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Saturday, October 15, 2005

高千穂鉄道復旧は成るか?

先月の台風14号で五ヶ瀬川の橋梁2箇所を含む路盤流出などの被害で運休中の高千穂鉄道ですが、復旧の模索が始まっております。

まずは高千穂鉄道の公式ページで確認しましょう。台風被害状況報告の写真が、被害の凄まじさを伝えます。特に建設年次の古い延岡~日之影温泉間で五ヶ瀬川に寄り添うように走る部分で、冠水や路盤流出の被害がひどい状況が読みとれます。

旧国鉄日之影線として建設され、1939年に全通したのですが、沿線には鉱山や発電所はありますが、基本的に農業と林業を主体とする地域で、おそらく鉄道開業前は五ヶ瀬川の水運に依存していた地域なのでしょう。それゆえ川沿いの集落を結ぶために五ヶ瀬川を4回渡り、川ともつれあいようなルートになっております。川の増水でひとたまりもなかったわけです。道路交通は国道202号線がほぼ並行しているようですが、バイパス整備で集落を通らないなどで、地域の足としては鉄道への依存度は高いといえそうです。

こういった山間の農林業依存地域は、まず例外なく過疎化と高齢化の影響をもろに受けているわけですが、そういった地域の天然災害は、考えさせられるものがあります。そもそも森林も山間の棚田も、緑のダムといわれるように、保水力に優れ、豪雨による川の増水を受けとめて、流域の生活を護ってきたはずです。しかし同時に労働集約的で生産性が低いので、工業化の進展に伴って、働き手を確保できずに荒廃し衰退を余儀なくされているという説明がなされますが、本当でしょうか。

実際は政策ミスによる人災といえます。農地の物理的拡大が困難な日本では、食料増産の要請もあって農地の転売、転貸、転用には厳しい制限が課されました。さらに旧民法から新民法への移行で、長子相続の原則から兄弟姉妹の均等割りへと移行した結果、農地の相続で齟齬が発生します。相続人の頭数で割ってしまえば農地として生産性を維持できなくなりますから、価格評価して相続人の誰かが引き継ぐことになるわけですが、若貴の相続騒動に見られるように、家督を継ぐ者が結果的に金銭的に少ない配分に甘んじることとなります。その結果農地にしがみついて生計を立てる必要があるわけで、結果的に彼らが政治的保護を求めるようになり、日本の農業は緩慢な死滅へと向かうこととなります。

誰もあえて貧乏くじは引きたくありませんから、例えば親の世代の相続を背中越しに眺めた二代目たちは、兄弟間で家督の譲り合いとなりますから、後継者が名乗りでない状況となり、高齢化した親がいつまでも現役で農地を支えるしか道がないということになります。農山村の高齢化と過疎化というのは、そういう意味があるんですね。加えて過疎地の高齢化は、医療や介護といった高齢者向けサービスの生産性を阻害し、受益者に高いサービス価格を押しつけるという側面もあります。医療制度改革で医療費の上限の議論がされてますが、今後高齢化で主に都市部で高齢化が進むことを考えますと、現時点での上限設定は、過疎地の高齢者のサービス受給の切り下げになるという点は忘れてはなりません。

農業分野への株式会社参入が制限されている現状では、農地を会社へ現物出資して、会社の事業として継続性を持たせるといったことができません。また受動的にでも所有者の居る農地にあえて仕事を求めてくる若者は居ません。ですから時間の経過と共に農地も山林も手入れができきれずに荒廃し、本来持っている保水力などの環境面での特長を発揮できなくなります。結果的にすべて洪水で押し流されてしまうとすれば、これはいったい誰のせい?と問いたくなるところです。

というわけで、長くなりましたので一旦話を切りますが、高千穂鉄道の復活の可否は、かなり大きな問題を含んでいるといえます。関連サイトとして

がんばれ! 高千穂鉄道!と沿線の町!
hinokage-ouen.fruitblog.net
をご紹介しておきます。リンクを辿ればいろいろな動きがあることをご理解いただけるかと思います。

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