相鉄と東急、新横浜経由直通報道の読み方
1/1付神奈川新聞の配信記事で、相鉄と東急の新横浜経由の直通に関するものがあります。
相鉄と東急、新横浜経由で直通/2015年度開通へ今のところ他紙の追跡取材はありませんが、この点については後述します。
記事によれば、相鉄の西谷-横浜羽沢間の新線を介したJR東日本との直通運転計画に追加する形で、横浜羽沢-新横浜-日吉間を結んで東横線とも直通運転をしようというもので、相鉄とJR東日本の直通計画と競合すると考えられる神奈川東部方面線の計画を変更して横浜羽沢経由とすることで、計画の実現性を高めようということのようです。結果的に相鉄はJR横須賀線と東急東横線(目黒線?)の双方と直通運転を行う方向で調整中ということになります。
相鉄の西谷-横浜羽沢間の新線約2.4km、総事業費700億円程度という大都市圏の交通インフラとしては比較的リーズナブルな投資案件といえますが、それを新横浜経由で日吉まで伸ばそうというのですから、総事業費は桁が変わってしまうレベルに間違いなくなります。そうまでして話を進めようというのは、新横浜を業務地として売り出したい横浜市が新横浜を経由しないJR貨物線との直通運転に消極的と考えられ、事業化の協議が進まないためではないかと考えられます。つまりJR横浜羽沢までの新線建設を都市鉄道利便増進補助事業として推進するためには、横浜市の同意と出資が欠かせないわけですから、横浜市を協議のテーブルに着けるには、多少のニンジンが必要ということなんだろうと思います。ま、それがわからない横浜市ではないでしょうから、すんなり話はまとまりますまい。
実際日吉で東横線なり目黒線なりに接着したところで、湘南新宿ラインのスピードを凌駕するのは難しく、投資の回収は容易ではありません。第一JR横須賀線武蔵小杉駅が設置されれば、武蔵小杉乗換で相当カバーできる需要ですし、都心側の東横線/目黒線の車両限界の小ささや編成両数の制約などで、線路がつながっても有効に機能する保証はないですから、ま、日の目を見ることはありますまい。
というわけで、他紙、他メディアが沈黙している理由も、わざわざ追加取材するより公式発表を待った方が確実ということに尽きると思います。
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Comments
新年おめでとうございます。また、トラックバックをお送り下さり、ありがとうございます。
もしもJR乗り入れと東急乗り入れの双方が実現するとなれば、横浜羽沢は白金高輪のような位置付けの駅となり、東急からの横浜羽沢止まりがJRからの相鉄直通に対面接続(その逆も然り)というスタイルが考えられます。ですが、実際にどうなるか不透明なのは私も同意です。
また貴記事を拝読して初めて、JRの武蔵小杉駅設置には交通結節点を構築したい川崎市の思惑のほかに、相鉄からの電車を東急ではなく自社に流したいというJRの思惑も絡んでいるという点に気づきました。勉強になります。
新横浜については、東急が以前から新横浜への枝線構想を持っていると小耳に挟んだことがあります。横浜市に「東急~相鉄直通電車が新横浜を経由することで業務地として売り出しやすくなる」という思惑があるのでは、という点にも共感しますが、最終的には鉄道会社側の思惑に押され、目黒線の新横浜延伸でお茶を濁すことになるのかもしれません。
車両限界については、東横線は13号線直通に備えて拡大されたものと記憶しています。目黒線は従来の規格のままなのでしょうか…?
Posted by: S.WATANABE | Friday, January 06, 2006 12:41 AM
新年おめでとうございます。丁寧なコメントありがとうございます。
新横浜地区ですが、のぞみ停車拡大はあったものの、新駅開業に沸いた品川駅地区ほどのブームにもならず、むしろMM線開業で弾みがついたMM地区に後れをとる状況ですから、横浜市の焦りは理解できます。
しかしそもそもMM線がJR横浜線と直通していれば、両地区は適度な距離を置いて相互補完が可能だったのですが、MM線が東横線と直通したことによって、業務地区としては単なるライバル関係となって食い合うこととなるわけです。
もちろんMM線が東横線と直通したことによって、元町・中華街地区への観光入り込みが増加し、MM線自体の採算性を高めたと共に、MM地区の開発ブームを引き起こしたのですから、それらを含めて自治体としての地域開発の取り組みでは、単純な採算性や短期的な成果だけで判断はできないわけで、二兎を追うことの難しさがあります。
にもかかわらず相鉄の直通相手としてJRと東急の二兎を追おうというのですから、計画自体が無理スジという気がします。東急の枝線構想にしても、新横浜の先が見えない段階での単独事業としてペイできる状況には今のところ達してはいない気がします。
ただ長期構想レベルでも横浜羽沢を介して相鉄線とつながる計画があれば、実現可能性がやや上向くということはあり得ます。結局のところ現段階ではその辺で落としどころを探っているというあたりではないかと思います。
ちなみに私が把握している限りでは、東横線と目黒線の併走区間(線増区間)の一連の改良工事でも限界拡大は行われていないので、13号線直通協議会でも重要なテーマとなっていると聞いております。更に限界の大きい相鉄の車両に関しては、制約を受けざるを得ないということになります。
Posted by: 走ルンです | Friday, January 06, 2006 06:22 PM
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