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Wednesday, April 26, 2006

耐震偽装で別件逮捕、一罰百戒の愚

まずはニュースウォッチングです。

姉歯元建築士ら8人逮捕・耐震偽装事件
いずれも耐震偽装本体での逮捕ではなく、すべて別件逮捕というところに、捜査当局の計算違いが垣間見えます。

建築基準法違反では罰金最高50万円で軽すぎるということで、懲役刑となる重い罪状での起訴を想定し、一罰百戒を狙ったものでしょうけど、同時に各当事者が共謀しての詐欺容疑の立件ができなかったということでもあります。そもそもこの辺の捜査方針からして無理スジといえます。

といいますのも、そもそもは建築基準法の改正で、建築確認のやり方が大幅に変わり、IT化によって構造計算自体がブラックボックス化したことに問題の本質があるわけで、それがために強度偽装が誰にも疑われずに実行され、民間や自治体などの確認検査機関にも見抜けなかったし、監督官庁の国土交通省ですら、問題の本質を理解しているかどうか疑わしいところです。以前の記事で指摘しましたとおり、そもそも大臣認定ソフトなるものに数値を打ち込んで、エラーメッセージが出なければOKなどというふざけた仕組みに問題があるわけで、今回一罰百戒で関係者を訴追できたとしても、問題の本質は変わっていないという点を指摘しておきます。別件逮捕で国民に溜飲を下げさせて幕引きでは、のど元過ぎてまたぞろ不正が横行することを留める術はないのです。

構造設計は確かに専門性が高く、なかなか素人ではチェックが難しいのですが、かつては少数の専門家が経験則に基づいて行っていた構造設計を、98年の建築基準法改正で、検査方法を法令で定義したのですが、アメリカからの市場開放要求もあって、4つの異なった構造計算方法が法令で指定され、それぞれ異なった想定に基づいてみなしで数値を決めたために、同じ建物を別の検査基準に従って計算し直すと、違う結果になるというあいまいさができてしまいました。実際には実験で検証するわけにもいきませんから、みなしで数値を決めること自体は仕方ないことなんですが、異なった基準が入り込んだ結果、監督官庁の技官ですら判定が難しい状況が出現した一方で、IT化で構造計算自体はブラックボックス化し、いわばサルでもできるようになってしまい、ある意味誰も検証できない状況になってしまったわけです。かくして別件逮捕のオンパレードとなり、制度の瑕疵は質されないままとなってしまいます。

一応建築基準法その他の改正案が今国会に上程されてはおりますが、罰則を強化して抑止効果を期待するというのはおざなりですし、専門家による二重チェックなどを盛り込んだりしても、責任がさらにあいまいになるだけの話です。当事者への重罰は、民事訴訟を睨んだときに被害者救済に資する要素はありますが、だからといって肝心なところを障らずに済ませるならば、悲劇は繰り返されることになるでしょう。ホントしょーもない話です。

加えてこの辺の論点をまともに取り上げたメディア報道はほぼ皆無ですが、メディアの迷走は尼崎事故に限らないのですね。

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