひどい記事です-_-;。他紙も大差ないですが。

やはり気になるのが、死亡した運転士の過去のオーバーランや当日の乗務行路、事故直前の宝塚駅と伊丹駅のオーバーランなど、運転士の異常行動を読み解く心理面への言及を示唆し、日勤教育などで暗にJR西日本の勤務管理体制に問題を示唆するなど、事故調自体がメディア報道に引きずられている感じです。また死者の心理をどのように解明するつもりなのか。神の領域の秘技でもあるのでしょうか。逆に運転士の異常心理みたいなところで幕引きされる可能性を危惧します。

報告書の煩雑な内容を読み込んでも、得るものは少ないのですが、ATS-SwとPの双方の作動記録や5,7両目のモニタ装置やEB装置についての言及など、システムの複雑さに舌を巻きます。上記の防護無線装置の停電時の対応も、1,4両目と5,7両目で異なります。保安装置とは関係ないですが速度計も違うものですし、よくもまぁjこれだけ違うシステムをつないで使っているものだと感心します。特にユーザーインターフェースの違いは、異常時の咄嗟の行動の攪乱要因となりますので、事故時の被害を拡大する方向へ作用した可能性もありますが、そのような視点での言及が見られないなど、内容的には不満の残るものといえます。実際事故列車の車掌が防護無線を発報したのに緊急ポジションに切り替えられていなかったことなど、二次災害を誘発しかねない問題です。

同じ207系を名乗っていても、事故編成の1-4両目は0番台、5-7両目は1000番台であり、両者は基本性能も制御システムも全く別物で、かつATS-Pなどの保安装置を後付けしたりしていたために、報告書に見られるようなやや混乱した状況になっていたわけです。異種併結自体は他社でもやっていることで、特段安全を脅かすものではないんですが、昨今の車両システムのデジタル化が進んでいることが、事態を複雑にしているのではないかと思います。

PCユーザーならば、外付けハードディスクを繋げたくてSCSIボードを挿したらシステムが不安定になったとか、LANでプリンタなどを共有したら、トラブル箇所の特定が困難になったりという経験をお持ちの方は多いと思うんですが、とかくインターフェースは難物で、いわゆる相性問題というやつで、車両間で異種システムの混用でも同様の問題は生じうると思います。

もちろん仮説に過ぎないのですが、1両目でブレーキ操作をして1-4両目はダイレクトにブレーキ指令電流が作用しますが、5-7両目には読み替え装置を介して伝送される事故編成のケースで、ブレーキ指令に遅れが生じていたとすれば、運転士がブレーキ操作をしても、最初は4両分のブレーキ力しか得られないわけで、当日オーバーランを繰り返し、事故地点のカーブに高速で進入したことも含めて説明がつきます。とりあえず原因に近づいている実感がない報告書を出すぐらいならば、可能性の問題としては言及してほしかったというのが正直なところです。

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Monday, September 05, 2005

カトリーナの涙が洗い流したアメリカの虚飾

連日メディアで報道されるハリケーン・カトリーナの爪痕の悲惨さですが、被害が明らかになるにつれ、人災ではないかという疑問の声がわき上がり、ブッシュ政権の支持率を押し下げているのですから、何ともきな臭い話です。

ルイジアナ州ニューオーリンズといえばかつて欲望という名の電車が走ったジャズの故郷で、開拓時代に綿花の積出港として賑わい、黒人奴隷の労働収奪で経済を支えていた象徴的な街ではあります。ですがそのことが直接的に人種差別や貧困層軽視につながったと見ると、私たち日本人にとっては遠い対岸の火事にしか見えませんが、実際は違います。

農業主体の南部と五大湖沿岸を中心に工業化がいち早く進んだ北部との対立が南北戦争で決着し、アメリカが工業国へと舵を切る中で、産業構造の転換に乗り遅れた地域だったことを指摘する必要があります。ブッシュ大統領の出身地であるお隣のテキサス州では、油田開発もあってエネルギー産業が集積し、NASAを核とした航空宇宙産業が立地するなどで勝ち組地域となっているのと対照的です。

日本でも戦後石炭産業を国策で安楽死させたわけですが、雇用を守りながらの転換、縮小は実に半世紀を要する大事業となり、そのために多額の財政資金が投入されたわけですが、典型的な労働集約型農業である綿花輸出は奴隷制度の支えなしには成り立たなかったわけで、奴隷解放後アメリカの工業化の進捗の中で見捨てられ衰退を余儀なくされます。通常であれば衰退する農業部門から輩出された労働力が工業化初期の低賃金労働を支えて工業化を加速するもので、実際イギリスではエンクロージャーと呼ばれる貴族たちによる荘園の囲い込みによって農地を追われた農奴たちが、都市へ流入し労働者階級を形成する流れになっております。

しかしそのような動きはアメリカではあまり見られず、むしろ北部工業地帯などではアイリッシュ系など遅れてきた移民たちがブルーカラー層を形成し、南部から北部への人口移動は限定的でした。そのことがオールドアメリカの面影を残す観光都市としてのニューオリンズを規定しています。移民国家の実態はかくやというところですが、少子化対策で日本でも移民政策を採るべきと主張する人はいますが、決して妙手ではないことがわかります。有力産業の立地がなく他地域で職に就く機会さえない貧困層を抱え込んだ、税収の少ないルイジアナ州への連邦政府の財政支出は少なく、1960年代に作られた脆弱な堤防が満潮と高潮の重なりに悲鳴を上げて決壊したものです。

またハリケーンは台風と同じように進路の予測が可能であり、事前に避難する時間があったわけですし、実際避難命令が出され、ハイウエーを避難する人々の車が埋め尽くす映像もメディアに流されました。しかし実際には車を持てない、あるいは持っていても値上がりしたガソリンが買えない、あるいは避難先のホテルの宿泊費を負担できないなど、さまざまな理由で居残った人たちが大勢いて、彼らの救援や物資の配布で不手際が続き、被害を拡大したことが悲惨さを増長します。当然彼らは生き残るために商店などに残された生活物資を調達することになりますが、彼らを救援するはずの警察や州兵が略奪行為として取り締まった対応にも疑問が残ります。

何と言いますか、政府の役割について考えさせられます。主権者たる国民の負託を受けて正当化された公権力は、国民生活を守るために行使されることが期待されているはずです。にもかかわらず、アメリカでは連邦政府も州政府も市当局も、有効な対策を打ち出せずに、多くの人命を見殺しにしてしまいました。

奇しくも現在日本では選挙戦の最中ですが、小さな政府を連呼する候補者の声が空しく響きます。私たち国民が政府に求めるのはサイズの小ささなのか? そうじゃないですよね。普段は邪魔にならずに、いざというときに頼りになる政府こそが、国民の求める政府だと思うんですが、単純に財政支出を圧縮して小さくしましたとやれば、役割を終えたどうでもいい部門ほど財政圧縮に絶えて生き残り、本当に必要なことを行っている部門ほど、予算も人員も不足して何もできなくなるという矛盾につきあたります。結果として小さいけど余計なことばかりする役に立たない邪魔な政府を持つことになってしまいます。

というわけで、選挙結果次第では、日本国民として生きること自体が命がけのサバイバルゲームとなるのでしょうか。背筋が寒くなりますね。

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Saturday, September 03, 2005

埼玉高速鉄道、岩槻延伸で東武野田線に直通?

かつて当ブログでも取り上げました、労使対立で運行停止寸前まで追い込まれた埼玉高速鉄道ですが、延伸計画の模索は続いているのですね。

(9/2)埼玉高速鉄道延伸、東武野田線と相互運転を検討(日本経済新聞)

野田線といえば、かつて大宮駅の乗り換えの混雑を緩和するということで、隣接する京浜東北線と一体化して直通運転できないかという話が出たことがありますが、京浜東北線の10連を受け入れるためのホーム延伸などの投資が過大ということで沙汰止みになったことがあります。その点では埼玉高速鉄道との直通運転であれば、同じ6連同士ということで可能性はひらけますが、ATOによるワンマン運転でホームドア設置となれば、やはり簡単ではありません。車両側に東武ATSを搭載して車掌乗務とすることも考えられますが、半蔵門線との相互乗り入れのときに、試運転中に営団8000系の誘導障害で踏切鳴動装置の誤作動が起きて手直しに苦労したなど、新たなトラブルを掘り起こす可能性はあります^_^;。

記事によれば、その辺の課題について検討した上で東武鉄道との交渉にはいるということですので、現時点では流動的な話ではありますが、本来地下駅となる予定の埼玉高速岩槻駅を既設の野田線岩槻駅への乗り入れとすることで、投資額を圧縮できる点に事業者としてメリットがあるということのようです。

そして岩槻からどちら方向へ直通するのか定かではありませんが、仮に大宮側へとなれば、交通結節点としての大宮から埼玉スタジアムへの新ルートを形成できるという意味で、観客輸送の掘り起こしは期待できるかもしれません。となるとさいたま市独自計画の大宮~さいたま新都心~埼玉スタジアム間のLRT計画とバッティングしてしまいますが、その辺がどのように調整されるんでしょうか。さいたま市の増資引受となると簡単にはまとまらないでしょう。また当然蓮田延伸計画は遠のくことにもなります。

いずれにしてもまずは既開業区間の債務償還が先決であることに変わりはないわけで、延伸によってそれ自身の投資回収に留まらず、増収効果で累積債務の償還が早まるのでなければ、出資している県や各自治体の同意を得るのは難しいと思うんですが。

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JR福知山線事故調中間報告

中間報告が出されましたが、事故原因特定とはいかないようです。

(9/1)JR脱線事故でカーブ強制減速装置設置など提案・事故調(日本経済新聞)

6日にwebで公開されるそうですから、具体的な中身の論評は避けますが、直接の原因は速度超過としながら、運転士や車掌の経歴も紹介しという具合で、特に新事実があるわけでもなさそうです。

建議の中身としては速度制限区間手前での速度照査ATSの導入など、これもまた言われていたことですし、既に新型ATSの設置は終わってます。実際はこの新型ATSというのが、川島本によれば、拠点P型と呼ばれるタイプで、駅の場内信号機と出発信号機にのみP型地上子を連動させ、駅間の閉そく信号機は従来のSw型で対応するハイブリッドタイプで、ダイヤが過密とはいえない福知山線向きのタイプだそうです。

更につけ加えますと、事故地点のような速度制限のある区間の手前の速度照査は、ATS-Sw地上子を2個並べた閉そく信号非連動タイプだそうで、旧型メカのオンパレードなんですが^_^;、だとするとあの新型ATSを設置しないと運転再開まかりならぬという騒動は何だったのかと改めて思います-_-;。

あと改めて321系の設計変更の意味の不可解さを思います。先頭電動車で低重心を狙ったのだそうですが、先頭台車は電動台車ではなく、2個モーターの電動車を7連中6両配置し、電動車と付随車の設計を共通化するというあたりが設計変更の中心なんですが、つまりは車輪経が統一されてスピードメーターの誤作動が起きないということなんでしょうか。また電動台車と付随台車が同一車体に架装されれば、T車優先遅れ込め制御のせい?かもしれない連結器の破損が防げるということなんでしょうか。疑問は尽きません。

ただはっきり言えるのは、207系1次車から始まって、メカ的には連続性のないシステムが混用されている点に危うさを感じることを禁じ得ません。確かに発注時点でのメーカー提案の中からいいとこ取りしたんでしょうけど、この点では試作車3編成を長期実用試験で使い回し、新世代の標準車として確実に熟成させてから増備されたJR東日本の209系以降の新系列と比べると、堅実性は劣る気がします。ま、この辺は異なった感想をお持ちの方も多いかと思いますが。

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