耐震強度偽造、木村建設破産で問われる銀行のモラル
耐震強度偽装問題で、メディアの一部にはアネハ、ヒューザー、シノケン、キムラ、イーホームズの悪役五人衆たたきに狂騒しているようですが、ネットでもそういった論調があるのが残念です。今はまだ真相は藪の中、まだまだ未解明の事実は多いし、今断定的にものを見るよりも、より多くの事実を掘り起こして、より多くの教訓を得ようではないですか。
そんな中でこんな記事が出て、一部に溜飲を下げる向きもあるようですが、被害者救済が滞る深刻な事態に思い致さないのは無責任でしょう。
木村建設社長「月末にも自己破産申請」・耐震強度偽造問題
さらに奇怪なのが放送も新聞も、ほとんどのメジャーメディアが次のニュースを並列的に取り上げているというのは、何たるイマジネーションの貧困かと思わずにはいられません。
大手銀6グループの中間、最終利益前年比21倍の1.7兆円
並べてみると、要するに(大手が関与しているかどうかはともかく)銀行が木村建設から資金を引き揚げた結果、被害者への賠償責任を負うはずの木村建設による賠償が困難になったということです。ま、日経からしてこういった問題意識がないというのは情けないところです。
と思いきや、読売により詳細な記事がありました。
強度偽装、木村建設破産申し立てへ…社長表明
またネットではTBをいただいた
時評親爺さんが、
余談としながらも、更に個人的論考をされてます。ということで、
担保として差し入れたわけではない当座預金口座で債権が相殺されたという社長発言がありますが、事実とすればとんでもないことです。
被害者への賠償を差し置いてその原資を横取りして自行の債権を保全したということですから、モラルを問われる事態です。まして不良債権問題で目処がついて最高益を更新するイマドキの銀行での貸し剥がしというデキゴトというところに漂う違和感は何なんでしょうか。
こういったディティールに、往々にして問題点が見えてくるものです。そりゃ銀行側の言い分としては、木村建設の責任の有無に関わらず、預金者保護の観点から事業を継続しがたい事由と捉えてのことでしょう。また大手行と違って不良債権処理が道半ばといわれる地方金融機関ならばなおさらでしょう。実際栃木県の足利銀行の実質国有化による破綻処理が行われたのは記憶に新しいところです。
木村建設に関しては、私自身詳しい事情はわかりませんが、熊本県八代市に本社を構えているところからすると、おそらく元々は公共工事を主に手がける地場の有力ゼネコンだったんだろうと思います。それが財政再建で公共事業が削減され、事業が先細りになる中で、ローコスト建築で民間工事に活路を見出そうとしたのでしょう。またそれを武器に中央へも進出し、全国区デビューした、ある意味地場の期待の星のような会社だろうと思います。そういう会社であれば、ある意味貸出先が細る一方の地方金融機関にとっては、優良貸出先として貸し込まれていたとしても不思議ではありません。銀行としてはみすみす融資先を見落として収益機会を損なうことは避けるべきですし。
しかし銀行が果たして適切なリスクテイクをしていたかどうかは、はなはだ疑わしいところです。建築でローコスト化するためには、大まかに言って工事の数をこなし工期を短縮することで、資材や機材を使い回し、調達の値下げ圧力を働かせることと、工事代金決済までの運転資金の金利を少なくすることぐらいしか手がありません。そしてそれらを深度化させようとすれば、それ自体が手抜き工事の誘因として働く可能性がありますので、そうさせないだけの何某かの見返りがあるか、施工管理が厳格かなど、地場ゼネコンとしては高いハードルをクリアする必要があります。つまり業態としてそれなりにリスキーだということです。
一方の銀行サイドから見れば、リスクのある事業への融資そのものは、ベンチャーの孵化器としての機能を考えれば一概に否定すべきではありません。ただしリスクに見合うリスクプレミアム(リスク分の上乗せ金利)を融資先に請求し、それを原資として貸し倒れ引当金を積み立てておくことが必要なんですね。成長性のあるものになるベンチャーならば、多少の上乗せ金利は負担しても中長期的には返済能力があるはずですから。
実際の銀行の融資の現場では、銀行間の競争が激しくて、とてもじゃないけど上乗せ金利なんか請求できないし、すれば融資先に他行へ逃げられてしまうだけとなります。結果としてベンチャーと似て非なるインチキ会社を助けてしまう可能性があるわけです。真性ベンチャーとインチキは初期段階は外見的には見分けにくいですが、事業に成長性があれば結果的に高い金利も負担できるようになってくるわけですが、インチキ会社はそこまで辿り着けずにメッキが剥がれ落ちるわけですから、上乗せ金利の請求は、銀行の健全経営には欠かせないことといえます。
とまぁ大手行の中間決算好調のニュースとは裏腹に、地方金融の現実はかくの如きで、とてもじゃないけど金融危機は脱したとノー天気に言うことはできません。更に2007年10月には、大手行を上回る規模の超巨大郵貯銀行が参入するっていうんですから、狂気の沙汰としか思えませんな。アホラシ-o-。
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いやいや聞いてあきれる。
結局ヒューザーが黒幕か?
小嶋社長の弁明+明るみになる裏工作は救いようがない。
メディアの視線は、なんか姉歯かわいそうムードだし、ヒューザーが倒産すると住民が救済できないのか?
誰が、黒幕で一番悪いか?
なんだか、ニュースが入り乱れその辺はどうでもよくなってきた。
ただ、「そういう風潮があった」という姉歯氏の発言だけが私の耳に染み付いている。
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「広がる不信」は、とうとう政治家の名前までが飛び出してきた。伊藤公介衆院議員(元国土庁長官)である。既に既報の通りであるが、以下に伊藤議員とヒューザ小嶋進社長そして国交省幹部との経緯について、当該記事をリンクしておく。項目タイトルは、当該記事のヘッドラインであるので注意。
1.ヒューザー社長 公表2日前、伊藤元長官が国交省幹部に紹介・・・27日付産経新聞
2.ヒューザー社長を国交省幹部に紹介、伊藤元長官が釈明・・・26日付日経新聞(共同配信)
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» マンション倒壊危機 規制緩和 安価 安全 [”蝦蟇の口、ロバの耳、猿の頭”]
1998年”規制緩和”で、建築確認申請が”民間会社”で行われる事が決まった。
上記の場合の”規制緩和”は、"公”への書類提出では審査時間が"お役所"で不必要に消費されてしまい、「仕事に意欲を喪失してしまっているお役人」のパフォーマンスに付き合わされて、”謹厳で、実直で、細部に目配りの出来る有能な官吏”然としたパフォーマンスに付き合わされて、土、日、祭日にはキッチリと休みを取られて、ダラダラと時間ばかり経過してしまい、、、。挙句の果ては、民間建築専門業者程は理解出..... [Read More]
Tracked on Tuesday, November 29, 2005 01:52 AM
» イーホームズとヒューザー、どちらの言い分が正しいのか? [町人思案橋 (時事と常識戯問7問/平日)]
●★●●●●●7問中2問目<常識戯問@政治/経済>
問題:「イーホームズ社長『1年前に強度偽装の情報』・衆院国交委」(NIKKEI NET 051129)●いやな話が山火事のように広がっていきます。姉歯建築士の偽装は、他の検査機関では隠蔽された可能性がでてきました。衆院の国交委員会で、イーホームズの藤田社長が発言しています●ところで、姉歯建築士の偽造がイーホームズに認識された直後、関係者が話しあった場に出席したのは、次の誰でしょうか?
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□ 姉歯建築士
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» ■命と引き換えに家を建てる?〜銀行のローン政策に疑問? [AKATUKI DESIGN]
例のヒューザー、姉歯設計士等による耐震偽装マンションの件。
購入住民の補償問題が問題になっているが、いろいろ疑問も多い。
「106%で買い戻す」と、見え見えのウソで延命を図るヒューザー。
マンションの使用禁止命令はすぐ発動したのに、なかなか支援策は打ち出せない行政。
怒りの矛先を同業他社に向けようと必死のイーホームズ。
そして、ひたすら沈黙を続ける銀行・・・
人命優先のはずが責任転嫁、責任逃れの茶番の為に、地域住民、�... [Read More]
Tracked on Saturday, December 03, 2005 07:35 AM
» 姉歯元一級建築士による耐震強度の偽装問題について [陶芸ブログ 炎と土にたわむれて]
姉歯元一級建築士(12/8資格取り消し)による耐震強度の偽装問題について、現在テレビでも大騒ぎしてますね。
朝から夜中まで一日中といった感じです。
国交省の6日までのまとめで、姉歯元建築士が設計に関与したマンション、ホテルは全国に208件あり、15都府県の計62件で偽造が確認された。
地震に耐えられる建物をどのように建てるのかは、法律などで定められ,それらをまとめて「耐震基準」と呼んでいます。現在の耐震基準は1981年にできたもので、それまでのものと区別するために「新耐震基準」と呼ばれていま... [Read More]
Tracked on Friday, December 09, 2005 08:39 PM
» 耐震強度偽装問題その2 [陶芸ブログ 炎と土にたわむれて]
自民・渡辺議員質問長すぎっ 耐震強度偽装問題証人喚問 40分中30分“演説”
『 [Read More]
Tracked on Saturday, December 17, 2005 09:52 PM
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耐震強度の偽装問題では、なぜ銀行が絡まないのだろうと。 つくづく思います。 銀行... [Read More]
Tracked on Friday, January 20, 2006 07:31 PM
Comments
”木村建設”は、熊本ローカルラジオ、テレビ放送ではコマーシャルソングがよく流れていました。ここ5~6年かなぁ?目立ち始めたのは?熊本市近郊でタクシー労務に就いている者には、「コマーシャルソングだけが耳に残っていて、実態の無い会社」という印象です。八代(40Km彼方)から、熊本市に支社等を置かずに、イキナリ、東京本社を置くなんて、その辺りが何か胡散臭さそうな感じですね。
Posted by: oohno1jp | Monday, November 28, 2005 05:11 PM
コメントありがとうございます。なるほど、最近売り出し中の会社ではあったわけですね。しかし県庁所在地の熊本を飛び越えて東京で事業展開している会社が、地元地上波局でCMというのも妙な話ですが、逆に局に泣きつかれたのかもしれませね。
木村建設の破産については、続報が乏しく、特に記者会見で明らかとなった銀行の当座預金相殺問題など、事実関係を明らかにすべき問題のはずですが、メディアの反応が悪いのは何故なんでしょうか。引き続き注目していきたいと思います。
Posted by: 走ルンです | Monday, November 28, 2005 08:16 PM
熊本ファミリー銀行 八代支店は木村建設が施工したようで、自分とこの建てかえ費用は確保しておこうなんて思ってたりして。(そんなことはないでしょうが....。)
Posted by: 浄眼 | Tuesday, November 29, 2005 01:20 PM
ハハハ^o^、座布団1枚!
Posted by: 走ルンです | Tuesday, November 29, 2005 05:43 PM
突然で恐縮ですがご招待です
「ヒューザー/耐震強度」にちなんだ最新のクイズがあります。
お近くへおいでの節は、どうぞ拙宅へもお立ち寄り下さい
→http://blog.q-q.jp/200511/article_167.html
(ご迷惑でしたら、お手数ですがコメント、TBの削除をお願いします)
Posted by: 素町人@思案橋 | Wednesday, November 30, 2005 11:31 AM