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Sunday, March 05, 2006

長崎新幹線の見果てぬ夢

最近更新が滞っておりますが^_^;、久しぶりの記事で少し動きが見られる長崎新幹線を取り上げます。ここで見えてくる問題は、日本の地方の現実が凝縮されています。ま、ちょっと佐賀県をめぐる問題は複雑なんですが、九州新幹線鹿児島ルート上に新鳥栖駅を設置することになったために、鹿児島ルートに財政負担を求められている一方で、長崎ルートでも当然負担を求められる立場にあるわけです。

長崎新幹線に関しては、長崎県が積極的なのに対して、今回の着工区間である武雄温泉-諫早間では、従来鉄道ルートから外れていた嬉野温泉にしか恩恵がない一方、整備新幹線スキームで、JRから切り離される平行在来線区間として、有明海沿いの肥前山口-諫早間が提示され、この区間の受け皿として自治体出資の第三セクター鉄道会社を立ち上げる必要があるわけですが、幹線ルートから外れて赤字必至となる同区間を抱えることで、負担ばかりが来ることになります。しかも鹿島市をはじめとした並行在来線ルート上の市町に関しては、新幹線の恩恵がないばかりか、事実上の切捨てとなってしまう事情があり、さすがにこれを無視して県として新幹線推進一辺倒ではまずいということなんでしょう。

長崎新幹線問題、在来線赤字JR全額負担
元々JR九州では、在来線ルートの救済策として5往復程度の直通特急を走らせるなどの妥協案を提示しておりましたが、さらに一歩進んで赤字補填まで打ち出したことで、事態が動くことになるのかどうか、注目されます。

元々鹿島特急構想も、JR九州が第三種事業として三セク会社に線路使用料を支払って運行することを念頭においており、事実上の赤字補填のスキームなんですが、ローカル輸送で赤字を出せば、線路そのものの存続に問題があり、反対を堅持する沿線3市町を説得できないということなんでしょう。にしてもそこまでして新幹線を作らなきゃならないのはなぜなんでしょうか。

この問題では、平成の大合併といわれる市町村合併が影響しております。沿線七市町のうち三市町が脱落、一町も議会が同意し町長が反対と又裂き状態にあるわけですが、市町村合併で状況変化があって結果的に切り崩されているというのが実態でして、ゆえに鹿島市は嬉野町と合併したら^_^;という笑えないジョークまで飛び出しております。さらに地方制度改革として道州制が打ち出されておりますが、市町村合併の現実を直視すれば、またしてもまがい物改革か、と気が重くなります。

少なくとも長崎新幹線問題では、一部市町の反対で前へ進めない佐賀県の立場は消滅するわけで、新幹線のような大型公共事業は進めやすくなるわけです。また中央省庁の地方局を道州へ移譲することで、行政組織がスリム化するという議論がありますが、つまりは国家公務員としてカウントされる公務員数を見かけ上減らすために地方へ押し付けるという話なんで、騙されちゃいけませんね。

長崎新幹線に関しては、元々時間短縮効果が少なく、過大な投資であるという指摘は以前からされてました。肥前山口以西が単線で、線形も悪く、いわゆる投資不足状態ではありますが、投資効果を考えれば、幹線鉄道活性化事業で対応すべきケースでしょう。それを何が何でも新幹線でというのは、結局のところ補助率が新幹線の方が高く、国からたくさん予算が下りてくるからなんです。都市交通分野でもモノレール等と比べて補助率が高かった地下鉄建設にバイアスが働いたために補助率を揃えたのですが、幹線鉄道に関しては、そうなっていないわけです。しかも整備新幹線自身が国の整備計画に基づいた事業ですから、ルートなど国の一存で決まるしそのために政治家の口利きが横行することになります。こういった構造を見直すことが先決ですね。

またJRにとっては、平行在来線経営切り離しが実においしい利権なんです。国と地方の財政負担で、収益部門である幹線都市間輸送分野の資本装備を増強して競争力を高められる上に、重荷となっているローカル輸送を合法的に切り離せんるんですから、平行在来線三セクの赤字補填ぐらいしても、まだお釣りがきます。ただし新幹線のストロー効果で大都市圏(九州では福岡)への一極集中が進めば、結局片輸送となって輸送効率をさげてしまいますから、長期的にはJRにとってもマイナスになると考えられます。特に経営の苦しい三島会社ならばなおさらで、札幌一極集中で苦しむJR北海道の姿に近づくのは得策とは思えませんが。

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Comments

 こんばんは。少し古い話ですが、トラックバックさせていただきました。

* それを何が何でも新幹線でというのは、結局のところ

 長崎線の改良は必要とは思いますが、新幹線の予算を使うのが引っかかるところです。新幹線は国の補助が多いので、地元にとってはおいしいですね。

Posted by: たべちゃん | Tuesday, March 21, 2006 11:22 PM

コメント及びトラックバックありがとうございます。別の報道によれば、九州新幹線の鹿児島ルートも、JR西日本が直通運転に慎重な姿勢を見せているそうですが、東名阪の三大都市圏につながらないならばフル規格は不要だったといえます。新幹線は輸送力増強手段だということを忘れるべきではありません。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, March 22, 2006 12:48 AM

* 別の報道によれば、九州新幹線の鹿児島ルートも、

 快速や普通電車がたくさん走る区間のある九州新幹線(鹿児島ルート)は、整備新幹線では唯一輸送力増強が目的のひとつになる新幹線です。

 でも、せっかく博多でレールがつながっているのに、山陽新幹線と直通しないのは、利用者の存在を無視していますね。

Posted by: たべちゃん | Thursday, March 23, 2006 11:45 PM

重ね重ねのコメントありがとうございます。

でもせっかく線路がつながっていても、新大阪までの直通しか考えられていないんですよね。鹿児島ルートからしてココロザシの低いプロジェクトですが、長崎ルートに至っては、対福岡で時間距離が逆転することに長崎県が危機感を抱いているというのですから、九州ローカルなココロザシです^_^;。

んなもんに3,800億円も使う神経は異常ですね。

Posted by: 走ルンです | Sunday, March 26, 2006 10:15 PM

 度々失礼します。

* でもせっかく線路がつながっていても、

 貸付料の問題が絡んでいるとは思いますが、新大阪にすら直通しない危険性もあるようです。東京は仕方ないとは思いますが、新大阪にすら行かないのでは、効果が疑われますね。

* 長崎ルートに至っては、対福岡で

 そのレベルなら、「長崎県のお金でやれば?」と言いたくなります。

Posted by: たべちゃん | Monday, March 27, 2006 09:20 PM

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Tracked on Tuesday, March 21, 2006 11:24 PM

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