みずほ、東証、JR、巨大システムに潜むリスク
まずは昨日の新型ATS、96か所で設定ミス…JR西が謝罪(読売新聞)の続報からまいります。
新型ATSに設定ミス JR西、こっそり改修ATS-Pは元々車両性能など設定項目が多いんですが、設置後15年も放置されていたのも驚きですが、毎年行われていた社内テストでは発覚せず、事故調の要請で資料提出のために調査して発覚するとか、それをこっそり直すとか、ホント呆れ果てます。デジタル機器はアナログ頭じゃ使えないってことです。
と思えば昨日は東京証券取引所のシステム障害で半日以上ストップというニュースですが、連日の取引拡大売買高更新で負荷が増す中、先回りするためにシステムを増強したところ、プログラムに問題があってシステム立ち上げ時の月次処理でダウンしたそうで、トラフィックの負荷増大に備えたことが仇となったわけです。大証やJASDAQで負荷増大によるシステムダウンがあっただけに、取引の集中する東証としては万全を期したつもりが裏を食ったわけです。システム化が進んだ結果、思わぬ落とし穴にはまってしまうのですね。
いずれもヒューマンファクターが原因でトラブルが起きているわけですが、実はこの手のトラブルは昨今多数起きております。システム化、自動化が進めば進むほど、ヒューマンファクターがトラブルの種となるというのは、皮肉な話ですが、リスクとして認識されているとは言い難い現状です。
2年前のみずほ銀行の統合直後の決済システムのトラブルでは、本格的なシステム統合の前に、旧第一勧銀のシステムと旧富士銀のシステムを繋ぐシステムを立ち上げて、当座を凌ぐつもりが、その繋ぐシステムでトラブルが発生した上に、統合関連のマニュアルが守られずに、処理データのデリバリーでもミスを犯して傷口を拡げてしまいました。やはりヒューマンファクターが影響しています。
システムが巨大化し、そこで人がミスを犯してトラブルを起こすというのは、こうして見るとごく普通のことになりつつあるのでしょうか。とすれば、私たちはそこから学習して、人は間違うものであることを前提に考える必要があるようです。万が一のミスをリカバリーできるかどうかが、案外重要なんだと思い知らされます。
東証に関しては、システム障害も何のそので、出来高、売買代金共に記録更新を続けていて、ひょっとしたら景気回復はホンモノか?と思わせますが、基本的にネット証券を利用した個人投資家、いわゆるデイトレーダーによる短期で利食いする取引が増えていることに由来します。ですから売りと買いが交錯し、多数の取引が成立するわけで、バブル期やバブル後のように、市場全体が買いや売りの方向へ動けば、取引自体が成立しにくくなるわけですから、オンライントレードと共に手数料自由化や株式売買単位の小口化などの一連の市場改革が実を結んだものと評価することはできます。結果的に市場は安定し、投資しやすい環境を整えたとはいえます。
ただしそれがオンラインのトラフィックを急速に増大させ、今回のようなトラブルの遠因となっているわけですから、こういった点も踏まえて株はやっぱりリスキーだと思うしかないのでしょう。ただし個人向けに口座サービスを行う証券会社は、安くなったとはいえ毎日のように取引してくれれば手数料という名のテラ銭が入るわけですから、今回のようにシステムが止まらない限りはリスクなしに収益を得られる立場です。ということは、フリーランチなしの法則によって、その原資はデイトレーダーが贈与しているわけですから、実はあんまり儲かる投資スタイルではないんですね。やはり配当利回りと将来のキャピタルゲイン狙いの長期投資が、株式投資の王道となりましょうか。
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