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Friday, September 09, 2005

JR福知山線事故調中間報告の疑問

先日の記事でも触れましたが、9/6に事故調の中間報告が出ましたが、直ぐにチェックできずに出遅れましたが^_^;、結局原因につながる新事実は見られませんでした。

その中で1両目のアナログ速度計の車輪経を原因とする誤差(2,3km/h低く表示されたと推定)と採用データとしてその補正を行ったことについての記述と、伊丹駅のオーバーラン70mがATSの作動記録から明らかになったこと、車掌乗務位置の防護無線は発報されていたが停電時通常から緊急へスイッチを切り替える仕様だったために無効だったことあたりが、強いていえば新事実というぐらいで、いずれも事故に直結するわけではありません。これじゃ報告書にあるとおり、1年やそこらで原因に辿り着くのは無理でしょう。

一応(9/6)時速110キロ超、減速なく脱線・尼崎事故で中間報告(日本経済新聞)をご参照いただくとして、カーブを110km/hで進入しブレーキ操作は進入後だったことが新たに判明したとはひどい記事です-_-;。他紙も大差ないですが。

やはり気になるのが、死亡した運転士の過去のオーバーランや当日の乗務行路、事故直前の宝塚駅と伊丹駅のオーバーランなど、運転士の異常行動を読み解く心理面への言及を示唆し、日勤教育などで暗にJR西日本の勤務管理体制に問題を示唆するなど、事故調自体がメディア報道に引きずられている感じです。また死者の心理をどのように解明するつもりなのか。神の領域の秘技でもあるのでしょうか。逆に運転士の異常心理みたいなところで幕引きされる可能性を危惧します。

報告書の煩雑な内容を読み込んでも、得るものは少ないのですが、ATS-SwとPの双方の作動記録や5,7両目のモニタ装置やEB装置についての言及など、システムの複雑さに舌を巻きます。上記の防護無線装置の停電時の対応も、1,4両目と5,7両目で異なります。保安装置とは関係ないですが速度計も違うものですし、よくもまぁjこれだけ違うシステムをつないで使っているものだと感心します。特にユーザーインターフェースの違いは、異常時の咄嗟の行動の攪乱要因となりますので、事故時の被害を拡大する方向へ作用した可能性もありますが、そのような視点での言及が見られないなど、内容的には不満の残るものといえます。実際事故列車の車掌が防護無線を発報したのに緊急ポジションに切り替えられていなかったことなど、二次災害を誘発しかねない問題です。

同じ207系を名乗っていても、事故編成の1-4両目は0番台、5-7両目は1000番台であり、両者は基本性能も制御システムも全く別物で、かつATS-Pなどの保安装置を後付けしたりしていたために、報告書に見られるようなやや混乱した状況になっていたわけです。異種併結自体は他社でもやっていることで、特段安全を脅かすものではないんですが、昨今の車両システムのデジタル化が進んでいることが、事態を複雑にしているのではないかと思います。

PCユーザーならば、外付けハードディスクを繋げたくてSCSIボードを挿したらシステムが不安定になったとか、LANでプリンタなどを共有したら、トラブル箇所の特定が困難になったりという経験をお持ちの方は多いと思うんですが、とかくインターフェースは難物で、いわゆる相性問題というやつで、車両間で異種システムの混用でも同様の問題は生じうると思います。

もちろん仮説に過ぎないのですが、1両目でブレーキ操作をして1-4両目はダイレクトにブレーキ指令電流が作用しますが、5-7両目には読み替え装置を介して伝送される事故編成のケースで、ブレーキ指令に遅れが生じていたとすれば、運転士がブレーキ操作をしても、最初は4両分のブレーキ力しか得られないわけで、当日オーバーランを繰り返し、事故地点のカーブに高速で進入したことも含めて説明がつきます。とりあえず原因に近づいている実感がない報告書を出すぐらいならば、可能性の問題としては言及してほしかったというのが正直なところです。

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Comments

僕も報告書を読んで、最近の電車は情報系も進化しているのだなあ、と実感しました。ただ、情報系の問題は、進化が激しい分、車両登場時期に応じて性能が異なってしまい、おもわぬシステム不具合を生んでしまう可能性があることです。

JR東日本のように、特定路線に新製車両を集中投入すれば問題なのですが。どうも、西日本は、小刻み投入、不経済な旧国鉄車両の更新使用等、目先のコストにとらわれすぎではないかと思います。

Primera

Posted by: Primera | Saturday, September 10, 2005 at 12:39 AM

コメントありがとうございます。実はPrimeraさんのブログに触発されて記事をまとまたんですが^_^;、報告書の精読には骨が折れます。

ご指摘のようにJR西日本の車両政策の一貫性の無さが気になります。新旧入り乱れての方式の混在は、それだけ現場乗務員の混乱の原因にもなりますし。せめてその点だけでも報告書で指摘しても良かったのではと残念です。

Posted by: 走ルンです | Saturday, September 10, 2005 at 09:25 AM

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