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Wednesday, January 04, 2006

いなほ脱線事故、風対策に決め手なし

新年早々の事故ネタにて失礼いたします。12/25の特急いなほの脱線事故で、2005年は事故の年だった印象が強まりましたが、報道で実態が明らかになるにつれ、自然の力に畏怖する思いが強まります。2日から復旧工事は始まったものの、視界良好とはいかないようです。

脱線招く?局地的突風、鉄道各社の対策に決め手なし
記事にもありますが、風速計で事前に強風を捕捉して列車に警報を発するにしても、実際は局地的な突風に対応するのは難しく、特に寒冷前線が通過中だった事故当時の現地では、竜巻やダウンバーストなど強い上昇気流や下降気流がみられる不安定な状況だったと考えられますから、水平方向の風を捉えることしかできない風速計ではそもそも計測不能だったと考えられます。

また事故地点付近は最上川河口近くの沖積平野で、市街地から離れた田園地帯だったこともあり、風を減衰させるような建造物も見られず、また北西の季節風の方向との不幸な一致もあって、風の通り道になっていた可能性があります。加えて護岸のための堤防の高さで規定される鉄橋の高さに合わせて前後に盛土のアプローチ区間があるなど、方向の問題を別にすれば、比較的どこにでも見られるロケーションの場所であるだけに、有効な事故対策が求められるのですが、記事中にあるとおり具体策は「白紙」というのが偽らざるところといえます。

そんな中で風速計の増設や風速規制の強化や防風柵の設置などに加え、JR東日本では当面事故地点付近の日常的な徐行運転を打ち出しているのですが、いずれも事故につながる可能性を低くすることにはつながるでしょうけど、決め手とは言い難いところがつらいところです。

ま、こういうときこそ鉄ちゃんがオピニオン性を発揮すべきだと思います。そもそも1両40t以上の車両を横転させるほどの強い局地的突風が日常的に見られるとしても、今回の事故のようにたまたま走行中の列車を直撃する確率はいかほどのものでしょうか。おそらく離発着時限定での航空機の強風の影響による事故よりも低いと思うんですが、離発着時を除けば風の影響をあまり受けない航空機に対して、地表を走る鉄道は、常に影響を受ける可能税があり、その分風速を多くの地点で計測せざるを得ないのですが、実際のところは限度があります。少なくとも無限にコストはかけられないわけですから。

鉄道としても防風林の整備などは行われてはきたのですが、今回の事故地点のような河川流域地域では難しい相談です。また事故地点近くの道路の防風柵が飛ばされて店舗の看板を直撃したように、物理的な遮蔽物を設置すれば済むわけではなく、場合によってはそれ自身が二次災害を引き起こす可能性も視野に入れておく必要があります。風の通り道ならば風力発電の風車を設置すれば、多少は風力の減衰に役立つかもしれませんが、効果はいかほどでしょうか。こうなるとJR単独での対策とはいかず、地元の自治体や電力会社などとの協調関係の中で模索するしかありません。

事故地点は日本海縦貫線を形成する貨物幹線であり、長期に亘る運休は経済への影響も心配されるところです。1日も早い復旧が望ましいのですが、JRとしては地元及び乗客へ説明できる安全対策を盛り込む必要はありますから、悩ましいところです。ただし事故列車の運転士の証言で遅延にも関わらず強風を意識して120km/h制限を-15km/hの105km/h程度で走っていたことや、事故後の乗客救助や幹部の迅速な対応など、福知山線事故のJR西日本の対応とは対照的な対応だった点は、特筆すべきだろうと思います。鉄道会社はかくあるべきでしょう。

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