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Tuesday, January 17, 2006

JR貨物の世界戦略、中国海運大手と提携

ライブドア家宅捜索やオジャマモン証人喚問など、目立つニュースの陰で、超マイナーな話題です。日本経済新聞によると、JR貨物と中国海運大手が提携したそうです。

JR貨物、中国海運首位と提携・日中間の物流割安に
記事中にあるとおり、コンテナ船より速く航空より安いというところを狙ったもので、日本国内はJR貨物が、中国国内は提携先のコスコが顧客企業を開拓し、上海-門司港間を船で輸送、中国国内はコスコが、日本国内は北九州貨物ターミナルから全国へJR貨物が輸送する体制を整えます。当面週1便で上海-東京間で4日程度と、航空の3日よりかかるがコンテナ船の6日より速く、運賃も中間帯というのが概要です。

京都議定書で公約された温暖化防止のCO2削減を追い風に、企業の部品調達や製品出荷などのいわゆるシステム物流分野に活路を見出したいJR貨物ですが、人口減少とアジアの台頭による生産拠点の国外流出には抗えず、将来は不透明なところですが、日中間の物流分野への進出は、JR貨物が企業として生き残るためには避けて通れない道です。従来も日通の博多-上海間高速船“上海スーパーエクスプレス”との継送による複合一貫輸送などは手がけておりましたが、現地企業と提携して相互に営業、集配を分担するというところが新しいところです。実際日中間の貨物は工場間を行き来する部品類が多く、双方に工場を持つ企業の社内輸送の側面を持っており、いわば工場のベルトコンベアのアウトソーシングのような性格で、相互依存がここまで深まればこそのビジネスといえます。グローバル化の進捗によって貨物の往来は増えこそすれ減ることはないでしょうから、JR貨物にとっては重要なチャレンジです。

国際物流では民営化される郵政公社も参入を狙ってオランダTNTと提携しましたが、郵政が狙うのは小口貨物混載を中心としながらも総合物流を目指すインテグレーターという業態ですが、JR貨物はあくまでも企業物流に照準を合わせているのがミソでしょうか。定期的、定性的に発生する大量の貨物を扱うことで、効率よく輸送し収益をあげるビジネスモデルです。小口貨物と違って営業窓口も絞り込むなどして収益性を高められます。

国鉄改革では最後まで扱いが定まらず、旅客会社の線路を割安に借りて全国1社でスタートしたJR貨物ですが、青函トンネルや本四連絡橋の開通で海運に対して競争力を得たことと、民営化後の好景気に助けられて好調だったのもつかの間、90年代の不況とトラックの規制緩和で競争激化があって赤字転落、以後なかなか浮かび上がれなかったのですが、トラック絡みで度重なる重大事故が発生し、速度町かや過積載や超過勤務などの違反行為の厳罰化、特に事業者の処罰強化で風向きが変わってきた昨今です。人口減少による影響はトラックよりは受けにくいとはいえ、国内製造業が空洞化すればじり貧は免れない中で、JR貨物のチャレンジにエールを贈りたいと思います。

思えば国鉄の民営化でも、事前に旅客では特定地方交通線の切り離しや輸送需要に見合った減量ダイヤへの移行、貨物ではコンテナと専用貨物などの直行便に集約した規模の大幅縮小を経ての民営化だったわけですが、そうしてスリムになったからこそ、旅客貨物を問わず自らの意思で未来を開くことができるようになったといえます。巨大組織を温存したままの郵政民営化とは決定的に異なるという点は改めて指摘しておきます。

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Comments

いつもお世話様です。こちらにもコメントさせていただきます。
私は仕事の関係上こうした国際物流や中国企業にも縁がありますが、COSCOは世界的には結構知られたグローバル企業です。
ライナー・バルク系・タンカーやストックヤードサービスなど企業の海運物流主体なので、普通の日本人ではあまり知る人は多くないかもしれませんが。
生い立ちから国内中心だったJR貨物が国際物流へと進む上では確かに良い組み合わせかもしれません。日中間の物流はこれからも
安定した需要が見込めるでしょうし。価格・サービス的な狙いもまずまずではないでしょうか。
ただ、どちらも物流のプラットフォームという色彩の濃い企業なので、製造業向けに更に開拓していく上では、更にパートナーが必要なような気がします。。。まあ需要が旺盛なんで問題ないと思いますが。

Posted by: 自称国際派 | Tuesday, January 24, 2006 at 08:42 PM

コメントありがとうございます。

いかにIT化が進んでも、むしろリアルな物流は活発になるわけで、その中で一定のポジションを得ることは重要ですね。両者で双方向に貨物を発送できる体制が整えば、例えば既に中国進出している佐川急便のような宅配会社が双方向で利用するといった展開も考えられるわけですから、結構応用範囲は広いように思います。

さまざまな制約を抱えるJR貨物ですが、結構身の丈に合った事業展開をしているように思います。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, January 25, 2006 at 12:43 AM

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Tracked on Saturday, January 28, 2006 at 11:29 PM

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