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Friday, December 23, 2005

SuicaとPASMO相互利用でどう変わる?

遅ればせながら^_^;ビッグニュースを取り上げます。

ICカード:SuicaとPASMO、07年3月から相互利用OK
以前からパスネットとバス共通カードのIC化共通化と、JRSuikaとの相互利用に関してはアナウンスされていたわけですが、単なる磁気カードからICカードへの変更に留まらない注目すべき変化が読みとれます。

元々交通系の磁気カードとしては、券売機で乗車券と引き替えるタイプのプリペイドカードとしてJRのオレンジカードなどのプリペイドカードとしてスタートするわけですが、交通事業者にとっては先払いによる回転差資金を得られる利点があったものの、利用者にとってはあまりメリットはなく、ゆえに高額カードを中心にプレミアムをつけて割安感を訴求したのですが、単純な磁気カードゆえに偽造がはびこり、特に高額カードの偽造は事業者のリスクも大きくなるために急速に取扱いを縮小、廃止せざるを得ない現実に直面します。

一方で直接自動改札機に投入して乗車券として利用できるストアードフェアカードにすれば、乗客にとってもメリットがあるということで、阪急のラガールスルーを嚆矢としてJR東日本のイオカードなどで実現しますが、同じプリペイドカードでも乗車券タイプとするためには、発駅、経由地、着駅などルートを特定する機能が必要となり、書き込まれる磁気情報もそれだけ複雑化しますし、紙の乗車券のように検札なども困難で偽造防止の必要性からセキュリティレベルを高める必要があることもあって、鉄道事業者に高度な設備投資を強いることになります。

それゆえに複数社局で共通化することで、投資のスケールメリットを追求する必要があるわけです。技術革新を伴う設備投資ゆえに量産効果を働かせる必要があるわけです。それゆえにプレミアムは見送られ、また鉄道営業規則上の乗車券という扱いとなることから、事実上の割引となるプレミアムはつけられなかったという側面もあります。磁気カード乗車券が登場したこと自体が営業規則にとって想定外だったとはいえ、やや硬直的な感は否めません。また期待されたイオカードとパスネットとの共通化も、セキュリティレベルの違いから当面は見送られることとなり、次世代のICカードでの実現に向けて協議を重ねることとされたのですが、十分説明が尽くされたとは言い難いところでした。

一方でバス共通カードの方は元々紙の回数券を置き換える目的の回数券カードだったことから、回数券の割引に相当するプレミアムがつけられたのですが、バスの場合は元々回数券が金額式であったことと、車上で乗務員が運賃収受するシステムなので、磁気券への書き込みが鉄道の乗車券カードほど複雑ではないことと、現金扱いよりも客扱いが容易で営業所へ戻ってからの精算業務が簡単ということもあって、プレミアム付で磁気化され急速に共通化されたものの、今度は鉄道の乗車券カードとの共通化を難しくしてしまいました。

ICカード化することで、磁気カードよりも多くの情報を短時間で読み書きできることから、これらの課題をクリアしやすくなるわけですが、バスカードのプレミアム部分の扱いについては、現段階では明確ではありません。おそらく利用実績に応じたポイントを付与してチャージに回せるようにするなどの対応が取られるものと思います。

また乗車券としての決済機能を援用することで、電子マネーとしての機能を付与できるということもあって、今回のPASMOではSuicaの電子マネー機能も共通化されますが、既にSuicaと共通化されたピタパやICOCAなどが乗車券カードとしての共通化に留まっているよりも一歩踏み込んでます。

そのほか定期券機能、子どもカード、記名式カードなど応用範囲が広く、自動チャージ機能などクレジットカード並の信用取引も可能など、サービスも充実し利用者サイドから見れば多機能で使い勝手は良さそうです。この辺はICカードならではといえます。

ただし乗車券カードとしての本質は変わっておりませんので、幾つか細部の詰めが必要です。例えばノーラッチ接続点が複数あるJRとメトロの間でのルートの特定法などですが、似た状況にあるメトロと東急ではパスネット利用に限って事実上の最短経路適用となっているなど、単純に紙の乗車券の置き換えでは済まない部分がありますので、詳細は実施前に発表があると思いますが、どうなりますか注目されます。

更に進んでひょっとしたら日本では難しいと言われた共通運賃制へと進む可能性も指摘しておきます。ICカードによって改札業務が精算など後方業務を含めて省力化されれば、現行の事業者ごとの独自運賃で複数事業者間で接続駅での運賃打ち切り合算の根拠とされる出改札業務の固定費負担分という理屈が成り立たなくなる可能性が出てきます。また人口減少社会にあって、運賃制度面でのわかりやすさやシームレス化が利用を誘発する効果を期待できるなど、事業者にとっては増収のインセンティブとなる可能性があるという点も指摘しておきます。ただし当面は設備投資資金の回収が優先される可能性はありますが。

更に無人駅へのセンサー設置による事実上のセルフ方式への可能性も拓けます。取りこぼしの有無に関する実証データが蓄積されれば、例えば都内の駅でも時間帯でまたは終日無人化というようなことすら考えられますから、鉄道のユーザーインターフェースが将来激変するかもしれませんね。

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Comments

経路選択に関しては私は技術革新でクリアを予想しています。
妙な話ですが20号、下高井戸付近を走るとETCが鳴ります。おそらく上を走る首都高速のデーター書き込みか何かで誤作動していると思うのですが感度の素晴らしさには舌を巻きます。
既にメーカーでは財布からも出さなくて良い感度のカード作成の研究をしているようですが、これができれば駅前後にセンサーをつけて経路の自動書き込みができます。
これはイコール交通量調査の基礎データーにもなるわけですから取りっぱぐれという理屈以外のメリットも出ます。
ただラッシュ時はエラーが連発しそうですから混雑が緩和された2020年頃の投入かもしれません。

Posted by: SATO | Tuesday, December 27, 2005 at 09:14 AM

何だか監視されているようで不気味ですが、ケータイを持ち歩くことを考えれば、個人の特定レベルは低いかもしれません。問題は動作の確実性ですが、同報メールのような処理は可能かもしれませんね。直ぐに実現できるかどうかはともかくとして、劇的な変化が待ち受けている可能性はありますね。

Posted by: 走ルンです | Tuesday, December 27, 2005 at 11:29 PM

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