宿敵、銀行マン起用の日本郵政トップ人事
選挙が終われば忘れ去られる郵政民営化ですが、民営化後の郵政事業を統括する持株会社のトップ人事が発表されました。
(11/11)政府、西川氏の「日本郵政」初代社長就任内定を発表竹中郵政民営化担当相が決めた人事ということですが、善人面してホントえげつない人です。
いろいろ憶測はされておりましたが、生田総裁の横滑りとなるか、奥田日本経団連会長が推す葛西敬之JR東海社長かといった下馬評を覆しての銀行マンの就任は、意外感をもって受け止められております。簡単に言えば今まで郵便貯金を民業圧迫だとして目の敵にしてきた銀行業界からのトップ就任は、明らかな利益相反と見られていたからです。
だからといって西川三井住友銀行前頭取が郵貯解体に走るとは思いませんが、むしろシンジケートローンなどみずほコーポレート銀行などに先行されたビジネスや、投資ファンドへの資金供給を通じて、民営化されたはずの郵貯銀行の暗黙の政府保証を利用される可能性を危惧します。
どういうことかと申しますと、簡単にいえば従来公共事業などで税金のバラマキをやる代わりに、民営化されたはずの郵貯銀行の暗黙の政府保証によって、利益誘導をやりたい放題できるようになるということです。持株会社傘下の各事業会社には政府の直接的な監視は働きませんから、怪しげな大規模開発であっても、融資の審査はフリーハンドで可能です。例えば鉄道整備基金の枯渇で2007年度以降は財源のない整備新幹線事業や、やはり一応民営化された高速道路会社の新路線建設などの事業に対しても、郵貯銀行が融資を決めれば、事実上の政府保証と見なされて、民間銀行も相乗りするという流れですね。このところ債務返済を優先する大手企業への融資が細る中、銀行にとっても悪い話ではないんです。ただし日銀が量的緩和を続ける限りですが。
というわけで景気回復?を織り込んで量的緩和政策からの出口を模索する日銀に対する政府関係者のデフレは終わっていないというけん制発言となるわけです。ジャブジャブの現金があるうちしかこんなことできませんからね。
まぁその前に現在進行中のM&A合戦やREIT(不動産投信)の高騰=利回り低下など、投資バブルの様相を呈している現状ですから、どこかではじけてまたしても経済停滞というのは目に見えております。バブル期とは違うとは盛んに言われますが、オランダのチューリップ狂時代以来、バブル経済はどれ一つとして同じ展開はありません。ただ移り気なマネーが動き回るだけの話です。
そういえば日本では連帯保証人という先進国では唯一といって良いような人身売買の慣習があります。大手企業といえども経営トップの個人保証を取って融資をしていた日本の臆病な銀行マンは、暗黙の政府保証があればそれだけで思考停止してジャンジャン貸出を増やしてしまいそうで空恐ろしいところです。ちょうど西武コクドグループに対して個別事業の収益性よりも堤義明氏の個人保証で貸し込んだのと同じように-_-;。
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