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Wednesday, November 09, 2005

走ルンです合いの子、キハE200

既にご存じの通りですが、JR東日本のプレスリリースでキハE200の営業投入を発表いたしました。NEトレインとして試験が繰り返されていたハイブリッドシステムを搭載した新型気動車ですが、形式称号からして現在の標準型気動車であるキハ110系の後継形式として位置づけられていることが読みとれます。

でも世界初のハイブリッド鉄道車両というのは、ウソとは言いませんが、いささか誇張があります。世界的に見れば保守性に優れた電気式気動車の方が主流ですし、日本でも戦前のキハ43000は別格として、量産車でもキハ44000系が半世紀以上前に登場しております。後に液体式に改造されて10系気動車の一員に統合されはしましたが、それとキハE200とどこが違うのか、それほど自明ではありません。

電気式気動車は、エンジンで発電機を回し、得られる電力でモーターを回して動力を車軸に伝達するわけですから、見かけ上のメカニズムはシリーズハイブリッドシステムと変わりません。一つ異なるのは、バッテリーを搭載している点です。ブレーキ時の回生電流をバッテリーに蓄電することで、運動エネルギーを吸収し発進加速時に利用する点がキハE200の新しい点です。そう、基本システムが電車そのものなんですね。早い話電源搭載電車とでも言うべきものというわけです。

もちろん言うは易いんですが、実現するためには電源部分のエンジン+発電機とバッテリーの重量が問題になります。地上にあるべき変電所を積んで走るようなものですから、重量負担でエネルギーを消費しては意味がないわけで、実際日産が限定100台をネット販売したティーノハイブリッドが、標準のガソリン車より重くなって結果的に燃費改善が見られなかったという失敗を生むこととなります。鉄道車両の場合、自動車ほどパッケージングがシビアではないでしょうけど、余分な重量を背負うことになれば重さ半分の走ルンですのコンセプトに反するものとなります。

細かいスペックは不明ですが、エンジンはキハ110系などよりもかなり小型のものと考えられます。コモンレールディーゼルエンジンは、燃料の高圧噴射によって燃料の粒が小さくなり着火しやすくすることで、静かで高出力が得られる次世代型エンジンです。また燃料噴射量を電子制御できめ細かく制御することで、燃焼状態を良好にすることが可能なので、NOXやPMの発生を抑制できるなどの特長がありますが、加えて主回路電力をバッテリー電源メインで供給し、エンジンはほぼバッテリーチャージ専門とすることで、最も効率の良い回転域で断続運転することで、始動性の良い小型エンジンとして最適な特性を持っているといえます。慣性力が働く大型ディーゼルでは難しいアイドリングストップが可能ということですから、鉄道車両用としてはかなり小型のものと考えられます。

あとイメージバースを見ると笑ってしまうほど走ルンですしてますが^_^;、軽量設計とはいえ普通鋼のキハ110系から比べれば、半分までは無理としても^_^;相当な軽量化が可能ですし、加えてエネルギー比重の軽いリチウムイオンバッテリーの採用と相まって、燃費向上に寄与したものと思われます。ということでハイブリッドを意味する“走ルンです合いの子”とでも命名しましょうか^_^;。

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Comments

システム図をみると、トヨタプリウスのように、エンジンの駆動力を直に使うわけではないようですね。ということは、本文でご指摘の通り、システムとしては、電気式ディーゼルに回生用蓄電池をプラスしたもの、といえそうですね。

プリウスは、燃費が同クラスガソリンの倍、といいますが、この気動車は改善率が10%ですね。そんなものなのでしょうか。

Primera

Posted by: Primera | Wednesday, November 09, 2005 at 11:36 PM

プリウスの燃費改善効果ですが、測定方法によってブレがあります。どちらかと言えば東京などの渋滞路で良い数値が出るようですが、欧州の高速道などでは、ガソリンエンジンの稼働率が高くなって改善効果が出にくく、ゆえに欧州では不人気です。

加えて元々燃費の良いディーゼルエンジンの場合、ガソリンエンジンほど劇的な改善効果が出るとは限りません。ま、それに駆動する質量の違いからいって、10%の改善は絶対値としては大きいと考えられます。

にしてもほとんどエンジン音のしない気動車というのは、どんな乗車感覚なんでしょうか。楽しみです^_^;。

Posted by: 走ルンです | Thursday, November 10, 2005 at 12:21 AM

いつも興味深く拝読しております。
 正しく電気式気動車ですね。
 私の感想は、この車両の狙いは燃費よりも、電車との保守の一貫性にあるのでは?というものです。特に、プレスリリースにも触れられている、ミッションの整備コストを減らすことが主目的かと思います。また、将来は加速時にエンジンとバッテリーからの電力を短時間に限り併用することで、電車並の加速性能を得られるではないでしょうか。こうなると、209系電車以来の「大きな出力を出す時間を短時間に限る」ことで、大幅な軽量化を果たした思想とも合致し、非電化区間でも電化区間と同じダイヤを提供できるわけです。
 燃費の向上だけが目的とすると、高価なリチウムイオン電池を搭載した車両の場合、燃料費で回収できるとは到底考えられません。たとえば、小型トラックでリチウムイオンを搭載したいすゞのエルフハイブリッドの場合、車両コストの増分の半額をトラック協会からの補助金で埋め合わせした上で、ハイブリッド機構以外で稼いだ燃費(具体的には高効率の新型自動ミッション)の分まで勘定に入れて、車両の生涯でようやくトントンというものです。ちなみに、エルフハイブリッドの場合、リチウム電極を薄いメッキとすることでコストダウンを図っていますが、電池の寿命は平均的な小型トラックの車両寿命と同程度となっています。したがって、遥かに長期使用される鉄道車両では、車両寿命までに交換の電池代が嵩むと思います。もちろん、ハイブリッド車による燃費向上はCO2排出量抑制のために重要であり、今後の技術進歩のためにも、補助金の存在に意味が無いとは思いませんが、現状のレベルでは軽油税まで含めたトラック用ハイブリッドでさえも、補助金頼みが現実です。鉄道車両用燃料では軽油税は掛からないため、燃料コストによる回収はさらに大変だと思います。

 Primeraがご指摘のトヨタプリウスの例ですが、元来熱効率の悪いガソリンエンジン乗用車に比べて、ディーゼルは元々の効率が高いので、ハイブリッド化しても、ガソリンほどに顕著な効果は得にくいのです。また、鉄道車両は加速・減速が緩やかで負荷変動が小さいため、自動車に比べてエンジンの運転条件が良いことも、ハイブリッドの効果が小さく見える原因です。つまり、元々効率が高いために、燃費向上の余地が小さいのです。むしろ、(単体エンジンや車両の軽量化による燃費向上を除いた)ハイブリッド化による燃費向上部分が10%であるというのであれば、大変な話であります。

 気動車こそ、寿命半分という思想が大切だと思っています。不採算路線に投資するのは大変ですが、自動車用エンジンの発達は鉄道用技術のそれとはスピードがまったく異なるため、せめてエンジンだけでも新型のトラック用に次々と換装できるようにすることで、排出ガス削減も含めたサービスレベル向上とコストを削減を両立できると思うのですが、いかがでしょうか。
 揚げ足とりのようで恐縮ですが、コモンレールは「静かな」エンジンではありません。むしろうるさくなる方向です。また、PM減少には効果的でありますが、NOx/SOxについては悪影響です。これは完全燃焼による高温でNOx/SOxが発生するためです。この対策として、尿素水による後処理方式を取る日産ディーゼル・三菱ふそう陣営と、排気ガスの燃焼室への再循環による燃焼温度の低下を狙ういすゞ・日野陣営に別れていることが、将来のメーカー別シェアに影響を与える可能性についての、興味深い考察は、以前管理人さまが当ブログでご指摘していらしたとおりです。

 非常に興味深いテーマだったために、長いコメントを書きなぐり、申し訳ありません。

Posted by: piyure | Thursday, November 10, 2005 at 01:07 AM

piyureさん、長文コメントありがとうございます。論点はいろいろありますが、文章にまとめるのが難しくて、かなり端折ってますが、ツッコミどころ満載となってしまいました^_^;。

仰るように最大の狙いはメンテナンスフリーということでしょう。変速機の保守が弱点となる液体式気動車が主流となっている日本の感覚では見えにくいですが、気動車のメンテナンス性能の低さが非電化の場合が多いローカル鉄道に与える経営上の重荷は無視しがたいところです。

電車並の性能という意味ではキハ100系や110系でも目標とされたわけですが、実際は制御回路や関連する全電気指令式ブレーキの採用、電車式の連結方向固定や密連採用などに留まり、走りのメカ自体は在来型の液体式駆動だったわけですから、ある意味正常進化と言えるかもしれません。

コモンレールの特性については仰るとおりで、元々PMとNOXはトレードオフ関係ですから、より正確に記すならばそうですが、エンジンに関する情報が発表からは不十分だったこともあって端折りました。バッテリーチャージを前提とした定速度運転ならば、実用上NOXが出にくい回転域で使用するなどで対策しやすいと思いますし、論点がぼやける恐れがありますので、今回のような表現とさせていただきました。

興味深いテーマですので、書いても書いても書き足りない感じが残りますね。

Posted by: 走ルンです | Thursday, November 10, 2005 at 06:12 PM

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