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Thursday, October 06, 2005

JR東日本E233系の読み方

既に多くのブログで取り上げられておりますが、遅ればせながらアップします。

JR東日本のニュースリリースによりますと、中央快速線と青梅五日市線の201系を新形式E233系に置き換えると発表されました。従来、車両故障、信号トラブル、人身事故と、とかくストレスフルでユーザーフレンドリーとは程遠かった中央快速線ですが、大幅な輸送改善を予感させるニュースといえます。

中央快速線は首都圏JR各線でも最も高密度輸送を強いられている路線で、伝統的に固定閉そく長が短く、ラッシュ時など走る度にATSが鳴る^_^;名うての運転難易度の高い路線でした。それだけに国鉄時代から先進的な取り組みがなされ、オール電動車編成で高加減速を狙った101系は、変電所容量不足に躓いてT車込みで旧型車並の加速度に甘んじたものの、そこそこの高速性能と高ギヤ比で勾配走行もこなす万能車として重宝されました。逆にそのことが後輩の103系の中央快速線への運用を阻み、後年フラッシュオーバー事故対策で絶縁強化されるのを待たなければなりませんでした。

70年代、2度のオイルショックで省エネへの関心が高まり、鉄道の世界では地下トンネルでの放熱対策の意味もあって、主回路に抵抗器を挿入して電気エネルギーを熱に変えて捨てていた抵抗制御から、半導体による主回路のオンオフで制御するサイリスタチョッパ制御が実用化されましたが、加減速が頻繁で高速走行の機会が少ない地下鉄では経済性を発揮しても、素子価格が高く高速で巡航する地上の鉄道では、なかなか採用に至りませんでした。

ですが元々変電所容量がボトルネックとなって高性能車101系のスペックダウンを余儀なくされた中央線ならば、チョッパ車のメリットを活かせるかもしれないし、また大量発注をかけることで、高価な素子価格を下げることも期待して、201系を送り出したのですが、これがまた大ゴケとなります^_^;。

結果的に素子価格は下がらず、同時期に登場の117系や185系に合わせて耐候性鋼板を用いた高級素材の丈夫すぎる車体とも相まって、高価な車両となってしまいました。なおかつ登場後数年で国鉄解体、JR移管となったわけですが、国鉄が公的主体で定額法償却しか選べないこともあって償却が進まず、高い簿価でJRに引き取られた結果、民間会社となったJRとしては使い倒すしか選択肢はありませんでした。

あと厄介なことに、国鉄時代の前例主義が災いして、海側にチョッパ制御器本体を配置した結果、東西に伸びる中央線では直射日光の輻射熱にあてられ、また中野以西ベタ停車で加減速が頻繁だったこともあって排熱が間に合わず、突然ブラックアウトするトラブルに悩まされます。いわゆるサイリスタ日照りです。対策としてチョッパ制御器を収めたケースを白く塗って輻射熱を少しでも少なくという涙ぐましい努力がなされ、また保守の経験を積んだ三鷹、武蔵小金井、豊田の各区から離れられずに時を経ます。

とはいえ民営化後18年、電車の減価償却期間は13年ですから、会計上は捨てられるようになった201系ですが、より古くガタがきている103系の淘汰が先行したこともあって、首都圏の最重要路線でありながら、車両更新が後回しとなった中央快速線にやっと順番が回ります。その間にもいろいろありまして、ATOS(首都圏列車運行管理システム)の導入と車両トラブルと信号トラブルに、人身事故と降雪の影響まで重なって、1箇月に正常運行数日なんてことがあったり、高架化工事で仮線切り替えしたら、国鉄から引き継いだ信号配線図に間違いがあって復旧が遅れて半日止まったりとトラブルが重なります。これらの経験がフィードバックされてE233系の仕様に反映されたものと考えられます。

青梅五日市線や富士急行線へも運用される都合で、6+4の分割編成が必要となるため、10連、6連、4連の3種類の編成が用意されていて、10連で6M4Tとなるなど、中央快速線の環境に特化したマイナーチェンジ車という性格が読みとれます。

不可解なのが688両の新製で201系710両を置き換えるという点でして、JR東海よりはマシ^_^;とはいえ、減車となる点です。考えられるのはMT比見直しによるスピードアップで運用減となるか、トラブルの多い201系で元々予備車を多く抱えていた分を削ったかですが、後者の可能性が高いと考えられます。

E233系は主回路や保安装置の二重化によるトラブル回避を特長としています。システム全体を冗長にして、部分的なトラブルで全体が齟齬しないシステムを狙っていると考えられます。とするとMT比の変更も、単純な加速度向上でスピードアップということではなく、ユニットカット時の性能確保にむしろ狙いがあると考えられます。つまり4M6Tで正常運行可能なダイヤで車両故障の影響を軽減するということです。もちろん正常なときの遅延回復力向上の狙いも合わせてでしょうけど。高密度運転で地下鉄並にトラブル回避を考えなければならないという考え方に立ったものと考えられます。

あと688両という両数の中途半端さですが、6連と4連の数が揃っていないことを意味します。おそらく4連が2本多いパターンではないかと思います。根拠は、四季彩として運用されている201系4連の車内改装車も置き換え対象とすれば、該当編成だけセミクロスでワンマン用ドアスイッチとモニター装置を装備して登場という可能性も考えられますし、その運用実績次第では、豊田区に残る山スカ115系の置き換えへと進む可能性も考えられます。両者を共通運用とすることで、予備車を圧縮する効果も期待できます。E233系が意表をついた高運転台の近郊タイプで半自動ドアという仕様で登場したあたり、大月までの運用だけを考えているわけではないと思いますが、果たしてどうなりますか目が離せません。

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Comments

鋭い分析ありがとうございました。
近郊タイプであったことは本当に意外でした。でも某掲示板では窓のサッシュ割りがボックスシート用だとの指摘もあり、本当にこのまま登場するのか、という声もあるようですね。

緩行ホームから快速線下り電車を見ると、サイリスタの箱が真っ白に塗られており、痛々しい感じがします。でもこれまでよく走ってくれたと思います。

Primera

Posted by: Primera | Thursday, October 06, 2005 at 12:55 AM

小学生時代は遠足で、学生時代は通学で、そして現在では通勤で毎日利用している中央快速線に新型車登場は、ある意味感慨深いものがあります。

さて、私もこのリリースで気になった点をいくつか上げます。

まず投入車両数688両は、単純に「四季彩」以外の豊田電車区所属201系を置き換えるのに必要な両数であると思います。
710両に対する22両減については、現状同じオレンジ色の201系でも中央快速線用と青梅・五日市線用で運用が分かれており(このため、青梅・五日市線用の201系には前面にステッカーが貼られている)、これらを完全に共通化することにより効率的な運用ができることから20両(10両編成で2編成)は減らすことができるということでしょう。残りは現状で201系先頭車が2両余剰になっているようで、豊田電車区で留置されているのが、車窓から見ることができます。

次に外観的にはPrimeraさんもコメントされておりますように、近郊型に近い構造になっており、確かに青梅・五日市線には単線区間があり交換待ちで長時間停車することから半自動式ドアというのはありえると思うのですが、果たして115系も巻き込んでの運転区間変更があるのか、イメージ図ではなんだかトイレの設備もあるようにも見え、実車が果たしてどんな仕様で登場するのか気になるとともに、それこそボックスシートの設備もある仕様が登場して、高尾以遠の115系を置き換えるE233系も登場するのではないかと思います。

いずれにしましても、早い時期に統一されたことから現在では、他路線と車両面で見劣りが出始めた中央快速線等に登場するE233系のデビューが楽しみです。

Posted by: Kaz-T | Thursday, October 06, 2005 at 09:38 PM

コメントありがとうございます。

>Primeraさん
201系は本当に痛々しい活躍でした。特殊性ゆえに他線への転用は考えられませんが、そっとねぎらってやりたい気分です。

>Kaz-Tさん
四季彩が710両に含まれていないのは、アップ後に知りました^_^;。そういえばクハ2両の保留車の存在も忘れてました^_^;。

青梅五日市線の201系ですが、前面種別幕もないですし、中央快速線の201系とは若干仕様が異なりますね。バランサーを省略した前上昇窓の簡易車もいますし、あえて仕様統一をしなかったのは、ほかに転用する場所がなかったことと、余計な費用をかけたくなかったということなんでしょう。

逆にほぼ中央線専用車ともいえるE233系を、しかも経済性では逆行と思えるMT比見直しやシステムの二重化など、力の入り方が凄いですね。たぶん実車登場でサプライズがあるかもしれませんね。

Posted by: 走ルンです | Thursday, October 06, 2005 at 11:32 PM

埼玉高速の野田線乗り入れ云々のニュースが流れた時に引き続き、トラックバックを送信させて頂きました「大沢3丁目」のS.WATANABEです。貴ブログの本文について考えていたことがあり、コメントが遅くなりました。

考えていたこととは、豊田・松本の115系との兼ね合いです。住宅開発の進捗から大月まで通勤電車区間を延ばす可能性(同区間の列車の大半をE233系で運用し、115系は豊田入出区のみ)や、E233系近郊タイプで115系を置き換える可能性などを考えていましたが、E233系導入と115系の間に関連は薄そうだという結論に達しました。

理由は、意外ですが上野~東京にて建設中の東京縦貫線の存在です。ここに介在する33‰の急勾配、211系では上れない(非常時の押し上げ基準を満たさない)ようなのです。各路線の115系もそろそろ寿命ということを考えると、2009年までに新前橋や田町のに新型車両を投入、211系を豊田や松本に持っていって、115系を置き換えるのではないかと予測しています。東京縦貫線の問題は緊急性の高い問題(あと4年しかありません!)なので、こちらが優先されるのでは、と…

貴ブログの文章を拝見し、同じ「長文テキストで綴るブログ」として、その論点や説明の細かさは是非とも見習いたく存じます。私のブログからリンクを設定させて頂きましたので、よろしければ相互リンクをお願い致します。

Posted by: S.WATANABE | Friday, October 14, 2005 at 03:06 PM

コメントおよびトラックバックありがとうございます。

私が豊田区の115系に注目したのは、老朽化が進んでいると見るからです。元々首都圏用で、寒冷地対策といっても軽装な115系で、氷点下当たり前の甲州路や信濃路での運用は、経年劣化を早めます。対して松本や長岡の115系は1000番台中心で、新しい上に状態も良いので、置き換えの順番は後になると考えられます。

あと211系については、2M3TベースのMT比で足が遅いので、早晩何らかのアクションが起きる可能性は高いと思いますが、逆にモハが少なく、2M1Tベースの115系の置き換えは困難を伴います。軽量設計ゆえに余剰サハの電装改造などの可能性は低いと考えられます。205系の場合は武蔵野線の6M2T編成の解消とN'EX用253系増備の必要から、足回り捻出という特殊事情によるものでしょう。

最後に、相互リンクの件、了解いたしました。お互いに見聞を拡げるのに役立てたいですね^_^v。

Posted by: 走ルンです | Saturday, October 15, 2005 at 12:08 AM

私としては中央線115系の置き換えは
211系転属による置き換えが高いと考えます
高崎線・東海道線所属の211系がE233系に置き換えることを考えますと
211系を解体ではなく地方交通路線に転属のほうが有効と考えられます

Posted by: 如月瑞穂 | Sunday, September 10, 2006 at 06:24 PM

コメントありがとうございます。E233系に関する新規記事をアップいたしました。

http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2006/09/e233_08dd.html

以後はそちらでお願いいたします。

Posted by: 走ルンです | Sunday, September 10, 2006 at 09:26 PM

初めてコメント致します。豊田区115系300番台の211系への置き換えに関して疑問点があります。

・中央線高尾~甲府間の狭小トンネル対策
・耐寒耐雪構造がとられているのかどうか?
・現行豊田区115系による富士急行線への乗り入れに関して暖地仕様の211系は適するのか(富士急行線はご存知の通り勾配路線です)?


地元甲州の人間として、そのあたりが疑問です。

E231によって余剰となった211系の一部が房総地区へ転属していることを考えると、豊田区115系300番台が211系による置き換えはありえないと見ています。E233近郊タイプが有力と考えます。

Posted by: 甲州出身 | Friday, December 29, 2006 at 01:38 AM

コメントありがとうございます。将来展望に関しまして、新たに記事を起こしました。
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2006/12/e233_4d0c.html

併せてご参照ください。

Posted by: 走ルンです | Friday, December 29, 2006 at 05:36 PM

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