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Monday, January 16, 2006

特特法事業で輸送力増強後混雑率悪化で次の手が問われる京王線

耐震強度偽装事件絡みで京王プレッソインの記事を書きましたところ、京王線のラッシュ輸送の問題に関して複数のコメントをいただきました。お隣の小田急線が複々線化事業を推進中で、何かと比較される京王線ですが、2005年度新造予定の9000系10連の日車豊川からの甲種輸送が14日に行われ、おそらく週明けにも若葉台へ搬入されるなどの動きが出てまいりました。このタイミングで、京王線のこれからを考察しておくのも面白いと思います。

大手私鉄中間決算の記事でも取り上げましたが、通期見込みで1.2%の利用増を見込む京王電鉄は、本業の好調さが目立ちますが、その一方で特特法事業で長編成化による輸送力増強を実現し、一旦は168%まで緩和された最混雑率の数字を170%に悪化させております。特特法による積立金の取り崩しによる運賃値下げと、久々のスピードアップを伴う準特急を登場させたダイヤ改正が功を奏して、沿線でマンション建設ラッシュが続き、ひところ減少に転じた沿線人口が再度増加するなど、好調な反面、複々線化を見合わせたために次の手が見えない状況にあります。

一方都営新宿線の新型ATC導入を期に都営新宿線で車両置き換えが進む中、6000系後継車両という位置づけの9000系20両登場が2005年度事業計画で発表され、タイミングからいって老朽化の進む6000系30番台直通車の置き換えになるのは間違いないところですが、10連で登場というのが10連固定編成とすれば、当面朝ラッシュ終了後に入庫することになりますから、運用面では制約のある状態になります。ただし中間運転台のなくなる分だけは乗客スペースが増えるわけですから、そうまでしなければならない京王線の苦しい状況を反映しているといえます。

小田急では複々線化事業を推進中も、ラッシュ輸送の改善が進まなかった結果、東急田園都市線や京王相模原線など他社線ルートへの乗客逸走が見られ、沿線人口が増加しながら利用減という事態に至り、大規模投資の元を取る意味で積極策に出て、千代田線直通の多摩急行の設定で多摩ニュータウンで競合する京王から乗客を奪うなどの事態となり、京王も都営線直通急行の設定で巻き返しをはかって対抗するなど、どちらかといえば競争的でないといわれた関東私鉄で競争が活性化された中で、京王線の劣勢が傾向として読みとれます。

大規模工事としては調布市内連続立体化事業を推進中で、国領、布田、調布の3駅が地下化され、特に調布駅の相模原線分岐部の平面交差が解消される予定なので、実現すればダイヤ白紙改正が考えられますが、調布での京王線と相模原線の下り方向への折り返しができなくなるなど、新たな制約事項が加わります。そんな中でどのように輸送改善されるのかは見えておりません。

車両面では7000系のVVVF改造が進捗中ですが、こうなると6000系の淘汰は加速せざるを得なくなると考えられます。同時にVVVF車が出揃った段階で現行の加速度2.5km/h/sを3.0km/h/s程度に見直して運転時分を見直すことは考えられます。また都営新宿線のデジタルATC化に関連して京王線のATC化もしくは現行の多変周点制御ATSを入力装置としたATCによるバックアップ(デジタルATCでパターン制御が可能になる)などで余裕時分を生み出すといった改良は考えられます。ここまで来れば地上線車と直通車の区分はなくなる可能性もあり、時間帯で8連と10連を使い分けるなどで柔軟な運用が可能になると考えられます。ただしピーク時の増発やスピードアップまでは難しいですから、余裕時分の増加で遅延防止になる程度でしょう。

やはり最終的には複々線化へと進まざるを得なくなる気がします。ただし投資の原資をどうひねり出すかは難しいところです。京王が有利なのは現行運賃の安さですが、設備投資のために運賃値上げを利用客に理解してもらうのは難しいところです。当面は現在の特特法による積立金取り崩しを原資とする運賃値下げの期限が2007年12月になり、値下げ分をなくした若干の運賃値上げが予告されてます。この時点で考えられる選択肢は次の通りです。

1.利用増による増収分を反映させて現行の値引き運賃を維持
2.予告通り上限運賃を値上げするが、当面は現行水準の値引きを維持
3.予定通り運賃値上げ
4.特特法事業を申請して上乗せ運賃で複々線化の原資を得る
といったところが考えられます。逆に言えばこの部分のアクションである程度方向性は見えてくるということもできます。

京王線の複々線化では、同時施工される連続立体化事業に実は問題が隠されておりまして、連続立体化事業の条件となる都市計画道路2箇所以上との立体化という条件を満たすのが難しいという問題があります。環七、環八、赤堤通りとは既に立体化されており、沿線の世田谷区や杉並区の都市計画道路整備が進まない状況下では事業化の目処すら立ちません。

一方東武線竹ノ塚の踏切事故で、いわゆる開かずの踏切問題がクローズアップされ、代田橋-仙川間が重点踏切立体化事業として認められる可能性はあります。そうなれば何らかの形で複々線化への道筋が示されるのではないかと思います。あるいは井の頭通りとの立体化で明大前駅周辺の区画整理事業に着手されれば、とりあえず現在ネックとなっている明大前の混雑解消のための構内線増など部分改良が実現する可能性はひらけるかもしれません。

というわけでファンの間では輸送力増強打ち止めと見られている京王線ですが、まだまだどうなるかわからないところかと思います。

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Tracked on Friday, January 27, 2006 at 05:18 AM

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