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Sunday, October 09, 2005

油壺延長計画を諦めない京浜急行

というわけで、気になるニュースがいろいろありますが、近場の話題です。

(10/8)京急、油壺駅への延伸計画を見直し(日本経済新聞)
確かに免許は保持し続けてきた京急の油壺延長計画ですが、三浦半島の風致地区をかすめるだけに、用地買収の難航と環境保全の声に押されたこともあって、当初計画されなかった三崎口駅まで開業したわけですが、ここへきて計画を見直すことにしたようです。

具体的にどうなるのかはこれからの話ですが、沿線開発と一体で新計画を策定する方針は明らかになっていますから、何か新機軸を打ち出すのではないかと思われます。現行の計画では延伸区間は2km程度の距離ですが、ルート変更や中間駅設置なども考えているのかどうか、注目されます。おそらく横須賀リサーチパークで見せたようなユニークな開発計画になるのではないかと期待されます。

単純な宅地開発であれば、都心から離れた地形も険しく地滑り地帯でもある三浦市が適地とはいえませんし、ただでさえ地価下落で都心回帰が進み、人口減少で需要そのものも先細りが見えている現状ですから、別の何かということになるでしょうか。

記事によれば

京急は「現在の延伸計画は1970年代に作ったため古く、バリアフリー整備など現在のニーズを満たす計画に変更する必要がある」と説明している
のだそうで、考えられるのは富裕な高齢者向けの介護付住宅や医療サービス施設などで、個性的な老後の提案を目論んでいるといったところでしょうか。だとすれば目の付け所がいいですね。

以前地域活性化の新潮流、年金富裕者を囲い込めという記事をアップいたしましたが、鉄道会社が自社沿線に富裕な高齢者を囲い込み、ターミナルデパートのお得意さんに育てれば、新しいビジネスモデルになり得るわけです。それを自治体ではなく鉄道会社が行うとすれば新しいものとなるわけで、この辺、羽田空港の国際化を睨んで世界へアピールを目論む京急らしい発想です。

あと面白いのは、このような計画見直しも、元の鉄道事業免許があればこその話で、京急の油壺延長計画も30年以上にわたって免許更新を繰り返し、費用と手間をかけてきて、実現の目処は立たないままだったわけです。営利企業としては痛し痒しな話ですが、免許制度はいわば事業の独占を国が保証する制度であって、他社の参入が容易ではないことによって、鉄道会社は中長期の視点で投資計画を作って実行できるわけですし、その結果沿線地域の経済的厚生が向上すれば、地域に多大な利益をもたらすことにもなります。

法的に独占を認める制度ですから、競争抑制的であるなどの批判はあり得ますが、地域開発の観点から積極的に利用できる可能性を指摘しておきます。ただし現行制度では免許の交付は国が行うことになっておりますが、自治体レベルに権限委譲されれば、もっと地域開発に活かせる制度になり得るといえます。名鉄の撤退に為す術がなかった岐阜市の悲劇や、台風被害で橋梁流失や路盤流失の被害を受けて存亡の危機にある高千穂鉄道が救えない現状に対して、地域の自己決定を促す制度として活用の可能性があります。

地方分権、三位一体改革を叫ぶ政権が、税源移譲で義務教育費の国庫負担の廃止を打ち出すことに不思議と疑問の声が聞こえませんが、国庫負担をなくして義務教育と言えるのか、就学年齢児童への教育サービスが国家の義務であり、親権者も労役などで児童の教育を受ける権利を侵害しない義務を負うから義務養育なんですが、児童にとっては権利です。これを児童が教育を受ける義務と勘違いする人が多く、そういう考えだから、教育とは洗脳と同義とばかりに都合良く書き換えられた歴史を教えようとする人が後を絶たないんですね。

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Comments

かかっているTB3本を読ませていただいたのですが、どう読んでも「考えられるのは富裕な高齢者向けの介護付住宅や医療サービス施設などで、個性的な老後の提案を目論んでいるといったところでしょうか。」
という論理に発展するのは不可解です。
バリアフリー対策というのは計画線時点での駅設置にエスカレーターなどの設置用地をひねりだすことができず、止む無く用地を求めて路線の引きなおし、耐震に関してはトンネルの設計や橋梁の設計のやりなおしではないでしょうか。医療サービスの設置という意見は私見でしょうか。私見にせよちょっと強引過ぎるように感じます。

Posted by: SATO | Sunday, October 16, 2005 at 06:22 PM

コメントありがとうございます。

仰るとおり、あくまでも私個人の私見似すぎませんが、このところの京急の動きには、注目すべきものがあります。

羽田空港国際化を睨んで、新国際線ターミナル駅を設置するに留まらず、海外での知名度を高めようとしているなど、他社とはひと味もふた味も違うところをみせております。

確かに1970年に取得した免許が、用地の取得も進まず実現可能性が低くなっていることを単純に見直そうということではあるんでしょうけど、単純な免許失効ではなくあえて見直しとしたところに、京急が何か考えているのではないかという、半ば希望的観測を含んだ推論ではあります。

京急が何かを目論んでいるというのは、それはそれで楽しみなところといえます。

Posted by: 走ルンです | Sunday, October 16, 2005 at 08:49 PM

 京急の延伸廃止届けについて調べています。というのは翌年に発生土処分場建設が計画され、今湿地破壊工事が行なわれているからです。宅地開発の可能性があるのかどうかを調べる為です。

 京急が三崎口油壺間の鉄道事業免許を取得したのは大正12年です。この事業の廃止届けを出したのは、なぜかということです。「現在の延伸計画は1970年代に作ったため古く、バリアフリー整備など現在のニーズを満たす計画に変更する必要がある」というのは理由になりません。というのは、計画を変更する手続きは法にありますから、免許を返上しないでできます。また、工事施工認可は1970年11月に得ています。この時点で着工したことになります。その後3回にわたって工事計画の変更届が出されています。つまり、基本計画の変更、工事計画の変更で対応できるものを、免許返上になったのかという点です。 
 三浦市議会での京急幹部の発言によると大正12年に免許を得ていていまだに鉄道が敷設されていない例は日本全国どこにもないという国の「大変きつい指導」を受けて廃止届けを出さざるを得なくなったと語っています。
 1968年に京急は沿線の宅地開発計画を市に提示し、1970年6月に市は市街化区域に変更し7月に宅地開発計画が発表されています。その後現在迄39年が経過し、一区画の宅地も一件の家もできていません。その中で、国の指導で免許返上に追い込まれたことは、延伸と宅地開発の両方の計画が頓挫したという結果になったということです。鉄道事業社としてそして長年の経緯があるからあきらめたとは言わないのは分かりますが、新計画があるのかどうかその実現可能性については、慎重な検討をお願いしたい。そうしないと地元住民に間違った希望を与え、環境破壊に手を貸すことになりかねません。

Posted by: のんき | Sunday, November 22, 2009 at 10:23 AM

コメントありがとうございます。貴重な現地情報で私も存じ上げない事がらです。

京急の免許返上は確かに唐突感がありますが、国の指導の部分には疑問があります。
>大正12年に免許を得ていていまだに鉄道が敷設されていない例は日本全国どこにもないという国の「大変きつい指導」

という部分ですが、事実関係は不明ながら、鉄道事業が国の免許事業、すなわち国が認めた独占事業であるとする制度だったものが、半ば公的支援を与件とする整備新幹線、幹線鉄道活性化、直通運転促進などの名目で、償還型上下分離方式が広く認められたこととの係わりではないかと思います。

国と自治体が2:1の比率で事業費の半額を負担する前提で、公共事業として国交大臣の認定事業とするように改められたわけで、逆に京急の一存では事業は進まなくなったわけです。

とはいえ既に免許を得て、着工すらされている事業ですから、京急が免許返上に強く抵抗した中で、国としては旧制度で残り実現性に疑問符のつく事業を見直したいと考えたとすれば辻褄が合います。事業免許は国による独占のお墨付きですから、国もいつまでも放置できなかったのでしょう。

しかし免許返上後に発生土処分場とはえぐい話ですね。湿地の埋立を既成事実化しようということならば、その後に跡地の宅地造成などが忘れた頃に、という展開はあり得ます。それならそれで堂々と開発計画を明らかにすべきですね。

Posted by: 走ルンです | Sunday, November 22, 2009 at 02:54 PM

「海外での知名度を高めようとしている」という点に注目されているのであれば、神奈川県に残った最大の湿地で、ホタルが乱舞し絶滅危惧種もいて、生物多様性に富んだ世界的にも高い評価を受けるであろう、首都圏の貴重な湿地を、鉄道免許が返上され白紙になったとたんに、なんと建築発生土処分場として埋め立てるなどどいうことは到底できません。 生物多様性条約の締結国会議COP10が来年名古屋市で開催されます。全世界から環境保護団体が日本に集結します。京急の湿地破壊は国際的な非難を浴びる事は必死です。環境破壊企業として海外での知名度は確かに格段に上がるでしょう。京急誕生102年目に京急の歴史にぬぐい去れない汚点を残すことになります。京急がなにを考えているのか是非知りたいと思っています。

Posted by: のんき | Monday, November 23, 2009 at 08:18 AM

「国と自治体が2:1の比率で事業費の半額を負担する前提で、公共事業として国交大臣の認定事業とするように改められたわけで、逆に京急の一存では事業は進まなくなったわけです。」
 この部分はどういうキーワードで調べれば分かりますか?

 平成11年の鉄道事業法改正で、需給調整規制に基づく免許制から需給調整規制を行なわない許可制に変更されたことを確認しています。新規参入を容易にする改正で船やバスやタクシー等も同様の改正が行なわれたようです。鉄道では事業の性格からしてこの法改正だけでは新規参入の可能性は少ないとみられていたので、そのための政策が半額公費負担なのでしょうか?

Posted by: のんき | Monday, November 23, 2009 at 08:35 AM

 宅地開発との関係ですが、発生土処分場は7年半に渡って運営され、その後に土地区画整理事業を行なうという話になっています。そもそもこの地域は第一種低層住宅専用地区で、そこに発生土処分場など作れないのです。だから宅地開発の準備事業だとしています。
 貴重な自然をつぶしても人の住む場所が必要だというのならまだあきらめもつきます。私たちもなんらかの開発地の上に住んでいるからです。でもバブル時代の計画から39年土地の値段は半額になり、三浦市の人口は今後も減少が続きます。現状のままで宅地造成しても土地区画整理組合は破綻します。売れないか採算の取れる値段では売れないからです。京急自身がそう言っています。ではどうするか?新駅をつくって商業地区にして付加価値を付けることが必要だと。平成7年に県と市と京急が合意した文書では宅地開発事業の開始と併せて一駅延伸することになっていました。ところが新駅の前提となる延伸免許は返上してしまったのですから、商業地区にすることはできずつまり宅地開発はできません。そして延伸免許再申請するには宅地開発の見通しがつかないとできません。つまりどっちもできないのです。
 湿地破壊だけして終るというのは人間の愚かさをあらわしています。自然のワイズユースの正反対ですから、日本人の愚劣さを世界に示す実例になって後世に語り継がれます。子供たちに説明ができません。

 私が調べているのは、湿地が埋め立てられたあとに、宅地開発が行なわれる可能性、延伸事業許可と延伸実現の可能性です。ないのであれば、こんな愚かなことをさせてはいけないと思って焦っています。処分場運営は来年度からですが、湿地の水を処理しなければ運営できませんから、湿地の破壊までもうあと数ヶ月しか時間がありません。

Posted by: のんき | Monday, November 23, 2009 at 09:09 AM

なるほど、事態は切迫しているということですね。しかし京急の事業免許が失効したのに、開発事業が進むのが不思議ですね。

法令面でいえば、仰るように99年の改正鉄道事業法で需給調整規制が撤廃され、鉄道事業は免許制から認可制となったのですが、事業の排他性、独占性を保証する免許制度は、それ自体に財産制があったわけですが、認可制となったことで、事業者の資格要件や事業の採算性によって判定されるわけですから、固定資産比率の高い装置産業である鉄道事業に新規参入を促す意味はほとんどありません。むしろ地価上昇や環境アセスメントの義務化などで参入ハードルは高くなっているわけですから、公的支援なしに鉄道整備が進む道理はないわけです。

そこで鉄道整備に公的支援を行う諸制度が出てきたのですが、既存法規を政令等で読み替えて対応しているケースが多く、専門家でもない私も全貌はわかりません。とはいえ鉄道に公的関与が高まったということは、自治体などの民主制ガバナンスが働く余地が大きくなったわけです。あとは適切な情報開示が行われれば問題はないわけです。

ただしこの件では不明な点が多いですね。おそらく単純な宅地開発では新線建設を復活させるのは難しいと考えられます。県や市にとっては、開発が進む方が税収につながりますから、密かに無理目の画を描いている可能性はありそうですね。とはいえ公益が不明なら国の大臣認定は難しいでしょうから、結局頓挫する確率が高そうです。

Posted by: 走ルンです | Monday, November 23, 2009 at 05:22 PM

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