郵政公社と全日空提携でインテグレーターの夢成るか
同床異夢でさまざまな利害が絡む郵政民営化ですが、またまた改革の正体が見えるニュースです。
(10/20)郵政公社と全日空、国際物流で提携・貨物機で新会社(日本経済新聞)というわけで、当ブログでも郵便ポストが赤いのは、国民欺くウソのせい?という記事で、郵政を核とするメガインテグレーター(大手国際物流)への進化を目論んでいる点を指摘いたしました。ですからやっぱりというのが正直なところです。
当面は10機程度の貨物専用機で、中国、東南アジア、北米中心に06年度より輸送を行うということで、3大インテグレーターのFedEx,UPS,ドイツポストに比べれば、ささやかな規模ではあります。目論見としては中国関連の需要が旺盛な状況が今後も続くことを見込んで、中国の成長力を利用して事業拡大を意図するものと考えられます。4大インテグレーターの一角を占めるには、ドイツポストが行ったような、世界中の物流企業相手に買収合戦を仕掛ける必要があるのですが、その資金は07年民営化予定の郵貯銀行の融資でという捕らぬ狸の皮算用もされてるのでしょう。さて、郵政ファミリーの身内のマネーゲームへの融資を、金融庁はどのように判定するでしょうかね。
何か郵政民営化法案の可決成立を待っていたようなタイミングですから、本当はもっと早くやりたかったんでしょう。にしても06年に新会社を発足させるのは良いんですが、郵貯銀行の開業が07年ですから、当初は現在の民間銀行からの融資で事業を立ち上げる必要がありますが、既に三井住友銀行が融資に手を挙げております。更にゴールドマンサックスも名乗りをあげておりまして、私は与するつもりはありませんが、民営化反対派が言っていた
米資本に郵貯を売り渡すのかという主張にリアリティを与えます。でもこの辺がいかにも官僚の作文らしく、インテグレーター事業の立ち上げと郵貯銀行の設立、融資開始のタイミングがずれているし、10年かけて完全民営化というのも、その間ライバルの3大インテグレーターが眠ってくれてでも居ない限り、追いつくのは無理だと思うんですけど^_^;。
そして郵貯銀行の融資が焦げ付いて、文字通り大き過ぎて潰せないですから、公的資金を注入して再生となると、はて、いつか来た道のような。でも大き過ぎて買い手が現れないときは、改めて国有銀行として再出発となると、何のための民営化なのか、ますますわからなくなります。でも日本の有権者はこんなもんにGOサイン出しちゃったんだよな-o-ハァッ。
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Comments
いつも楽しみに拝見して(勉強させて頂いて)おります。「鉄道」という切り口の面白さもあるのですが、様々な事柄に対する冷静な判断力・分析力に感服致しております。これからも期待しております。因みに私はJR飯田線というとてもローカルな沿線に住んでおりますが、通勤や通学に使ったことは一度もありません。この地域(飯田市)に関して気が向かれたら一度取り上げ・掘り下げてみて頂ければ幸いです。
Posted by: SAC | Sunday, October 23, 2005 09:24 PM
ご愛読ありがとうございます。
飯田線は数年前に全線乗車したことがありますが、印象としては短距離の利用が多く、乗客の入れ替わりが見られます。つまり結構効率の良い路線ではないでしょうか。特に伊那盆地特有の田切の地形をオメガループで上下する線形は、集落をこまめに結んでいる感じで、興味深いものがあります。
確かに地域的には道路整備も進んで、車社会にどっぷり漬かった感じなんでしょうけど、鉄道の存在感はそれなりにあるような印象を持っております。
今後も、できるだけ他のブログとかぶらない話題を拾いながら^_^;、掘り下げてみたいと思います。
Posted by: 走ルンです | Sunday, October 23, 2005 10:48 PM
お返事ありがとうございます。
最近、私の住む飯田市で「日独地域国際化サミット」という『地方都市(地域)の自立を、地方分権が古くから発達しているドイツ(ドイツからはウルム市、国内からは鶴岡市・臼杵市が参加して下さいました)から学ぼう』というイベントをやったのですが、うーむ。一応、私も市民実行委員として運営に参加したのですが、うーむ。という感じでしょうか。飯田駅前が寂れていくのは時代の移り変わりなのか、市民の意識の低さなのか。難しいですね。サミットに際して多少ネット収集した中に参考になるかもしれないHPがありましたのでURL欄に入れさせて頂きました。お時間があるときに見て頂ければと。地方都市が抱える鉄道及び駅前地区再生に関する問題または解決策のヒントがあるのかもしれません。ただ、ドイツのように地方行政に対する住民参加意識の低さを改善すれば地方都市が良くなるとも思えませんが。観光収入だけでは大して食べていけない多くの地域、工業立地(企業誘致)も満足にできない地域はこれからどこに向うのでしょうか。
ところで、私の東京在住16年間はほぼ京王線沿線に住んでおりました。京王線ネタも是非ともお願い致します。要望ばかりで申し訳ありません<(_ _)>
Posted by: SAC | Tuesday, October 25, 2005 02:00 AM
重ね重ねのコメントありがとうございます。
飯田は中心機能がしっかりした街という印象がありますが、モータリゼーションの波は容赦ないのですね。地方へ行くと駅前のコンビニが廃業するという現実があるぐらいですから、本当に厳しいのですね。
日経ビジネスの今週号で、県の支局が増殖して、市町村との間に混乱が生じているという記事がありますが、市町村合併で行政区域が広域化した一方で、広域行政を司る都道府県が地域へ進出して地元市町村との間に軋轢を生んでいるそうです。国の地方局共々、内部で階層化して行政手続きを煩雑化している様は異様です。地方分権の時代、地方の敵は地方という現実をどのように評価すべきでしょうか。
結局は民間の活動で活路を拓くしかないのでしょう。地方の活性化というのは、つまるところ若年世代に雇用の場を提供できるかどうかだと思います。そういった意味で、企業誘致や工場誘致ばかり発想されますが、農業でも林業でも高齢者福祉でも雇用創出は可能です。例えば林業の衰退は、戦後の住宅ブームを当てこんで換金性の高い杉の植林に精出した国有林野事業が、結局高コスト体質で輸入木材に競争で劣位に立った結果の空洞化なんで、こうして疲弊した産業の再構築も地域活性化の手段として注目して良いように思います。
最後に、私も京王ファンですが、さすがに沿線を離れると情報のキャッチがなかなか思うに任せず、ご期待に添えるかどうか自身はありません。まぁでも都営新宿線のATC更新で、大きな動きがあるかもしれません。私自身楽しみにしております^_^;。
Posted by: 走ルンです | Wednesday, October 26, 2005 12:28 AM
コメントもほどほどに、今回はこれぐらいに致します。「日経ビジネスと駅前コンビニ」というフレーズに触発され、場末に近いスナックで飲んだ後に書き込みさせて頂いております。
飯田駅前には良心的なビルオーナーのおかげか「ローソン」がまだ存在しております。しかも半年前に改装したばかりですし、救いはまだあるのですね(笑)
おっしゃるとおりで、県と市(町・村)の軋轢は、国と地方自治体(県)と何ら変わるところがないのかもしれません。所詮、予算獲得のために存在する官僚主義の跋扈する場が、華やかな舞台かひなびた舞台かの違いだけなのかも。DV(夫による家庭内暴力)も既に予算獲得の温床になり得る現実も今日見て参りましたし。
話は変わり林業と農業ですが、労働集約型産業の典型である第一次産業の変革に、地方の再生は大いにかかっていると私も思います。ただ、「では、誰がやるの?」という思いもあります。長野県知事(ヤスオちゃん)がいい加減な発言や予算を付けたおかげで再生が余計遅れたという話も聞きますし。思いつきだけで、しなの鉄道や林業が再生し、地域に活力を与え、若年労働者人口が増えるのであれば、なんて素敵な「長野県=信州?」でしょう。木製ガードレールは確かにエコの観点からは良いでしょうが、観光地・主要市街地以外で使用する意味(経済効果)を問わない県職員は?疲弊化した産業を中途半端な再構築しても、破綻はすぐそこなのかも?でも、知り合いに30歳で京都(いや日本)の超大手企業を辞職して林業に携わっている人もいるので、まだまだ捨てたもんじゃないかも?現実的側面からは、長野に来てからのここ10年で年収が1/3になったというのはありますが。長野オリンピック景気の余波と国内市場の低迷が原因のようですが。
Posted by: SAC | Wednesday, October 26, 2005 02:15 AM