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Monday, May 22, 2006

JR東日本E331系の凄く濃い中身

E331系が京葉線に登場し、次第に詳細がわかってまいりましたが、JR東日本が次世代車に求めるブレークスルーのもの凄さを実感します。今回登場した編成は先行量産車というよりは、長期実用試験と量産化時の課題発見を狙ったものであるとともに、将来の近郊輸送を見据えた最適システムの模索を兼ねた意欲作で、京浜東北線に901系として登場し、後に量産化改造で209系に編入された30両と似た位置づけの車といえます。ただしかなり革新的なコンセプトですので、実際の量産化はおそらくだいぶ先になりそうですが。

既にacトレインE993系が登場し、各種試験を行っているわけですが、その技術開発要素の大きなところは3つほどあります。

1.連接構造
2.DDM(ダイレクトドライブモーター)
3.ステンレスハニカムダブルスキンの薄肉構体構造
このうち1.と2.が反映され、構体構造はE231系に準じたステンレスツーシート工法で竣工しております。開発課題として難物だったのでしょうか。

高速電車での連接構造というと、真っ先に小田急ロマンスカーを連想しますが、E331系はかなり異なった構造となっております。4つの空気バネで前後の車体を支える4点支持で、中心ピンは荷重を支えないボルスタレス台車と同等の構造ですが、中心ピンが通常のボギー車の連結器の相当する連結体に固定されていて、シンプルで軽量なうえ、通常の連接車で見られる円盤状の渡り板がなく、ボギー車よりも偏倚が少ないので、連結面間400mmと狭くなっているなど、特徴的なメカとなっております。実際の走行シーンでどのような挙動をするのかは、ぜひ体験してみたいところです。

あわせて台車間距離が13.4mと短くなった結果、偏倚量の減少分を車体幅拡大に回して最大幅プラス39mmの2,989mmとしており、連接車で有効室内長が縮小した分をカバーしています。見送りとなった薄型構体構造とあわせれば、室内有効幅の拡大効果が目に見えるものになった可能性もあります。

あとDDMが目玉ですが、カルダン駆動でせっかくバネ上になったモーター質量がバネ下に戻ると思いきや、回転子軸を中空にして中を通る車軸へ自在継手で動力を伝達することでクリアするなど、巧みなメカでクリアしております。また回転子を永久磁石とすることで、誘導モーターよりも大きなトルクを得て制御の自由度も高まるわけですから、実現すれば夢のメカですが、メンテナンス性は未知な部分がありますので、営業運行で長期実用試験に供される意味は大きいですね。

今後どのように量産化されるかは未知数ですが、投入線区での最適性能をうたい転用を考えないと公式にいわれる209系以来の新系列車ですが、実際は微妙な車両需給から209系500番台の総武緩行線から京浜東北線へ転用されたり、E217系が編成をいじって東海道線に転用されたりと、小変化が見られます。仮に連接構造が量産車で本格採用されたとすれば、転用や編成変更に大きな制約があります。その意味では地下鉄直通車への投入がやりやすい気がします。車両限界の制約下で車体幅拡大というのも魅力的です。そのほかクロス-ロング可変座席の提案などもあり、ローカル路線への投入も場合によってはありかなと思わせます。

いずれにしても技術開発に対するJR東日本の骨太な哲学を感じさせるもので楽しみです。電動車のモーターを2個にして先頭車の重心を下げて脱線しにくくしましたとうそぶく某社とは大違いですね。

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Comments

ACトレイン落成から5年ほど経ちましたでしょうか、ようやく営業運転を見据えた車両が入りましたね。ただ、技術開発の結果としては素晴らしいものが出たものの、受け入れる現場にとってはどうなのかなという点は気になります。

DDMと連接車体を採用したということは、保守管理体制の大幅な変化を意味するものでして、現場の抵抗・困惑は如何なのかと感じます。大井工場に編成ごと検査できる施設はできましたが、台車まわりにおける通常のボギー車との違いは如何ともし難いものがあると思います。

また、人口減少社会とは申しましても首都圏通勤路線の混雑が激しいことは相変わらずですので、本来でしたら中央線向けの新車をE233系ではなくE331系にしたかったのではないかとも推測されますが、やはり長期試験を経ないと量産への移行に不安があるのでしょうね。実際に線区単位で入れ替えるとなりますと、相鉄直通と205系の置き換え時期が重なる埼京線や、209系がどれだけ持つか微妙な京浜東北線あたりが候補ではと私は見ています。

長期試験を行うには京葉線は向いていると思いますが、しかし千葉支社がよくもまぁ、こんな新しい物づくめのシロモノを受け入れたなという驚きが未だに消えません…

Posted by: S.WATANABE | Saturday, May 27, 2006 at 01:14 AM

コメントありがとうございます。DDMと連接車体の採用は、確かに冒険ですね。だからこそ時間をかけて検証したい項目ではあります。

ただ4点支持の連接台車は通常の連接構造と異なり、ボギー車のボルスタレス台車に近い構造ですので、大井の新系列検修庫で行われているジャッキアップせずに台車交換を行うシステムに乗せられる可能性はあります。入庫を5連単位としている点も、今回のE331系1ユニット7連で全長100mとも符合しますし。

個人的にはacトレインの構体構造が反映されなかったことが残念なんですが、DDMも連接車体も、209系以来の新系列車からさらに軽量化と省エネを考えるときに避けて通れない選択肢ではありますので、営業に供してノウハウを蓄積する意味は大きいと思います。

しかし千葉支社の受け入れは確かに驚きですね。なにしろ習志野区の103系を新系列への置き換えを拒み続け、走る度に故障して当時の運輸省から業務改善命令を受けるまで手がつけられなかったアノ労組がいるところですからね^_^;。

Posted by: 走ルンです | Saturday, May 27, 2006 at 04:28 PM

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