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November 2005

Sunday, November 27, 2005

耐震強度偽装で剥がれた小泉改革の化けの皮

んまぁ何だか続報ドッチャリで、これだけ露出が多いニュースなのに、肝心なところを外しまくっているメディア報道に辟易ですが、さすがにここまでズレていると目立ちます。

(11/26)武部氏「悪者探しで景気悪化」・耐震強度偽装で
BSEの時といい今回といい、芸風と呼べるほどに空気が読めていないツトムちゃんでした^_^;。牛肉食い過ぎて脳ミソ痛み始めたか(笑)。

本当の深刻さは、制度の信頼性が揺らいでいる点にあるわけですね。何を信じてマイホームを買ったら良いのか、国民に迷いが出れば、マンションの売れ行きは間違いなく下がります。当ブログでも当初から制度の問題として取り上げておりますが、注意が必要なのは、メディア報道で支配的な論調である一級建築士個人の不正やデベロッパーや建設会社の不実、民間検査機関の信頼性といった問題に矮小化すべきではありません。もっと根元的な問題なんです。こんなニュースを見ればその思いを強くします。

(11/27)耐震偽装、自治体も見逃し相次ぐ・審査方法見直しへ
元々自治体が行う建築確認申請の手続きに時間がかかるという理由で、民間の参入が認められた検査業務ですが、民営化論者は自治体が非効率だから民間開放と言っていたはずですが、元々人手不足で財政の縛りで増員もままならないから、検査に時間がかかっていた実態が無視された結果というわけですね。

以前から申し上げておりますが、財政再建にしろ公務員改革にしろ、現行からXX%削減といった数値目標を定めて行う方法は、仕事をしていないどーでもいー部門ほど対応して生き残り、本当に仕事をしている部門にとっては、身動きできなくなって機能低下するわけです。本当に必要なのは現行の公共部門の仕事のうち何をやめるかという話なんですね。

にも関わらず小泉政権下で行われている改革では、相変わらず数値による削減目標を議論したり、それで仕事が回らないと官業の非効率を盾に民間参入や民営化という議論ばかりで、何が要らないのかについては議論されておりません。郵政問題からしてそうですね。国営の郵政3事業が民営化してまで存続させなければならない理由は未だ語られませんし、政府系金融機関についても、組織を1つにするかどうするかという話ばかりで、本当は要らないんじゃないかという話は聞こえてきません。しかし悪いことに前の総選挙で国民の信任を与えてしまったんですから、今地震が来て強度偽装マンションが潰れて死者が出たら、一体誰のせいなのか迷います。

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明暗を分けた大手私鉄中間決算




















私鉄大手15社連結業績
単位億円
上段=9月期実績
下段=3月期予想
括弧内増減率%
売上高最終損益 輸送人員
伸び率(%)
東急6,813( 33)
13,850( 31)
90(-49)
300(-15)
1.0
1.1
近鉄4,529(-24)
9,400(-15)
-10( -)
160(-23)
-0.9
-1.6
名鉄3,759( 2)
7,360( -7)
46( -)
130( -)
4.6
2.8
東武3,211( 1)
6,480( 2)
149(165)
246( 99)
-0.2
-1.1
小田急2,967( -5)
6,150( -2)
115( -)
160(297)
0.8
0.3
阪急HD2,291( 2)
4,859( 2)
89(-39)
210(-19)
2.2
0.7
京王2,139( 2)
4,389( 1)
127( 25)
200( 7)
1.4
1.2
京急1,534( 4)
3,260( 3)
36(-36)
110( 1)
0.7
0.7
西鉄1,544( 2)
3,186( 1)
36( 77)
68( 59)
-1.0
-1.0
阪神1,459( 5)
3,150( 5)
29( -5)
60( 22)
0.9
0.1
相鉄1,431( 1)
3,041( -2)
36( 48)
60( -1)
0.7
0.1
京阪1,308( 14)
2,600( 6)
57(127)
69( 19)
-0.9
-0.6
京成1,071( -2)
2,279( 3)
43(-28)
78(-34)
0.3
0.1
南海910( -9)
1,920( -2)
-192( -)
-110( -)
-0.4
-0.5
西武2,192( 8)
4,430( 9)
-276( -)
-170( -)
0.6
0.4

最終損益が7社で改善し、特に小田急と名鉄が黒字転換となりました。共に2006年3月期からの減損会計による特別損失を前期に計上した結果改善したもので、名鉄ではセントレア開港と愛知万博効果も寄与しております。同様に近鉄でも名古屋へ向かう乗客の増加が見られ、プロ野球球団の売却でレジャー事業の損益は改善しましたが、志摩スペイン村などリゾート関連の減損処理で最終赤字となりました。南海と西武でも減損処理による赤字転落となり、減損会計への対応を早く済ませたところが好業績となる一方で明暗を分けました。

あと全体的に低迷していた輸送人員に好転の兆しが見られる点は明るい話題でしょう。空港輸送と万博効果の名鉄や、地下鉄など他社線との直通ルート開設でネットワーク効果が出た東急や、こまめな輸送改善で需要を掘り起こした京王などは注目されます。阪急はJR振替輸送で増加した分の歩留まりがどの程度になるかが鍵でしょう。阪急と共に輸送人員を伸ばした阪神は、観客動員を増やしたタイガース効果と見てよさそうです。球団を手放した近鉄とは逆の道で成果が見えます。

逆になお輸送人員を減らしている5社ですが、関西各社は地域の経済情勢が未だ回復のタイミングに入っていないのでしょう。関東で唯一輸送人員を減らしている東武ですが、やはり日光鬼怒川地区の不振が響いているのでしょう。来年3月のJR新宿駅直通で需要開拓成るか。また同日のダイヤ白紙改正で半蔵門線直通を軸に大幅な輸送体系の見直しが予定されておりますが、都市近郊輸送の重点化でどれぐらい需要を取り込めるかなど、来期に期待がかかります。

というわけで、前期に続きリストラ効果でまだら模様の大手私鉄各社の現状です。

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Friday, November 25, 2005

耐震強度偽造、木村建設破産で問われる銀行のモラル

耐震強度偽装問題で、メディアの一部にはアネハ、ヒューザー、シノケン、キムラ、イーホームズの悪役五人衆たたきに狂騒しているようですが、ネットでもそういった論調があるのが残念です。今はまだ真相は藪の中、まだまだ未解明の事実は多いし、今断定的にものを見るよりも、より多くの事実を掘り起こして、より多くの教訓を得ようではないですか。

そんな中でこんな記事が出て、一部に溜飲を下げる向きもあるようですが、被害者救済が滞る深刻な事態に思い致さないのは無責任でしょう。

木村建設社長「月末にも自己破産申請」・耐震強度偽造問題
さらに奇怪なのが放送も新聞も、ほとんどのメジャーメディアが次のニュースを並列的に取り上げているというのは、何たるイマジネーションの貧困かと思わずにはいられません。
大手銀6グループの中間、最終利益前年比21倍の1.7兆円
並べてみると、要するに(大手が関与しているかどうかはともかく)銀行が木村建設から資金を引き揚げた結果、被害者への賠償責任を負うはずの木村建設による賠償が困難になったということです。ま、日経からしてこういった問題意識がないというのは情けないところです。

と思いきや、読売により詳細な記事がありました。

強度偽装、木村建設破産申し立てへ…社長表明
またネットではTBをいただいた時評親爺さんが、余談としながらも、更に個人的論考をされてます。ということで、担保として差し入れたわけではない当座預金口座で債権が相殺されたという社長発言がありますが、事実とすればとんでもないことです。被害者への賠償を差し置いてその原資を横取りして自行の債権を保全したということですから、モラルを問われる事態です。まして不良債権問題で目処がついて最高益を更新するイマドキの銀行での貸し剥がしというデキゴトというところに漂う違和感は何なんでしょうか。

こういったディティールに、往々にして問題点が見えてくるものです。そりゃ銀行側の言い分としては、木村建設の責任の有無に関わらず、預金者保護の観点から事業を継続しがたい事由と捉えてのことでしょう。また大手行と違って不良債権処理が道半ばといわれる地方金融機関ならばなおさらでしょう。実際栃木県の足利銀行の実質国有化による破綻処理が行われたのは記憶に新しいところです。

木村建設に関しては、私自身詳しい事情はわかりませんが、熊本県八代市に本社を構えているところからすると、おそらく元々は公共工事を主に手がける地場の有力ゼネコンだったんだろうと思います。それが財政再建で公共事業が削減され、事業が先細りになる中で、ローコスト建築で民間工事に活路を見出そうとしたのでしょう。またそれを武器に中央へも進出し、全国区デビューした、ある意味地場の期待の星のような会社だろうと思います。そういう会社であれば、ある意味貸出先が細る一方の地方金融機関にとっては、優良貸出先として貸し込まれていたとしても不思議ではありません。銀行としてはみすみす融資先を見落として収益機会を損なうことは避けるべきですし。

しかし銀行が果たして適切なリスクテイクをしていたかどうかは、はなはだ疑わしいところです。建築でローコスト化するためには、大まかに言って工事の数をこなし工期を短縮することで、資材や機材を使い回し、調達の値下げ圧力を働かせることと、工事代金決済までの運転資金の金利を少なくすることぐらいしか手がありません。そしてそれらを深度化させようとすれば、それ自体が手抜き工事の誘因として働く可能性がありますので、そうさせないだけの何某かの見返りがあるか、施工管理が厳格かなど、地場ゼネコンとしては高いハードルをクリアする必要があります。つまり業態としてそれなりにリスキーだということです。

一方の銀行サイドから見れば、リスクのある事業への融資そのものは、ベンチャーの孵化器としての機能を考えれば一概に否定すべきではありません。ただしリスクに見合うリスクプレミアム(リスク分の上乗せ金利)を融資先に請求し、それを原資として貸し倒れ引当金を積み立てておくことが必要なんですね。成長性のあるものになるベンチャーならば、多少の上乗せ金利は負担しても中長期的には返済能力があるはずですから。

実際の銀行の融資の現場では、銀行間の競争が激しくて、とてもじゃないけど上乗せ金利なんか請求できないし、すれば融資先に他行へ逃げられてしまうだけとなります。結果としてベンチャーと似て非なるインチキ会社を助けてしまう可能性があるわけです。真性ベンチャーとインチキは初期段階は外見的には見分けにくいですが、事業に成長性があれば結果的に高い金利も負担できるようになってくるわけですが、インチキ会社はそこまで辿り着けずにメッキが剥がれ落ちるわけですから、上乗せ金利の請求は、銀行の健全経営には欠かせないことといえます。

とまぁ大手行の中間決算好調のニュースとは裏腹に、地方金融の現実はかくの如きで、とてもじゃないけど金融危機は脱したとノー天気に言うことはできません。更に2007年10月には、大手行を上回る規模の超巨大郵貯銀行が参入するっていうんですから、狂気の沙汰としか思えませんな。アホラシ-o-。

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Tuesday, November 22, 2005

耐震強度偽造事件で注目の京王プレッソイン

世間の耳目は姉歯建築設計事務所の耐震強度偽造事件に集まっておりますが、思わぬところで鉄道会社との接点があります。茅場町に続いて五反田でも営業休止となった京王プレッソインについてひとくさり。

(11/21)京王電鉄、新たにホテル1軒の営業休止・耐震強度偽造(日本経済新聞)
というわけで、沿線外である茅場町や五反田で京王電鉄がホテル事業を行っていることについて意外感を持たれる方もいらっしゃるかと思います。

詳しくは公式ページをご参照いただくことといたしまして、基本的に都心の足場の良いオフィス街に立地する宿泊特化形の低価格ホテルです。グループの京王プラザホテルが、シティホテルとして高いステータスを追求するのと対照的ですが、元々ホテルのビジネスモデルは、人的サービスに資源投入する労働集約型産業ですから、宿泊部門では収支が合わず、レストラン、バンケット、アーケードなどの付帯サービスで利益を得るものです。そのために至れり尽くせりのサービスで集客し、規模の経済で効率化するわけですが、さすがに新築ラッシュで収益性は低下しつつあるというのが、シティホテルの現状です。

そういった業界事情の中で、京王プレッソインは新業態として宿泊特化形の中規模ホテルとして新規参入したわけですが、常識的に考えれば儲かるのか心配になりますが、逆に飲食や物販で固定設備への投資が過大となり、必然的にホテルの規模も大きくなければソロバンがあわないのですが、逆に過大投資はリスクも高く、日々変化する地域のニーズに対応するのも難しいわけです。その意味では設備を簡素化してほどほどの規模で投資できるプレッソインのようなホテルは、純投資として可能性があるわけです。またビジネス利用に特化すれば、宿泊客のチェックインが遅くチェックアウトが早い傾向がありますので、適正規模であれば客室整備に時間を割ける、つまり少人数で対応できる省力化ビジネスとなりうるわけです。

ただしそれを実現するためには、土地建物を安価に手当する必要があるわけで、グループの京王建設を擁しながら、ローコスト建設をウリにする建設会社や建築士に外注することになったと考えられます。この辺は純投資ゆえにウエットな系列取引にはこだわらなかったのでしょう。今回の事件への対応はグループページのニュースリリースで公開されてますが、設計・構造設計会社や施工会社を公開し、積極的な情報開示に務めており好感が持てます。姉歯が関わったのは4件ですが、うち2件は問題なかったのですね。

京王電鉄本体は、現在大手私鉄では最も業績好調で財務状況の良い優良会社ですが、元々他社に比べて鉄道本業の比重が高く、関連事業が小規模だったことで、バブル期に関連事業への投資をあまり拡大しなかったことが幸いし、また他社に先駆けて不良資産の特損計上などの後始末を終えたこともあり、大手私鉄では最も高い格付けを得ております。ターミナルの新宿の発展が追い風となったこともあり、97年には特特法による上乗せ運賃の積立金取り崩しという特殊要因ではありますが前代未聞の運賃値下げまで行い、また高島屋新宿タイムズスクエア店出店を期に高齢者向けに売場をシフトして業績を上げた京王百貨店、そのテナントとして関東初のタイガースショップを03年にオープンしたらタイガースがリーグ優勝というラッキーな展開などなど、昨今順風満帆だっただけに、今回の事件が躓きの石にならないか心配しましたが、とりあえず杞憂のようです。今後は営業休止の2店舗の補強または建て替えによる営業再開や損害賠償請求など、それなりにマンパワーを割かれる事柄がありますが、乗り越えて頑張って欲しいですね。

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Sunday, November 20, 2005

耐震強度不足問題が示すもの

何とも救いようのないニュースですが、こういう記事を見ますと、問題の深刻さを感じます。

(11/19)耐震強度偽造、正規と虚偽のデータを組み合わせ偽造(日本経済新聞)
記事中にあるとおり、構造計算書自体はコンピュータプログラムを使い、数値を入れれば適合不適合のメッセージを表示するというのですから、正規に作成された構造計算書であれば、検査そのものは書類上の形式的な審査で事足りるわけです。

実際は発注者や元請けからのコストダウン要求が強くて、いわば裏技のような方法で答えを出した姉歯建築設計事務所ですが、おそらく恐る恐るやってみたらうまくいったということで、同じ手口を繰り返すことになったのでしょう。また発注者や元請けからのコストダウン要求も強かったようで、それに応えられるがウリだったのでしょう。実際こんなニュースもあります。

(11/19)耐震強度不足、2社に集中・構造計算は姉歯委託(日本経済新聞)
何だか規制緩和で競争激化し、荷主に逆らえず労働強化が進み、重大事故が増えているトラック業界を連想させます。

根本にあるのは過当競争状態での規制緩和という構図です。元々失われた90年代の公共事業大盤振る舞いに談合による高値受注でたかっていた業界ですから、競争力不足で市場から退出すべき事業者がいつまでも生き残り、民間工事でダンピングまがいの安値受注合戦となっている構図が透けて見えます。また金融危機で公的資金で銀行救済を繰り返したいわゆるソフトランディング路線で、やはり銀行を通じて資金を融通してもらって延命した事業者も多数ありますし、日銀の金融緩和政策による低金利に助けられた側面もあります。結果的に潰れていてもおかしくないゾンビ企業を延命させ、なまじ輸出好調で企業業績が回復して景気上向き気分になっている局面だけに、公共事業の減少を補う意味でも民間工事の安値受注の圧力が強まっているわけです。なるほど、こんな状態で日銀の量的緩和が解除されれば、実は危うい日本経済の現実が表面化してしまうわけです。

過当競争下での規制緩和は、本来は市場の淘汰圧力によって、市場から退場者を出すことで、最も効率的なプレイヤーが勝ち残ることで経済厚生の向上をはかる考え方なんですが、それは常にずるをして勝ちを拾うインセンティブを事業者に与えることにもなります。だからこそ市場の透明なルールが整備されていることが、実は大変重要なことですし、政府はそれを正しく判定してルールが実際に機能するようにしなければならないんです。いわゆるザル法は、抜け駆けを督励し二重基準を固定化させて闇勢力に付け入る隙を与えるなど、経済厚生を低下させることになります。今回の事件でいえば、民間の検査機関のチェックさえくぐり抜ければ問題ないという現実が、実は重大な二重基準となっているということを露呈したわけです。制度の改善まで踏み込めなければ、地震になって初めて発覚という阪神大震災の悪夢を繰り返すことになります。

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Tuesday, November 15, 2005

数合わせ?の政府系金融機関改革

まずは新聞報道から拾います。

政府系金融機関、中川政調会長「一つに」 月内再編方針
2005年11月15日15時25分(朝日新聞)
(11/15)政府系金融改革、今月下旬に改革案(日本経済新聞)
ホント改革のフリも大変ですが^_^;、数合わせに終始する議論の中身を見ていて、何を改革しようとしているのかわかりません。

そもそも政府系金融機関の役割とは何なのかですが、基本的には民間銀行では対応しにくい社会資本インフラや産業基盤としての中小企業の設備改善など、回収期間の長い長期投資を、政府保証によって補完するためのもので、大企業並の優遇金利で長期固定金利とすることで、リスク回避をはかるものだったはずです。

しかし現在のような超低金利のときには、むしろリスク要因となります。既にこれ以上下がりようがない金利水準では、将来の金利上昇が避けられませんので、固定金利だと4%台の金利となり、むしろリスクを抱え込んでしまうわけです。その結果政府系金融機関の融資を受けると、却って金利負担が増してしまうという妙なことが起きてしまいます。その結果例えば横浜市交通局決算速報を読むで指摘しました地方公営交通の利払いが原因の赤字が発生するわけです。民間ではないから非効率で赤字というわけではないんですね。

また、戦後復興が終わり、社会資本も産業基盤も水準以上に整備された現在、その役割は大幅に縮小せざるを得ないのは自明です。それはそれで良いんですが、しからば何故完全廃止ではなく統合して一つにするという議論なのか、あるいは機能別に再編を主張する政治家がいるのは何故かということになります。まぁ各省庁及びそれを代弁する閣僚や族議員を抵抗勢力と見立てられる構図は創り出されたわけで、小泉劇場の始まりではあります。あんまし見たくありませんが^_^;。

結局のところ、政府系金融機関は、政策手段として手許に残しておけば、政治的に利用可能な権力の行使手段となるわけで、一本化して内閣府直属とすれば、時の政権の求心力を高めることになります。一方権益を手放したくない官庁とそれを代弁する閣僚や甘い汁を期待する族議員という権力争いの構図なんですね。彼らの言う改革も、一皮むけばこんなもんです。というわけで選挙が終わればロイヤルウエディングにメディアジャック状態で、権力の監視を果たさないメディアは既に報道機関とは呼べません。

中小企業金融などは重要ではないかという議論もありますが、例えば98年の金融危機で貸し渋り対策として実施された信用保証協会の20兆円の特別保証枠が実際どう使われたかを見ると、とても賛同できません。つかみ金としてばら撒かれ、政治家の口利きが横行し、中には融資銀行が融資先の中小企業に借りさせて自行向け債務を返済させる例まであって、貸しはがしのツールにすら使われた現実を考えると、こんな制度はない方が良いといえます。

んで鉄道関連でいえば、上記の公営企業融資を担当する公営企業金融公庫と日本政策投資銀行の二つが馴染み深いですが、いずれも事業体に過度の金利負担を負わせるだけの存在といえます。ない方がよいでしょう。公共性を主張するならば、金融的な支援よりも実効性のある補助制度を工夫すべきでしょう。長期資金が必要な鉄道事業においては、単純な欠損補助よりも、例えば公設民営の上下分離などを制度化して資本費負担を軽減することなどを考える方が理に適っているといえます。

加えて2007年10月には郵貯銀行という巨大銀行が参入して、民営化推進派が言うように融資能力の供給が大幅に増えて融資先を取り合うこととなれば、政府保証などの信用補完の必要性自体が低下するはずです。そのための郵政改革だったはずです。というわけで今日も不毛な議論は続き、国民には説明不十分なまま、改革だか何だかわからない猿芝居が続きます-_-;。

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Sunday, November 13, 2005

宿敵、銀行マン起用の日本郵政トップ人事

選挙が終われば忘れ去られる郵政民営化ですが、民営化後の郵政事業を統括する持株会社のトップ人事が発表されました。

(11/11)政府、西川氏の「日本郵政」初代社長就任内定を発表
竹中郵政民営化担当相が決めた人事ということですが、善人面してホントえげつない人です。

いろいろ憶測はされておりましたが、生田総裁の横滑りとなるか、奥田日本経団連会長が推す葛西敬之JR東海社長かといった下馬評を覆しての銀行マンの就任は、意外感をもって受け止められております。簡単に言えば今まで郵便貯金を民業圧迫だとして目の敵にしてきた銀行業界からのトップ就任は、明らかな利益相反と見られていたからです。

だからといって西川三井住友銀行前頭取が郵貯解体に走るとは思いませんが、むしろシンジケートローンなどみずほコーポレート銀行などに先行されたビジネスや、投資ファンドへの資金供給を通じて、民営化されたはずの郵貯銀行の暗黙の政府保証を利用される可能性を危惧します。

どういうことかと申しますと、簡単にいえば従来公共事業などで税金のバラマキをやる代わりに、民営化されたはずの郵貯銀行の暗黙の政府保証によって、利益誘導をやりたい放題できるようになるということです。持株会社傘下の各事業会社には政府の直接的な監視は働きませんから、怪しげな大規模開発であっても、融資の審査はフリーハンドで可能です。例えば鉄道整備基金の枯渇で2007年度以降は財源のない整備新幹線事業や、やはり一応民営化された高速道路会社の新路線建設などの事業に対しても、郵貯銀行が融資を決めれば、事実上の政府保証と見なされて、民間銀行も相乗りするという流れですね。このところ債務返済を優先する大手企業への融資が細る中、銀行にとっても悪い話ではないんです。ただし日銀が量的緩和を続ける限りですが。

というわけで景気回復?を織り込んで量的緩和政策からの出口を模索する日銀に対する政府関係者のデフレは終わっていないというけん制発言となるわけです。ジャブジャブの現金があるうちしかこんなことできませんからね。

まぁその前に現在進行中のM&A合戦やREIT(不動産投信)の高騰=利回り低下など、投資バブルの様相を呈している現状ですから、どこかではじけてまたしても経済停滞というのは目に見えております。バブル期とは違うとは盛んに言われますが、オランダのチューリップ狂時代以来、バブル経済はどれ一つとして同じ展開はありません。ただ移り気なマネーが動き回るだけの話です。

そういえば日本では連帯保証人という先進国では唯一といって良いような人身売買の慣習があります。大手企業といえども経営トップの個人保証を取って融資をしていた日本の臆病な銀行マンは、暗黙の政府保証があればそれだけで思考停止してジャンジャン貸出を増やしてしまいそうで空恐ろしいところです。ちょうど西武コクドグループに対して個別事業の収益性よりも堤義明氏の個人保証で貸し込んだのと同じように-_-;。

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Wednesday, November 09, 2005

走ルンです合いの子、キハE200

既にご存じの通りですが、JR東日本のプレスリリースでキハE200の営業投入を発表いたしました。NEトレインとして試験が繰り返されていたハイブリッドシステムを搭載した新型気動車ですが、形式称号からして現在の標準型気動車であるキハ110系の後継形式として位置づけられていることが読みとれます。

でも世界初のハイブリッド鉄道車両というのは、ウソとは言いませんが、いささか誇張があります。世界的に見れば保守性に優れた電気式気動車の方が主流ですし、日本でも戦前のキハ43000は別格として、量産車でもキハ44000系が半世紀以上前に登場しております。後に液体式に改造されて10系気動車の一員に統合されはしましたが、それとキハE200とどこが違うのか、それほど自明ではありません。

電気式気動車は、エンジンで発電機を回し、得られる電力でモーターを回して動力を車軸に伝達するわけですから、見かけ上のメカニズムはシリーズハイブリッドシステムと変わりません。一つ異なるのは、バッテリーを搭載している点です。ブレーキ時の回生電流をバッテリーに蓄電することで、運動エネルギーを吸収し発進加速時に利用する点がキハE200の新しい点です。そう、基本システムが電車そのものなんですね。早い話電源搭載電車とでも言うべきものというわけです。

もちろん言うは易いんですが、実現するためには電源部分のエンジン+発電機とバッテリーの重量が問題になります。地上にあるべき変電所を積んで走るようなものですから、重量負担でエネルギーを消費しては意味がないわけで、実際日産が限定100台をネット販売したティーノハイブリッドが、標準のガソリン車より重くなって結果的に燃費改善が見られなかったという失敗を生むこととなります。鉄道車両の場合、自動車ほどパッケージングがシビアではないでしょうけど、余分な重量を背負うことになれば重さ半分の走ルンですのコンセプトに反するものとなります。

細かいスペックは不明ですが、エンジンはキハ110系などよりもかなり小型のものと考えられます。コモンレールディーゼルエンジンは、燃料の高圧噴射によって燃料の粒が小さくなり着火しやすくすることで、静かで高出力が得られる次世代型エンジンです。また燃料噴射量を電子制御できめ細かく制御することで、燃焼状態を良好にすることが可能なので、NOXやPMの発生を抑制できるなどの特長がありますが、加えて主回路電力をバッテリー電源メインで供給し、エンジンはほぼバッテリーチャージ専門とすることで、最も効率の良い回転域で断続運転することで、始動性の良い小型エンジンとして最適な特性を持っているといえます。慣性力が働く大型ディーゼルでは難しいアイドリングストップが可能ということですから、鉄道車両用としてはかなり小型のものと考えられます。

あとイメージバースを見ると笑ってしまうほど走ルンですしてますが^_^;、軽量設計とはいえ普通鋼のキハ110系から比べれば、半分までは無理としても^_^;相当な軽量化が可能ですし、加えてエネルギー比重の軽いリチウムイオンバッテリーの採用と相まって、燃費向上に寄与したものと思われます。ということでハイブリッドを意味する“走ルンです合いの子”とでも命名しましょうか^_^;。

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Sunday, November 06, 2005

都営地下鉄、大江戸線効果で乗客増加

やや地味目なニュースですが、こんな記事見つけました。

(11/5)都営大江戸線の乗客数、上期は4.8%増
汐留など沿線の再開発が寄与したもので、都営地下鉄全体で見ても2.4%増ということですから、増加のボリュームは大きいと言えます。

2000年12月の全線開業時には、駅が深くて地上から遠く不便なこともあって空いていた同線ですが、既に麻布十番など沿線でマンション建設が活発化していて、人口の都心回帰の流れを加速する形となりました。更に遅れて開業した汐留駅周辺の再開発進捗によって、利用者数を押し上げる結果となったようです。

この辺の評価は悩むところなんですが、元々旧国鉄遊休地を中心とした汐留地区の再開発そのものは、バブル崩壊のあおりを受けて停滞していて、再開発地の分譲が進まずお荷物扱いだった上に、官鉄新橋駅の遺跡発掘などもありました。結果的にこの遅れが、地価下落による値頃感と共に、IT革命による通信網のブロードバンド化でオフィスのインテリジェンス化のニーズが顕在化し、容積率などの規制緩和もあって六本木ヒルズなどの都心再開発ブームに火がついて、その波に乗ることができたという意味で怪我の功名だったといえます。また記事にある通り開業後3年で利用者の伸びが止まっていたこれまでの傾向と異なった動きとなったわけです。

大江戸線38駅中、汐留駅が増加率27.7%増加人数4,000人で共にトップで、増加率2位の新御徒町(17.7%)、増加数2位の新宿(2,000人)を大きく上回ることとなりました。ま、元々何もなかったと言ってしまえば身もふたもありませんが^_^;。新御徒町は明らかにつくばエクスプレスの効果でしょう。

ただ、大江戸線が環状路線で、他線との乗換駅が23駅もあることが認知されて利用が増えたという側面もあります。再開発ブームがいつまで続くかは定かではありませんが、大江戸線が第2の環状線として機能し始めたということは言えそうです。

以前記事にしましたが、

商業施設と病院の立地規制?
規制のためなら縦割りも何のその
で郊外開発規制を模索する動きについて述べましたが、大江戸線の現実は、容積率などの規制緩和はあったものの、都市中心部における公共交通整備が、結果的に中心部の集積度を上げることの証左といえます。東京以外でも、横浜のみなとみらい地区も、みなとみらい線の開業までは更地で放置されていたことを思い起こしてほしいところです。

しかし中心市街地活性化法などで再開発を試みた地方都市では、大規模郊外型商業施設への対抗上、中心市街地の道路整備や駐車場整備などの事業が行われることが多いんですが、実際には駅前大通地下に公共駐車場を整備しても、中心街の商店が営業不振で撤退した跡を更地化してコイン駐車場を整備する動きによって、駐車場の供給過剰から値崩れを起こして、公金で整備された公共駐車場が最も料金が高いという笑えない状況になっているのを見かけます。地方に限らず、大船あたりでもコイン駐車場が増えて、遂に100円/60分というところまで出現し、決して駅に近くない松竹跡地のヨーカドー&三越の駐車場や鎌倉芸術館の駐車場が割高になるなどの状況が見られます。思えば岐阜の名鉄線廃止も同じ文脈です。車依存の発想から抜け出さない限り、こんな状況が続くのでしょう。

あと余談ですが、現在検討が進められている郊外立地規制が、都市計画法と建設基準法の見直しで進められている点を危惧します。時限的な特別法によるのではなく、私権の制限を伴う一般法に滑り込ませて規制を恒久化しようという話です。私権の制限は憲法の定めに従って公共の秩序と善良な風俗を犯すものに限定されるはずですが、国民の監視が働かない未熟な民主制下では、利権の隠れ蓑に公共性を持ち出される可能性を指摘しておきましょう。前の総選挙でメディアも国民もコイズミに騙される現状ですからねぇ。

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Thursday, November 03, 2005

みずほ、東証、JR、巨大システムに潜むリスク

まずは昨日の新型ATS、96か所で設定ミス…JR西が謝罪(読売新聞)の続報からまいります。

新型ATSに設定ミス JR西、こっそり改修
ATS-Pは元々車両性能など設定項目が多いんですが、設置後15年も放置されていたのも驚きですが、毎年行われていた社内テストでは発覚せず、事故調の要請で資料提出のために調査して発覚するとか、それをこっそり直すとか、ホント呆れ果てます。デジタル機器はアナログ頭じゃ使えないってことです。

と思えば昨日は東京証券取引所のシステム障害で半日以上ストップというニュースですが、連日の取引拡大売買高更新で負荷が増す中、先回りするためにシステムを増強したところ、プログラムに問題があってシステム立ち上げ時の月次処理でダウンしたそうで、トラフィックの負荷増大に備えたことが仇となったわけです。大証やJASDAQで負荷増大によるシステムダウンがあっただけに、取引の集中する東証としては万全を期したつもりが裏を食ったわけです。システム化が進んだ結果、思わぬ落とし穴にはまってしまうのですね。

いずれもヒューマンファクターが原因でトラブルが起きているわけですが、実はこの手のトラブルは昨今多数起きております。システム化、自動化が進めば進むほど、ヒューマンファクターがトラブルの種となるというのは、皮肉な話ですが、リスクとして認識されているとは言い難い現状です。

2年前のみずほ銀行の統合直後の決済システムのトラブルでは、本格的なシステム統合の前に、旧第一勧銀のシステムと旧富士銀のシステムを繋ぐシステムを立ち上げて、当座を凌ぐつもりが、その繋ぐシステムでトラブルが発生した上に、統合関連のマニュアルが守られずに、処理データのデリバリーでもミスを犯して傷口を拡げてしまいました。やはりヒューマンファクターが影響しています。

システムが巨大化し、そこで人がミスを犯してトラブルを起こすというのは、こうして見るとごく普通のことになりつつあるのでしょうか。とすれば、私たちはそこから学習して、人は間違うものであることを前提に考える必要があるようです。万が一のミスをリカバリーできるかどうかが、案外重要なんだと思い知らされます。

東証に関しては、システム障害も何のそので、出来高、売買代金共に記録更新を続けていて、ひょっとしたら景気回復はホンモノか?と思わせますが、基本的にネット証券を利用した個人投資家、いわゆるデイトレーダーによる短期で利食いする取引が増えていることに由来します。ですから売りと買いが交錯し、多数の取引が成立するわけで、バブル期やバブル後のように、市場全体が買いや売りの方向へ動けば、取引自体が成立しにくくなるわけですから、オンライントレードと共に手数料自由化や株式売買単位の小口化などの一連の市場改革が実を結んだものと評価することはできます。結果的に市場は安定し、投資しやすい環境を整えたとはいえます。

ただしそれがオンラインのトラフィックを急速に増大させ、今回のようなトラブルの遠因となっているわけですから、こういった点も踏まえて株はやっぱりリスキーだと思うしかないのでしょう。ただし個人向けに口座サービスを行う証券会社は、安くなったとはいえ毎日のように取引してくれれば手数料という名のテラ銭が入るわけですから、今回のようにシステムが止まらない限りはリスクなしに収益を得られる立場です。ということは、フリーランチなしの法則によって、その原資はデイトレーダーが贈与しているわけですから、実はあんまり儲かる投資スタイルではないんですね。やはり配当利回りと将来のキャピタルゲイン狙いの長期投資が、株式投資の王道となりましょうか。

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Wednesday, November 02, 2005

新型ATS、96か所で設定ミス…JR西が謝罪(読売新聞)

何つーか、やっぱりという感想です。

.リンク: @nifty:NEWS@nifty:新型ATS、96か所で設定ミス…JR西が謝罪(読売新聞).
というわけで、以前の記事で危惧した点が現実となりました。
福知山線、ATS-P設置前に復活運転すべき理由
ATSは設置後のテストが重要なんですが、メディア報道の論調に押されて国土交通省が設置を急がせた結果、十分なテストが実施されていなかった可能性があります。全くお話になりません。報道によれば、制限速度を上回っていても作動しない箇所については修正済みだそうですが、福知山線を中心に制限速度を5km/h下回る照査となっていて、修正はこれからだそうです。

当時メディアの報道合戦の中で、JR西日本が新型ATS設置で事故が防げたか?との問いに対し、そうは考えないと答えてメディアの反発を受けたことから、国交省によってATS-P設置を福知山線の運転再開の条件にされたわけです。しかも運転再開に時間がかかる旨の発言にも噛み付かれて、復旧工事がタイトなスケジュールとなった挙げ句の今回のニュースですから救われません。結局嵐のような報道合戦の末に未だ原因究明には至らず、あの騒ぎは何だったのかと思います。

話は変わりますが、鉄道ジャーナル12月号で川島本に久保田博氏と種村直樹氏がそれぞれ注文を付けてます。久保田氏といえば旧国鉄の技術畑OBの重鎮ですが、旧国鉄礼賛に傾きやすい傾向があります。川島氏のボルスタレス台車は危険とする見解は、プロの目で見て一笑に付すべき出鱈目らしいんですが、根拠は示されておりません。久保田氏自身リアルタイムでボルスタレス台車に接した経験はないと思いますが。

種村氏は技術的評価については見解を述べておりませんが、事故調査検討会の中間報告直前に出版された本の見解に触れていないことに疑問を呈しております。実際には仮説に過ぎない言説に事故調がいちいち反応して風評を生むことの問題からではないかとしていますが、新聞広告や報道での取り上げ方などに目配りしているのは、新聞記者らしいところです。

ま、確かにボルスタレス台車が危険かどうかは一概には言えませんし、今回の事故原因にどの程度影響しているかもわかりませんが、事故原因が特定されない段階での仮説による考察そのものを封印する必要はないと考えます。事故調の中間報告でも幾つかの事実が判明してますが、例えば防護無線が事実上役に立たなかったなど、重大な事実なのですが、報道ではあまり取り上げられておりません。かくして事故が風化していくことへの苛立ちが、川島本への評価のバックグラウンドにあるという点も忘れてはならないでしょう。

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