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Sunday, October 09, 2005

富士重工、トヨタと提携はGM救済、それとも?

GMというタニマチを得て、プレミアムメーカーへの道を邁進するかに見えた富士重工ですが、ついにというか、トヨタの資本が入ることになりました。思えば同じ日本興業銀行の有力取引先という縁で日産と業務提携して以来、提携相手を変えながら存続してきた富士重工という会社は、なかなか不思議な存在です。

当初ニュースが流れたときに、業績不振のGM救済にトヨタが動いたと見られました。というのも無理もない話でして、富士重工は技術力をウリにしてきたメーカーながら、例えば水平対抗エンジンは、それ自身は工作精度を要求されるものの、汎用性に乏しく流用が難しいですし、軽自動車に関しては既にダイハツが首位のスズキを追撃できる実力を蓄えた現状では、あまり魅力はないですし、他社に先駆けて実用化したCVTも既に系列のアイシン精機で独自開発されているわけですから、トヨタはあまり得るものがない提携と見られていたわけです。

またトヨタの首脳にとっては、80年代の日米自動車摩擦の記憶が生々しいようで、GM救済のために米国で販売する車の値上げを真剣に考えたぐらいですから、GMが持て余す富士重工を引き取ることぐらいは考えそうです。ただし値上げを言ったトヨタに対して、現地生産が進む日産とホンダは冷ややかな反応をしたんですが、このあたりにトヨタの置かれている現状が透けて見えます。

巷間GMとトヨタの首位交代に注目が集まりがちなんですが、経常利益1兆円の超優良企業も、一皮めくれば北米市場で利益の7割を稼ぎ出す重大な偏りが悩みなんですね。で、これがレクサスブランドやハイブリッド車を中心に日本で生産してアメリカで高く売れる車種が好調なことの反映なんです。つまり北米現地生産が遅れていることの反映でもあって、逆にGMやフォードは値引き合戦の消耗戦で自滅しているわけですから、トヨタも現地生産で供給力を高めたいのが本音なんです。それが結果的に利益率を下げることになるとしても、現地生産ならば日米摩擦の再現もかわせるわけで、トヨタの焦りがそこにはあります。

といった背景を踏まえて見つけたのが

(10/7)トヨタ、富士重の米工場で生産へ・07年にも年10万台(日本経済新聞)
という記事です。さすが転んでもタダでは起きないトヨタ魂です^_^;。SIA(Subaru Isuzu Automobil)といえばいすゞとの合弁で北米現地生産に乗り出した富士重工の米国生産拠点ですが、いすゞの撤退で大幅に能力を持て余していたところにトヨタが目を付けたということですね。ついでにGMにも恩が売れるわけですからオイシイ話です。

富士重工にとっても、余剰生産力をトヨタに利用させることで、高コスト体質を払拭できるわけですから渡りに船といえます。思えば日産との提携当時、カローラとしのぎを削ったサニーの生産を受託した歴史の再現ですね。隣のラインではレガシイの前身車スバル1000を組み立てていて、チープな造りの車の隣で手の込んだ造りの車を組み立てて、前者の儲けで後者の道楽をやってたわけです^_^;。でも今度の提携相手はかなり手強いですね。なにしろトヨタとは企業風土の全く異なるダイハツと日野の2社を30年以上かけてトヨタ流に鍛え上げたわけですから、鷹揚なタニマチだったGMのぬるさとは比べるべくもないところです。

とはいえプライドの高い富士重工が果たしてトヨタ流をどこまで受け入れるか、結構見物です。というわけでこんな記事があります。

(10/8)富士重、トヨタに欧州向け小型車の供給を要請へ(日本経済新聞)
ということで、富士重工としても売るタマがほしいわけで、SIAでトヨタ車を生産する見返りを要求しているあたり、トヨタの下請けではさして儲からないという読みなんでしょう。かくして道楽路線まっしぐらな富士重工のアイデンティティは簡単には変わらないのでしょう^_^;。

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