« 改正都市計画法成立で改革逆行 | Main | 東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙 »

Thursday, May 25, 2006

買収防衛策に揺れる大手私鉄


















私鉄大手14社連結業績
単位億円上段=2006年3月期実績
下段=2007年3月期予想
括弧内増減率%
売上高最終損益
東急13,885( 32)
13,750( -1)
419( 18)
400( -5)
近鉄9,484(-14)
9,200( -3)
177(-14)
210( 18)
名鉄7,402( -6)
7,020( -5)
132( -)
110( -5)
東武6,463( 1)
6,480( 0)
268(120)
390( 45)
小田急6.104( -3)
6,200( 2)
152(280)
155( 2)/TD>
阪急HD4,861( 2)
4,940( 2)
253( -3)
286( 13)
京王4,382( 1)
4,234( -3)
198( 6)
198( 0)
西鉄3,203( 1)
3,497( 9)
79( 85)
80( 1)
京急3,119( -2)
3,270( 5)
116( 6)
120( 5)
阪神3,132( 5)
3,180( 2)
64( 29)
84( 31)
相鉄3,045( -2)
3,010( -1)
61( 1)
62( 2)
京阪2,630( 7)
2,570( -2)
72( 25)
70( -3)
京成2,260( 3)
2,420( 7)
84(-29)
94( 11)
南海1,904( -3)
1,960( 3)
-65( -)
94( -)

株主総会シーズンとなって各社の決算発表が相次いでおりますが、再建中で非上場の西武を除く大手私鉄14社の決算が出揃いました。全体としては本業の鉄道事業の売上好調とマンション販売その他の不動産事業の好調で、業績を軒並み上げており、景気回復の恩恵を受けたといえます。またバブル期の過剰債務に苦しんだ各社も事業の再編が進み、9社が純利益過去最高となるなど、全体として好調といえる結果となっております。

とはいえ阪神の村上ファンドによる株式取得問題を始め、京成をプリヴェチューリッヒ、東急を米キャピタルグループが株式取得するなど、キナ臭い雰囲気は漂っております。景気回復を受けて大都市圏で一部地価反転上昇が見られる中、鉄道事業者の多くは保有不動産に含み益を抱える状況になってきており、それが投資ファンドに狙われる理由になっているようです。それゆえ各社の関心事は買収防衛策だそうですが、何か阪神を笑えないですね。

含み益依存経営をしていた各社は、バブル崩壊による地価下落で塗炭の苦しみを味わったはずなんですが、のど元過ぎれば忘れてしまう熱さなんでしょうか。景気回復で業績が上向いている今だからこそ、中長期の明確なビジョンを示すべきときだと思います。村上ファンドの株式取得を許した阪神の例でいえば、元々時価転換社債を大量発行していたものを、村上ファンドに目をつけられて転換社債を大量に買い付けられ、権利行使された結果の大量保有です。言ってみれば目先の資金調達を既存株主の権利希薄化と引き換えに有利な条件で行い、地価反転上昇を追い風に不動産含み益を得たのであれば、何らかの株主還元策を講じるべきなんですね。たとえば不動産ファンドを組んで転売することで、現金収入を得ると同時に将来の地価下落リスクをファンドに移転することなどが考えられます。保有するホテルやオフィスビルの賃料を漫然と受け取る状況というのは、含み益の恩恵もなければ将来への保障もない状況だということは、バブル崩壊で学習したはずではないでしょうか。5月施行の改正新会社法でも、株式公開会社の取締役に株主に対する善管注意義務を求めております。地価の再度の下落があれば、訴訟を覚悟すべきでしょう。

あるいはそうして得た資金で本業の競争力強化策を実行し、来るべき高齢化と人口減少に備えることは、業績好調の今だからこそ考えるべきことなんですが、聞こえてくるのは株式持合いや事前告知型の買収防衛策の導入などなど、経営陣の自己保身を連想させることばかりです。既に京浜急行が近畿日本ツーリストとの株式持合いを決め、他社にも追随の動きがあるようです。京急に関しては羽田空港国際化を睨んで大手旅行会社との良好な関係をつくることは、それなりに理由のあることではありますが、株主価値向上のための戦略的提携であるということを説明すべきではないでしょうか。各社の奮起を期待します。

| |

« 改正都市計画法成立で改革逆行 | Main | 東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙 »

ニュース」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

大手私鉄」カテゴリの記事

Comments

どうやら28日をメドに村上Fと阪急HDが歩み寄りだしたようですが、被害者面して実は一番の「あかんたれ」である阪神経営陣が反省することなく事が過ぎ去ってしまうのはとても残念です。
まぁ、村上F側が経営に参画するなどと心にもないことを言って、それを阪急HD側に「ウソがウソである事」を見抜かれて、歩み寄れないようなら交渉を中断すると公言されたりして茶番としては楽しめましたけどね(笑)

Posted by: kawa | Friday, May 26, 2006 11:46 PM

コメントありがとうございます。ほぼ予想通りの展開ですね。
http://btrainj.cocolog-nifty.com/hasirundesu/2006/05/post_6717.html

ホワイトナイトを気取る阪急HDにしても、バックにメガバンクが黒子として控えているのは周知のとおりでして、しかもデリバティブ商品の融資との抱き合わせ販売で当局の追及を受けているアソコですから、村上ファンドともども海千山千の争いなんですね。

というわけで、決着してからが、阪神にとっては正念場です。覚悟せよ(笑)。

Posted by: 走ルンです | Saturday, May 27, 2006 12:16 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 買収防衛策に揺れる大手私鉄:

« 改正都市計画法成立で改革逆行 | Main | 東急相鉄相互直通、横浜市の横暴相鉄の涙 »