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Tuesday, November 15, 2005

数合わせ?の政府系金融機関改革

まずは新聞報道から拾います。

政府系金融機関、中川政調会長「一つに」 月内再編方針
2005年11月15日15時25分(朝日新聞)
(11/15)政府系金融改革、今月下旬に改革案(日本経済新聞)
ホント改革のフリも大変ですが^_^;、数合わせに終始する議論の中身を見ていて、何を改革しようとしているのかわかりません。

そもそも政府系金融機関の役割とは何なのかですが、基本的には民間銀行では対応しにくい社会資本インフラや産業基盤としての中小企業の設備改善など、回収期間の長い長期投資を、政府保証によって補完するためのもので、大企業並の優遇金利で長期固定金利とすることで、リスク回避をはかるものだったはずです。

しかし現在のような超低金利のときには、むしろリスク要因となります。既にこれ以上下がりようがない金利水準では、将来の金利上昇が避けられませんので、固定金利だと4%台の金利となり、むしろリスクを抱え込んでしまうわけです。その結果政府系金融機関の融資を受けると、却って金利負担が増してしまうという妙なことが起きてしまいます。その結果例えば横浜市交通局決算速報を読むで指摘しました地方公営交通の利払いが原因の赤字が発生するわけです。民間ではないから非効率で赤字というわけではないんですね。

また、戦後復興が終わり、社会資本も産業基盤も水準以上に整備された現在、その役割は大幅に縮小せざるを得ないのは自明です。それはそれで良いんですが、しからば何故完全廃止ではなく統合して一つにするという議論なのか、あるいは機能別に再編を主張する政治家がいるのは何故かということになります。まぁ各省庁及びそれを代弁する閣僚や族議員を抵抗勢力と見立てられる構図は創り出されたわけで、小泉劇場の始まりではあります。あんまし見たくありませんが^_^;。

結局のところ、政府系金融機関は、政策手段として手許に残しておけば、政治的に利用可能な権力の行使手段となるわけで、一本化して内閣府直属とすれば、時の政権の求心力を高めることになります。一方権益を手放したくない官庁とそれを代弁する閣僚や甘い汁を期待する族議員という権力争いの構図なんですね。彼らの言う改革も、一皮むけばこんなもんです。というわけで選挙が終わればロイヤルウエディングにメディアジャック状態で、権力の監視を果たさないメディアは既に報道機関とは呼べません。

中小企業金融などは重要ではないかという議論もありますが、例えば98年の金融危機で貸し渋り対策として実施された信用保証協会の20兆円の特別保証枠が実際どう使われたかを見ると、とても賛同できません。つかみ金としてばら撒かれ、政治家の口利きが横行し、中には融資銀行が融資先の中小企業に借りさせて自行向け債務を返済させる例まであって、貸しはがしのツールにすら使われた現実を考えると、こんな制度はない方が良いといえます。

んで鉄道関連でいえば、上記の公営企業融資を担当する公営企業金融公庫と日本政策投資銀行の二つが馴染み深いですが、いずれも事業体に過度の金利負担を負わせるだけの存在といえます。ない方がよいでしょう。公共性を主張するならば、金融的な支援よりも実効性のある補助制度を工夫すべきでしょう。長期資金が必要な鉄道事業においては、単純な欠損補助よりも、例えば公設民営の上下分離などを制度化して資本費負担を軽減することなどを考える方が理に適っているといえます。

加えて2007年10月には郵貯銀行という巨大銀行が参入して、民営化推進派が言うように融資能力の供給が大幅に増えて融資先を取り合うこととなれば、政府保証などの信用補完の必要性自体が低下するはずです。そのための郵政改革だったはずです。というわけで今日も不毛な議論は続き、国民には説明不十分なまま、改革だか何だかわからない猿芝居が続きます-_-;。

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