耐震強度偽装でホテルコンサル登場
何か、訳わかんない展開になりつつありますが、とりあえずはこちらから。
(12/2)都内の経営コンサル、建築主に平成設計推薦業界では有名人らしいのですが、京王プレッソインをはじめ宿泊特化型低価格ビジネスホテルを投資家に推奨していたといいうことで、木村建設子会社の平成設計を推奨し、平成設計は姉歯建築設計事務所に構造計算を下請けしていたという流れだそうですが、そのコンサルがまた釈明会見を開いてるんですが、何ともはやです。
姉歯関連のホテル16件で指導=建築士とは「面識ない」-偽造関与否定・総研所長総研の会見で否定したのは以下のニュースです。
仲介コンサルにも通報=姉歯氏、指摘に「びくびく」-耐震偽装で設計事務所社長というわけで、強度偽装は姉歯建築士の独断であって我々も被害者というお馴染みのロジックです-_-;。
ま、いずれ事実関係も明らかになるでしょうけど、何といいますか、これらのホテルがいずれも低価格を売りに最近作られたものばかりで、当然の如くローコスト建築で作られているわけです。しかも京王や名鉄など、どちらかといえば私鉄業界の勝ち組企業がカモにされている実態が明らかになりました。とっても不吉な出来事です。
といいますのも、京王プレッソインが典型的ですが、京王電鉄自体は本業が好調で、不動産関連の減損処理もいち早く終わらせて、手元資金に余裕がある状態だったわけで、当然格付けも上がりますが、そうなると株価が安値で放置されれば買収の対象となるリスクが出てきます。それ故に個人株主への積極的な株式の売り込みを行い、株価を高める努力をしていたわけですが、株主にしてみれば、余分な現金を抱え込むならば株主へ還元せよという話になります。とはいえ毎日の運行を維持する上で何が起きるかわからない鉄道事業者にとっては、手元現金を簡単に放出するわけにもいかず、現金を遊ばせるよりも手頃な投資案件があれば、そちらに資金を回して、収益機会を拡大する必要があるわけです。株主に支持される上場企業ゆえの悩みといえます。
そういった中で、例えば他社株や社債への投資でも良いんですが、自身の本業に関係のない他社株の保有は、いわゆる持ち合いなどの安定株主対策にはなりますが、投資として魅力のある会社が乏しかったのは、先に苦境を脱出した優良企業ゆえの悩みといえます。この辺が投資家としての上場企業の難しさなんですが、少なくとも株主が納得できる投資案件でなければ、いつ株主代表訴訟に遭うかもわかりません。上場はしてませんが、JR三島会社やローカル三セクなどで経営安定基金の運用先として社債や外債を積極的に購入した結果、例えばマイカル債やアルゼンチン債などでデフォルト(債務不履行)の憂き目にあった例は枚挙に暇がありません。超優良企業つくばエクスプレスもマイカル債で損失を被っております。
というわけで、ローコスト建築の格安ビジネスホテルというのは、純投資としては魅力があるわけで、まして実績を積み上げたコンサルの推奨があれば、株主も説得しやすいということで事業目論見が出来上がることを止めるのは難しいところです。つまるところ優良上場企業がカモにされたという話になるわけです。
こんなことが起きるのは、つまるところ異常な低金利の成せる技です。行き場のないマネーが徘徊し、少々怪しげな投資案件であっても、もっともらしい演出がされていれば、引っかかってしまう現実があるわけですね。この点は個人も企業も大差ないのが日本の現実として認識しておいた方がよさそうです。巷ではボーナスシーズンということで、企業業績の回復もあってボーナスが増額される会社が増えているそうで、それを先取りするように日経平均15,000円台を回復、また外貨預金や外貨建てMMFなどの人気もあって円安が進行、それがまた輸出企業の業績を押し上げるという好循環だそうですが、バブル期の悪夢をゆめゆめお忘れなく。間違ってもボーナスを注ぎ込まない方が良さそうです。株を買うなら来年まで待ちましょう。
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Comments
なるほど金余りが生んだ悲劇ですか。先回と異なるのは「買収騒ぎ」が日常茶飯事になってしまい、それこそ「買収されない」工夫さえしなければならないというピリピリした経営をしなければダメということなんでしょうね。しかし誰だよ、こんな入れ知恵をした輩は。
本質的には例えば京王なら高架複々線をやるなどの投資もできましょうが、これからの人口減時代にはこれは不適格な投資でしょう。車両の入れ替えをしたところで乗客はわからないし、C&Cの多店舗展開したところで人件費に食われるしでいずれも不適格、最後は取締役と社員に還元、株主には大きな配当にするしかないですが、今度は買収の餌食と乗客からのクレームともう会社やるの嫌になっちゃいますよね。
まさかですが車両も構造計算の偽造でローコストってことはないですよね>某社
Posted by: SATO | Sunday, December 04, 2005 08:52 AM
コメントありがとうございます。確かに余剰資金があるなら、複々線化を推進すべきと思うのが鉄ちゃんの人情でしょうが、現実的に回収に長期間を要する投資ほど、株主には不人気になりやすいというジレンマはあります。
京王の場合、調布市内連続立体化事業で、今回は連立線(現在線の連続立体化の意)のみの事業化ですが、線増線を連立線の下に作る形の計画が示されたように、都区内区間も含めていわゆる地下急行線形態の線増ならば、全く不可能というわけでもなさそうですし、実際一旦160%台まで改善した最混雑率が、輸送改善の結果170%台に悪化するという悩ましい現実もあります。
一般に鉄道新線や線増など大改良工事の投資回収期間は30年とも言われますが、超低金利の現状で、将来の金利上昇を織り込むと、とても手が出せないということになってしまいます。マネーゲームの資金は潤沢なのに公共性の高い投資に回す資金が無いという、つくづく変な世の中ですね。
Posted by: 走ルンです | Sunday, December 04, 2005 05:41 PM