« February 2006 | Main | April 2006 »

March 2006

Sunday, March 19, 2006

3/18ダイヤ改正でJR貨物に春の予感

巷ではJRと東武の直通特急や改正前日で廃止された特急出雲、103系、113系の運用離脱などの話題が注目されてますが、地味ながらJR貨物の明るい話題が目を引きます。

詳しくはJR貨物の公式ページのニュースリリースでご覧いただくとして、九州新幹線工事関連で鳥栖、久留米両駅の貨物扱いを集約した鳥栖貨物ターミナル駅の開業と、関連して名古屋(タ)-鳥栖(タ)8057レ、8056レ増発、それに東京(タ)-安治川口間の「スーパーグリーン・シャトル列車」(8061レ、8060レ)新設ということで、2列車増発というささやかな内容ですが、中身は濃いといえます。

鳥栖(タ)はコンテナ荷役がスピーディなE&S機能を備え、大型コンテナ扱いのためトップリフターを備えるなど、荷役時間の短縮で競争力を高めようとする意図が見えます。既に東京ー北九州間でJR貨物を利用している日産自動車に加えて、名古屋往復の列車増発は、当然トヨタ自動車をターゲットとしたものといえます。トヨタ自動車では岩手県の金ヶ崎(タ)-浜松(タ)間に今秋専用列車の運行開始を予定しており、物流の貨物鉄道シフトを進めております。

トラック輸送が重大事故の発生を受けて道交法の厳罰化が進み、原油価格上昇でディーゼル軽油の価格が上昇、ディーゼル排ガス規制の強化などでコスト上昇している一方で、大企業を中心としたCO2削減策の切り札としての物流分野のグリーン調達を強めていることが追い風となっている様子がうかがえます。ただし実際は専用列車を仕立てたり一般コンテナ列車の予約をほぼ毎日入れられるのは、今のところ輸送ロットの大きい大企業に限られるという現実もあるわけで、中小荷主には敷居の高い話といえます。

そんな中でモーダルシフトを促進する目的でJR貨物と通運事業者が組んで物流モデル事業として「グリーン物流パートナーシップ」事業として「スーパーグリーン・シャトル列車」が設定されました。ニュースリリースで掲載されたイラストにある通り、機関車牽引のコンテナ列車ですが、スーパーレールカーゴ(SRC)に似た31ftコンテナ(10tトラックバンボディ相当)を利用した複合一貫輸送列車です。SRCが佐川急便の貸切列車であるのに対して、小口荷主でも利用可能なオープンなサービスが特徴で、おそらく積車率が低くなることを想定して機関車牽引のコンテナ貨車(コキ50000?)という手持ちの駒で安上がりに仕立てた列車ということだと思います。利用実績如何ではSRCの増備につながるかもしれません。

先日COSCOとの提携を発表したJR貨物ですが、遅い春の到来と考えられる明るい状況かと思います。今後人口減少で輸送需要の減少が避けられない旅客各社に対して、JR貨物の存在感が増すことは、それだけレールが存続する可能性を高めるわけで、短期的利益に拘泥して貨物いじめに奔走する一部旅客会社の近視眼は、いかに間違っているかが明らかですね。

| | Comments (4) | TrackBack (1)

Sunday, March 05, 2006

長崎新幹線の見果てぬ夢

最近更新が滞っておりますが^_^;、久しぶりの記事で少し動きが見られる長崎新幹線を取り上げます。ここで見えてくる問題は、日本の地方の現実が凝縮されています。ま、ちょっと佐賀県をめぐる問題は複雑なんですが、九州新幹線鹿児島ルート上に新鳥栖駅を設置することになったために、鹿児島ルートに財政負担を求められている一方で、長崎ルートでも当然負担を求められる立場にあるわけです。

長崎新幹線に関しては、長崎県が積極的なのに対して、今回の着工区間である武雄温泉-諫早間では、従来鉄道ルートから外れていた嬉野温泉にしか恩恵がない一方、整備新幹線スキームで、JRから切り離される平行在来線区間として、有明海沿いの肥前山口-諫早間が提示され、この区間の受け皿として自治体出資の第三セクター鉄道会社を立ち上げる必要があるわけですが、幹線ルートから外れて赤字必至となる同区間を抱えることで、負担ばかりが来ることになります。しかも鹿島市をはじめとした並行在来線ルート上の市町に関しては、新幹線の恩恵がないばかりか、事実上の切捨てとなってしまう事情があり、さすがにこれを無視して県として新幹線推進一辺倒ではまずいということなんでしょう。

長崎新幹線問題、在来線赤字JR全額負担
元々JR九州では、在来線ルートの救済策として5往復程度の直通特急を走らせるなどの妥協案を提示しておりましたが、さらに一歩進んで赤字補填まで打ち出したことで、事態が動くことになるのかどうか、注目されます。

元々鹿島特急構想も、JR九州が第三種事業として三セク会社に線路使用料を支払って運行することを念頭においており、事実上の赤字補填のスキームなんですが、ローカル輸送で赤字を出せば、線路そのものの存続に問題があり、反対を堅持する沿線3市町を説得できないということなんでしょう。にしてもそこまでして新幹線を作らなきゃならないのはなぜなんでしょうか。

この問題では、平成の大合併といわれる市町村合併が影響しております。沿線七市町のうち三市町が脱落、一町も議会が同意し町長が反対と又裂き状態にあるわけですが、市町村合併で状況変化があって結果的に切り崩されているというのが実態でして、ゆえに鹿島市は嬉野町と合併したら^_^;という笑えないジョークまで飛び出しております。さらに地方制度改革として道州制が打ち出されておりますが、市町村合併の現実を直視すれば、またしてもまがい物改革か、と気が重くなります。

少なくとも長崎新幹線問題では、一部市町の反対で前へ進めない佐賀県の立場は消滅するわけで、新幹線のような大型公共事業は進めやすくなるわけです。また中央省庁の地方局を道州へ移譲することで、行政組織がスリム化するという議論がありますが、つまりは国家公務員としてカウントされる公務員数を見かけ上減らすために地方へ押し付けるという話なんで、騙されちゃいけませんね。

長崎新幹線に関しては、元々時間短縮効果が少なく、過大な投資であるという指摘は以前からされてました。肥前山口以西が単線で、線形も悪く、いわゆる投資不足状態ではありますが、投資効果を考えれば、幹線鉄道活性化事業で対応すべきケースでしょう。それを何が何でも新幹線でというのは、結局のところ補助率が新幹線の方が高く、国からたくさん予算が下りてくるからなんです。都市交通分野でもモノレール等と比べて補助率が高かった地下鉄建設にバイアスが働いたために補助率を揃えたのですが、幹線鉄道に関しては、そうなっていないわけです。しかも整備新幹線自身が国の整備計画に基づいた事業ですから、ルートなど国の一存で決まるしそのために政治家の口利きが横行することになります。こういった構造を見直すことが先決ですね。

またJRにとっては、平行在来線経営切り離しが実においしい利権なんです。国と地方の財政負担で、収益部門である幹線都市間輸送分野の資本装備を増強して競争力を高められる上に、重荷となっているローカル輸送を合法的に切り離せんるんですから、平行在来線三セクの赤字補填ぐらいしても、まだお釣りがきます。ただし新幹線のストロー効果で大都市圏(九州では福岡)への一極集中が進めば、結局片輸送となって輸送効率をさげてしまいますから、長期的にはJRにとってもマイナスになると考えられます。特に経営の苦しい三島会社ならばなおさらで、札幌一極集中で苦しむJR北海道の姿に近づくのは得策とは思えませんが。

| | Comments (5) | TrackBack (1)

« February 2006 | Main | April 2006 »