改正都市計画法成立で改革逆行
以前記事にしましたまちづくり三法改正の第一弾として、都市計画法の改正が可決成立しました。
大型店舗の郊外出店を規制・改正都市計画法が成立郊外の大型ショッピングセンターの進出でシャッター通りと化している地方都市中心部の衰退を阻止する狙いということです。
既に当ブログでは
Monday, July 25, 2005
商業施設と病院の立地規制?
Sunday, August 14, 2005という2つの記事でこの問題を取り上げました。原則として1万m^2以上の大型商業施設が規制の対象となり、従来出店可能な用途地域6つを3つに絞って、無制限な出店に投網をかけようということですが、いくつか疑問もあります。
規制のためなら縦割りも何のその
元々用途地域自体が自治体の開発計画によってしばしば見直されるのですが、行政による線引きそのものに裁量の余地が多く、そのために土建屋の札束攻勢や議員の口利きなどなど、汚職の温床となっている部分なんですね。ま、早い話が、今回の改正都市計画法で、大規模商業施設を作ろうとすると、地方議員や有力者に金をばらまかないといけなくなるというわけです。これで果たして地方都市中心街の衰退を止められると言えるでしょうか。
元々都市中心部の商業地域の多くの土地建物は、代々世襲されていたいわば抵抗勢力の温床みたいなところだったんですが、おざなりに商売を続け、消費者の利便に背を向けてきた結果として、郊外立地のショッピングセンターに敗北したことを棚に上げて、出店規制で乗り切ろうとうするわけですから、時代に逆行しているといわざるを得ません。しかし国交省に言わせると欧米並みのコンパクトシティを実現するためなんだそうで頭痛くなります。
衰退してシャッター通りになっても、所有者が変わらずに世襲されてしまうことに問題があるのですが、その結果として代々続いた老舗商店が閉店し、跡地にコイン駐車場ができるという笑えない現実があります。その結果やはり今国会で改正法が可決成立予定の中心市街地活性化法で国庫補助によって整備された駅前地下駐車場よりも安い駐車場ができてしまうのですから、結果的に世襲された駅前の土地の所有権は移転しないままとなります。こういう状況を放置して中心街に賑わいが戻ると本気で考えているとすれば、悪い冗談としか言いようがありません。消費者ニーズに背を向けたままの駅前商店なんぞ、駐車場以下の経済価値しか生み出さないわけですから、本来はより効率的に経済価値を生み出す者に明け渡すことを通じて活性化されるはずなんですがね。
中心街の老舗商店という抵抗勢力の財産保全を国の補助金を投入して行う話として整理できますが、郵政民営化もそうですが、改革を叫ぶ小泉政権下でこういったことが起こるのが不思議で仕方ありません。財政再建を叫ぶ一方での負担増で、しかも特定利益集団のみを利するという点でも逆行といえます。
あと平成の大合併で市制施行された自治体では、複数ある小規模な商業集積のうちどこを中心市街地に指定するかで悩んでいるそうですが、それが決まらないと都市計画自体が決められず、商業施設の誘致などもできないわけですから、合併したがために都市計画が作れないというジレンマに直面しています。小泉改革のことごとくがかくのごとしですが、もう笑うしかないですね。アホラシ。
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